failed back surgery syndromeの再手術と硬膜外脊髄刺激法の比較研究

Spinal cord stimulation versus repeated lumbosacral spine surgery for chronic pain: a randomized, controlled trial

North RB, Kidd DH, Farrokhi F, et al: Neurosurgery 56: 98-106, 2005

ペインクリニック Vol.26 No.5(2005.5) 文献抄訳より


目的:

腰仙椎手術後の患者の10〜40%で、慢性痛あるいは再発痛を生じる。これは、failed back surgery syndrome (FBSS)であり、様々な疼痛管理(内科的、外科的、リハビリテーション、行動療法)が行われている。FBSSに対する治療として、再手術と硬膜外脊髄刺激療法(spinal cord stimulation: SCS)を検討し、SCSがより有用であるかどうか検証した。

方法:

対象は術後3年が経過した1回以上の手術歴を持ち、手術によって治療できる神経の圧迫とそ
の所見と一致する慢性痛あるいは再発した根性痛の患者とした。同意の得られた60名を再手術群とSCS群に分け、前向き無作為研究を行った。それぞれの群での治療後、希望があれば他方の群に移り治療を受けることができるようにした。疼痛の状態や満足度について、質問表を用いて1年に1回、最低2年間、評価した。

結果:

45名の結果が得られた。再手術群からSCS群に移る割合は、SCS群から再手術群に移る割合より有意に高かった(p=0.02)。長期間の経過で、SCS群は再手術群より有効であった(<0.02)。50%以上の除痛が得られて治療に満足した患者は、SCS群で47%(9名/19名)、再手術群で12%(3名/26名)であった。SCS群から再手術群に移った患者で有効であったものはいなかった。再手術群では麻薬性鎮痛薬の使用頻度が高かった(p<O.025)。仕事への復帰能力に,治療による有意差はなかった。

結語:

SCSは合併症が少なく,埋め込みの前に試験刺激を行い、効果を確かめることができる.腰仙
椎手術後の慢性痛あるいは再発痛に対して,SCSは再手術よりも良好な結果を示した。


立山真吾 (宮崎大学医学部麻酔学教室)

加茂整形外科医院