知ってますか 全般性不安障害

患者はパニック障害の4倍    長期間、不安に悩む

カラダ最前線 (北国新聞より)


近年、患者が急増しているうつ病。悪化するとこのうつ病になってしまったり、併発するなど密接な関係がありながら、一般にほとんど知られていない「全般性不安障害」という心の病気がある。何でも不安でたまらなくなり、身体的な症状にも苦しむ。性格だから仕方ない、と治療を受けずに一人で悩むケースが多い。全般性不安障害について金大附属病院精神科の越野好文教授に聞いた。

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心臓が悪いわけでもないのに突如、発作に見舞われ、呼吸困難などに陥るパニック障害は数隼前に話題になり広く知られるようになった。越野教授は。「実は、このパニック障害より約三、四倍の患者がいるといわれているのが全般性不安障害です」と、まだ耳慣れないこの病気に悩む人の多さを指摘する。

全般性不安障害はパニック障害と同じ不安障害の一つで、1980年に米国で命名された。日本ではこの四、五年でだんだんと注目を集めてきた。認知度はまだ低く診察を受ける患者も少ないため、まだ詳しいデータはそろっていないが、生涯この病気になる可能性があるのは千人に三十人から五十人程度といわれている。

全般性不安障害を簡単に言えば、何か特別な理由もないのにずっと不安な状態が続き、心や体に支障をきたしてしまう病気。ただ、不安は社会生活をしている上でだれもが感じる。これが病気かどうかを見極めるには、不安な状態が少なくとも半年以上の長期聞に及ぶかにある。

ささいなことも

先のパニック障害も範ちゅうに入る不安障害には、過度に手を洗うなどの強迫性障害や、人前に出られなくなる社会不安障害、高所や動物などを極度に怖れる特定の恐怖症などがある。PTSD(外傷後ストレス障害)もそうだ。

全般性不安障害がほかの不安障害と大きく違う点は不安のタネが多岐にわたり特定のことに限定できないことにある。例えば、不安の内容は仕事や育児、さらには食事の準備や戸締り、家の修理などささいなことにまで至り、果ては家計状態や家族の健康も深刻に考え込んでしまう。このため日常生活に支障をきたし、会社も頻繁に休むようになる人もいる。

長期間こうした不安を抱いているため、体は常に筋肉が緊張した状態で、肩こりや頭痛が起こるほか、神経過敏になりイライラが続き、集中力に欠けたり、不眠に悩む症状が慢性化する。

越野教授は「症状が重くなり診察を受ける人もほとんど内料や整形外科などで診てもらうため、心の問題が取り除かれないままで根本的な解決になっていない」と精神科の診察を勧める。

精神科の受診を

最近、全般性不安障害のメカニズムがかなり解明され、有効な薬物も分かってきた。薬は体が慣れて効き出すまでに、やや日数もかかり、また効果がでてきてもすぐにやめずに半年以上の服用が求められるが、長期間悩んでいた肩こりや頭痛がなくなるこどで、精神的にもずい分と楽になったと打ち明ける患者も多いという。

越野教授は「精神科での診察や、薬による治療ということに抵抗感を抱く人はまだ多いが、適切な治療を受けれぱほとんど治る。例えて言うなら、眼鏡をかけるのがカッコ悪いといって車の運転をしないより、眼鏡を我慢してかけて車を運転する生活の方がよい、というくらいの考えで受診してほしい」と話している。

全般性不安障害の自己診断

そわそわと落ち着かない
疲れやすい
集中できない
イライラする
肩こり、歯痛など筋肉の緊張
眠れない、熟睡できない
不安や心配ごとが半年以上続いていて3つ以上該当する症状があると疑いあり

加茂整形外科医院