研究者は、活動障害性腰痛に対する重大な影響を見落としたのか?


20世紀後半の50年間、活動障害性腰痛に重大な影響を及ぼしうる、管理や組織に関する問題の関与は無視されていた。

その間、活動障害性腰痛に対して身体的な影響があるかどうかに焦点を合わせて研究がなされていた。最近、仕事の社会心理学的背景に関する関心がにわかに高まり、活動障害性腰痛が多要素性の性質をもつというエビデンスが増えつつある。それにもかかわらず、仕事の社会心理学的背景の研究においてさえ、職場の構造や組織にはほとんど注意が払われなかった。後者の因子は最近、“black flags"と名付けられている。それらは、認識のいかんにかかわらず、個々の労働者には管理できないが、ある職場のすべての労
働者に影響するだろう(Main and Burton, 2000を参照)。

「われわれは管理や組織の問題の影響についてほとんど知らないので、どの因子を科学的な研究で検討すべきかということすらわからないのです」と、英国のSalfordにあるHope Hospitalの行動医学部門の責任者であるChris Main博士はコメントした。

活動障害性の腰痛を促進もしくは阻止するタイプの、会社、管理環境および職場構造があるのだろうか?あるタイプの組織は、それが職業性腰痛の改善に対する障壁となっているのだろうか?

Kim Burton博士は、「管理の問題がとても重要かもしれないと考えるようになった研究者が増えています」と言う。マネージャーが、態度や管理方法を介して、腰痛があっても屈せず仕事を続けるという考え方を奨励できると、博士は指摘する。

Burton博士によると、“他の考え方のもとでは、労働組合の関与にかかわらず、腰痛が仕事に起因することが強調され、腰痛に関するネガティブな信念や態度が奨励される可能性がある”。こうした態度の結果として、腰痛の報告頻度や腰痛による活動障害が増加するのかもしれない。“Black flags"が職場での健康対策の成功にも悪影響を及ぼしうることが、'予備的研究で示されている。

The BackLetter No.28.Apil.2002

加茂整形外科医院