腰痛の原因は何か?

What is the Cause of Back Pain?


最近、NewYorkで開かれたISSLSの教育講座で、ある出席者がパネリストの著名な脊椎外科医らに腰痛の原因に関して質問した。「特定組織あるいは解剖学的にはどの部位が最も多くの腰部症状を引き起こしているとお考えですか?」

「全くわかりません」と、Carolinas Medical Centerの整形外科医Edward Hanley医師は答えた。「様々な研究で、疼痛に対して感受性があり、腰痛を引き起こす可能性のある多くの組織が示されています。その中には、後方線維輪、後縦靱帯、神経、血管、さらには骨まで含まれています。疼痛がどこから生じているかを知ることは非常に困難であると思います。さらに、どの患者が[固定術で]脊椎を固定すれば症状が改善されるかを予測することも、非常に難しいと思います」。

一方、オーストラリアのAdelaideの脊椎外科医Robert Fraser医師は、「私の臨床経験から、大部分の腰痛は椎間板に起因していると思います」と述べた。腰痛の発生部位は椎間板の内部あるいは外部にある。

「わかりません」と強い調子で答えたのは、脊椎研究の先駆者であるスウェーデンのGothenburg大学のAlf Nachemson医師であった。「私はこの分野の研究を始めて50年になりますが、全くわかりません」。

この発言をとがめるようにFraser医師は遮った。「ばかばかしい、何をおっしゃるんですか?」Fraser医師は、腰痛が椎間板起因であることを裏付ける何よりの証拠は、1976年のSpineの創刊号に掲載された学術論文に示されていると指摘した。

「大変にすばらしい論文でした。この論文には、椎間板を最も確かな腰痛の原因と考える6つの明らかな証拠が述べられています。『腰椎:整形外科の挑戦』というタイトルの論文です。そして、この論文の著者は他ならぬAlf Nachemson先生なのです」と、Fraser医師は勝ち誇ったように言い放った。

Nachemson医師はFraser医師の発言をしぶしぶ認め、「けれども、疼痛の正確な原因は科学的研究によってまだ証明されていないとも述べています。私は、疼痛の原因はいずれ明らかにされるものと思っておりますし、多くの腰痛が何らかの形で椎間板と関与していることも確信しています。しかしながら、脊椎の周囲に疼痛を引き起こし得るそれ以外の構造物があることも確かなのです」。

The BackLetter,11(9):101.1996.


(加茂)

専門家がなぜこのような議論をしているのか不思議でならない。専門家の頭から腰の多くの部分を占める筋肉という臓器がすっぽり抜け落ちています。これでは信用できませんな〜。

「特定組織あるいは解剖学的にはどの部位が最も多くの腰部症状を引き起こしているとお考えですか?」

加茂「それは疑いもなく筋筋膜です。腰痛を引き起こしているところ、言い換えると、どこの侵害受容器(ポリモーダル受容器)が感作しているかということです。解剖学的に交感神経、血管、ポリモーダル受容器の多いところで、また私の治療経験(ブロック注射)からもほとんどの腰痛は筋筋膜痛だと思っています。」

「・・・疼痛がどこから生じているかを知ることは非常に困難であると思います。」

加茂「局所麻酔を注射して痛みがとまるところが疼痛の生じているところと思われます。」

加茂整形外科医院