症例75  手術寸前!すべり症(脊柱管狭窄症)

Aさん(60歳代、男性)

元来、腰痛ぎみであったが、農作業をこなしていた。3ヶ月前より立ち上がると両下肢全体がしびれるようになった。家の中を歩くことも困難。3〜4年前にも一度あったとのこと。腰を後屈するとお尻から大腿の裏に放散痛あり。寝るとき、右股関節のあたりがやめる。1W前から肩こりが出てきた。某病院を受診して第5腰椎のすべり症による脊柱管狭窄症ということで手術をうけることにしていた。知人に手術はあわてることはないので、当院を受診するようにすすめられた。

 

圧痛点ブロックとレーザー照射、マッサージ、それに下肢が痙攣することがあるとのことで、「芍薬甘草湯」を処方する。

7日後(5回目の受診):今朝は痛みなく起きられた。しばらく歩いたら、右臀部がしびれてきた。

11日後(7回目の受診):当初の痛みの半分になった。300mぐらい歩くと大腿の裏がしびれてくる。下肢の前面と下腿のしびれはなくなった。足裏にチリチリ感がある。


コメント

7回のちょっとした治療で3ヶ月続いている痛みやしびれが半減しました。一時は手術の覚悟をしていたそうですが、表情が明るくなってきました。

手術をして必ずよくなるという保障はないし、一刻を争う病態でもない。ゆっくり治療をしてみるべきでしょう。きっとよくなると思います。

前医がどれだけ「不安をあおる」説明をしたか?は気になりますが・・

「将来、歩けなくなる」とか。また術後よくならない場合にそなえて、「これ以上悪くなるのを止める」とかいうのはよく聞く言葉ですね。!

半年前にレントゲンやMRIを撮っても同じ所見が得られたことでしょうが、そのときは苦痛になるほどの症状はなかったのです。構造と痛みやしびれの因果関係は証明されていません。

すべり症と腰痛の関係

しびれや痛みは神経症状ではありません。知覚や運動の麻痺はみられません。しびれや痛みは麻痺の前駆症状ではありません。しびれや痛みは筋痛症(myalgia)だと思っています。

整形外科医は、このような症状を神経根症状とか、椎間関節由来の関連痛とかいう考え方をすることが多いものです。そのため、安静や動作の制限を指示したりします。そのため、患者さんはますます運動不足や不安がおこります。これは筋痛症を悪化させます。

筋痛症の原因はストレスだと思います。なぜその部位に起きたかは説明できません。円形脱毛症にしても、胃潰瘍にしても、蕁麻疹にしても多くのストレス疾患(心身症)も同じくなぜストレスがなぜその部位を選んで、そのような症状を起こすのかを説明することができません。

可能なかぎり痛みやしびれを除去してやること、自信をもってよく動くこと、治癒を保障してやること。つまり前医とは逆なことをすればいいのです。(^^

加茂整形外科医院