脊椎すべり症でもスポーツは可能


〔独ビースバーデン〕 ベルリン大学付属シャリテ病院整形外科のH. Zip-pel教授は,当地で開催されたドイツ整形外科学会で,「脊椎すべり症患児に対してスポーツを禁止する必要はない」と報告。さらに,「競技としてのスポーツに参加している場合でも,すべりの進行が加速すると考える必要はない」と発言した。同教授は,1 週間当たり約18時間のスポーツを数年にわたって行っている脊椎分離症ないしは脊椎すべり症の患児86例を対象に検査を実施。平均約 5 年後に再検査を行い,結果を比較検討した。その結果,身体的負荷にもかかわらず,罹患した脊椎のすべりの程度は10〜13%増加しているにすぎないことが分かった。加えて,スポーツを行っている患児のほうが,あまりスポーツをしない患児より,すべりの進行度合いが小さいことも確認されたという。この研究結果を踏まえて,同教授は「スポーツ競技が脊椎すべり症の進行を促進するとは言えない」と主張。他の研究者によってもこの結果は確認されていると強調した。とはいえ,脊椎にショックを与えるようなスポーツは極力避けねばならず,脊椎周囲の筋肉を強化するようなスポーツが好ましいという。同報告後の討論で,マンハイム大学整形外科のLutz Jani教授は「患者が疼痛を訴え,保存療法ないしは外科療法で疼痛を除去できないようなケースでは,スポーツ競技には参加しないよう助言せねばならない」と述べた。

Medical Tribune [1997年5月1日 (VOL.30 NO.18) p.03]  より

加茂整形外科医院