慢性の頸部痛に対して、筋肉トレーニングはリラクゼーショントレーニングと同等 


 運動による筋肉トレーニングとリラクゼーショントレーニングを比べた無作為化比較対照試験では、両者の間に有意差は無かった 。

慢性頸部痛に対して、運動による筋肉トレーニングはリラクゼーショントレーニングに優らないという無作為化比較対照試験の結果が、『British Medical Journal』8月30日号に掲載された。


頸部疾患の病態の理解はまだ完全ではなく、治療は疼痛緩和が目的になる。「と労働衛生タンペレ地区局(フィンランド)のMatti Viljanenらは記述している。「慢性頸部痛に対しては運動による筋肉トレーニングとリラクゼーショントレーニングが指示されることが多いが、その有効性に関する明確な根拠はない」

フィンランドの労働衛生センター5施設において、非特異的な慢性頸部痛を持つ女性事務労働者393例(平均年齢45歳)に、運動による筋肉トレーニングとリラクゼーショントレーニングのいずれかを12週間、および試験開始の6カ月後に1週間の強化トレーニングを行わせた。対照群は通常のままの活動を行わせた。

3カ月、6カ月、12カ月の追跡調査では、3群の頸部痛に有意差は無かった。頸部の回旋と側屈の可動範囲は、対照群に比べて両トレーニング群で増加しており、主観的な回復では優れていた。運動による筋肉トレーニングもしくはリラクゼーショントレーニングは、痛みの程度、頸部運動障害、不快感解消に対する効果は無かった。その他のヘルスケアの利用量は、トレーニング群のほうが対照群よりも多かった。

運動による筋肉トレーニング群とリラクゼーショントレーニング群には、通常活動群に優る頸部痛の改善は見られなかった。慢性頸部痛に対して、運動による筋肉トレーニングとリラクゼーショントレーニングは、患者に普通に生活するよう勧めるのに優るだけの好ましい効果はない」と著者らは記述している。この試験は、フィンランドの労働環境基金から助成を受けている。利害関係に関する著者らからの報告は無い。

加茂整形外科医院