痛みからのメッセージ

からだの兆候

心の兆候

あなたはいくつありましたか。思いあたることがあれば、まずゆっくり休養をとりましょう。10以上印が付くと要注意です。長引くときは専門家に相談しましょう。

筋・筋膜性疼痛症候群

椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛といわれている痛みは実は筋・筋膜性疼痛だったのです。坐骨神経痛という言葉から受ける印象が悪いと思います。下肢の筋・筋膜痛、緊張型下肢痛などがいいのではないでしょうか。

脊椎専門医によって、ヘルニアによる根性痛、分離症、辷り症、脊柱管狭窄症などによる痛み、椎間関節性疼痛、椎間板性疼痛、といわれている痛みの本質は筋・筋膜性疼痛なのです。

整体師に骨盤の歪みが原因といわれている痛みは筋・筋膜性疼痛なのです。歪みが原因なのではなくて、筋痛が原因で歪んできているのです。

筋・筋膜性疼痛は、構造とは関係なく、交感神経の緊張やホルモン系と関係があります。

筋・筋膜性疼痛は心配な病気ではありませんが、習慣化すると治癒に難渋するものです。早期に適切な治療をすることが大切です。

 

筋筋膜性疼痛症候群の診断基準 (Simons,1990)

●大基準

  1. 局所的な疼痛の訴え

  2. 筋筋膜の圧痛点から関連痛として予測しうる部位での疼痛あるいは違和感

  3. 触れやすい筋肉での索状硬結の触知

  4. 索状硬結に沿った一点での強烈な庄痛点(ジャンプサイン)の存在

  5. 測定可能な部位では、可動域のある程度の制限

●小基準

  1. 圧痛点の圧迫で臨床的疼痛の訴えや違和感が再現する

  2. 圧痛点付近で索状硬結に垂直に弾くような触診を加えたり、圧痛点に注射針を刺すことで得られる局所的ひきつり反応

  3. 筋肉を引きのばしたり(ストレッチング)、圧痛点への注射により疼痛が軽快する


    診断には大基準5項目すべてと、少なくとも1つの小基準を満たすことが必用


TMS

TMSとは軟部組織(脊椎ではない)に生じる良性の(痛いかもしれないが)生理的変化であり、それを引き起こすのは感情をつかさどるこころなのだ。

(ニューヨーク医科大学臨床リハビリテーション医学科教授 John E. Sarno, M.D.「ヒーリングバックペイン」より)

筋骨格系に生じる痛みのほとんどはTMSだと主張しています。ヘルニアによるといわれている痛みも実はTMSなのです。

現在の医学ではTMSという病名は未だ一般的ではありません。私は筋筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)といわれているものがTMSにあたると思っています。

筋骨格系の痛みのほとんどは心身症としてとらえるべきです。「心身相関」の観点から痛みを理解することが大切です。このような考え方は何もサーノ博士の独自の考え方ではありません。1963年初版の池見酉次郎著(九州大学名誉教授)「心療内科」中公新書にもほぼ同じ内容のことが書かれています。

心身医学では常識的な考え方です。痛みは生理的な変化ですから、それを構造上の異常で説明することはできません。

サーノ博士は体からの治療はしないでもっぱら心からのアプローチをすすめています。しかし、国民性もありますしそれぞれの考え方がありますから、それほどかたくなになる必用はなく、心身からの治療をすればよいと思います。

「生じている痛みはTMSだから、さてどの治療法で治そうか」と考えればいいのです。

自分にあった治療法をみつけるには、病態を理解する必用があります。しばしば自分にあった治療法を見つけるようにという意見を聞きますが、それは痛みがTMSだからそういえるのです。


心身症の定義

心身症と診断するには2つの条件を満たす必要がある。第1は,身体疾患の診断が確定していることである。明らかな身体疾患がない場合は心身症と呼ばない。第2は,環境の変化に時間的に一致して,身体症状が変動することであり,たとえば仕事が忙しいときや緊張したとき,身体症状や検査所見が増悪することで判断される。

心身症がどのようにしておきるか

「感情、特に抑圧されて意識に上りにくい感情にたいする正常な生理的な反応(怒りを深くおさえていると頭痛がしたり血圧か上ったりする)が慢性に拡大された形で現われることによって、一定の器官に持続性の機能的変化、またはこれから進展したと思われる器質的な変化を現わしている疾患」

心身症はストレスによって起こる体の病気です。TMSのM、Myositisは筋炎という意味ですが、これは体の病気ですよという象徴的な意味で使われているものと思います。

うつ、不安障害、身体表現性障害はストレスによって起こる心の病気です。これらにTMSが合併していることもありますが、基本的にはTMSではありません。

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加茂整形外科医院