交通事故被害者の意識と損保会社の対応に及ぼす影響
花岡芳雄 花岡啓子
吉祥寺通り花岡クリニック PSRストレス医学研究所
(目的)
昨今、交通事故の治療費支払いに絡んで紛争がみられ、治療期間が患者の状態に基くより、損保会社の査定に影響されることも少なくない。その理由を患者の意識面から考察した。
(方法)
症例1は40才の男性で2つの医療機関で1回ずつ診察を受け、事故2週間後に来院した。医者の批判が主で、治療意欲が感じられず、演者の勧める治寮を拒否して結局2日間の通院に終わった。
症例2は36才の女性。交通事故は3回目で交通事故以前の生活にもどることのみを願って3年間の治療の後で来院した。心身相関については認めようとしない。
症例3は57才の女性。他医で約2週間の治療を受けて、重篤な症状がとれず、来院した。損保会社は6ヵ月で治療を中止させるために、患者をおどし、治康費支払いを停止した。骨折が見落されており、保存療法で3年間の治療を要した。
(結果)
症例1は、疲労時腰痛が主訴でSDS52、MAS24、CMIW領域、頚椎牽引も拒否し、心身症特有のアレキシシミアもあり、今後他の医療機関を転々とするものと思われる。症例2は心療内科的治療が必要と考えられるが、患者に身体症状にこだわるかたくなな態度に手をこまねいている。症例3は、症状は軽快したが後遺症としての痛みが残り、現在医療費請求の裁判をおこしているが、その精神的苦痛も推察して余りある。
(結論)
ある損保会杜では外傷性頚部症候群の治療期間は3ヵ月、他覚所見があれぱ6ヵ月、最長9ヵ月であると主張する。このような断定を許すのは整形外科の退行であるが、その元凶は、外傷における心身相関の理解の欠如であり、整形外科領域における心身医学の普及が急務であると考える。