変形性膝関節症


治療の基本は悪循環を断つこと

変形性膝関節症の治療の根本は、この悪循環からなんらかの方法でまず抜けだして、いわば「良循環」に向かうようにすることです。

ひざの痛みを適切な方法で軽減させることがまず第一歩です。そしてつぎに痛みが軽くなったぶんだけ、その程度に応じてひざを動かして活動量を少しずつ高めていきます。それによって弱くなる一方であった筋肉、靭帯、軟骨、骨の弱化を防いでとめ、少しずつ強化する方向へと向かわせます。この循環が根づいていくと、ひざの痛みの減少はじょじょに確実なものとなります。ひざの動かし方、使い方も、治療の最初のころの「おそるおそる注意しながら」という段階から、だんだんとふつうの動かし方ができるようになります。これによってさらにいっそう、ひざの強化が図られる「良循環」がじょじょにしっかりと身につくようになるというものです。このようにしていったん強くなったひざ関節は以前のようにわずかな負担で痛くなったり、炎症が再発するということがなくなります。この方法をとれば、昔ながらの治療法であった安静→活動の制限→世界が狭くなる、といった道筋が、運動療法→じょじょに活動が広がる→世界が広くなる、というふうに、生活自体もよいほうへ変わってくるという大きな利得があるのです。

1sの重り     5秒間  20回

 

正座をしても軟骨はすり減らない

「正座をしてはいけません」「これからはいすの生活がよいでしょう」というアドバイスを受けたことがある人は大勢いらっしゃるでしょう。しかし、私はこのように患者さんにいったことはありません。正座を避けるのは、かえって弊害が多いのです。というのは、拘縮を固定させてしまうからです。変形性膝関節症の初期のころから、拘縮の傾向がでてきて、正座をしようとしても完全にはひざが曲がりにくくなります。むりに正座をしようとすると、最後には痛くなるので、きちんと座らなくなります。そこに追いうちをかけるように「正座はいけない」といわれるので、正座をしなくなります。まるで、正座をすることが、病気を進ませてしまうと思っているようです。しかし、これには因果関係はありません。たしかに正座をすると痛みがでます。けれどもそれは痛みという症状のひとつです。症状と病気とは分けて考えなくてはなりません.正常なひざは、齢をとっていても深く曲げられるし、ピンと伸ばせます。変形性膝関節症でひざが曲がらなくなるのは、拘縮のためですから、拘縮に対しては別の対策を立てて治療しなくてはならないのです。最後まで深く曲げられるように訓練するということです。

「水を抜くとクセになりますか」

たとえば、カゼをひいたとき、鼻をかんでも、また鼻水がでてきます。そのような意味ならクセになるといえます。しかし、鼻をかむ行為がつぎの鼻水を誘発するかというと、そのようなことはありません。そのような意味ならクセにはなりません。クセになるかどうか、というときには、「ひざの水を抜くことが、つぎの水を誘発する因子になる」という 意味が一般的に含まれて流布していますが、そのようなことはないのです。水を抜いてもすぐたまるのは、水を抜くだけで、水がたまる原因に効く治療をしないからです。ただ抜くだけでは、ダメなのです。それで、なんとなく、水を抜いたことが、つぎの水をためる原因になっているように誤解されてしまうのでしょう。水がたまるというのは、変形性膝関節症の状態がたいへん悪いということにはつながりません。カゼにも、鼻水がたまる症状のカゼと、のどだけが痛むカゼ、高熱がでるカゼなどさまざまなタイプがありますが、では鼻水がたまるカゼは悪いカゼなのでしょうか。そうではないことがもうおわかりいただけたでしょう。

以上「ひざの痛みをとる本」  黒澤 尚 著  より引用


治療

消炎鎮痛剤  トリガーポイント注射・・・・ひざの周囲の筋痛    ひざ体操   

 関節内注射   レーザー照射       

痛みとレントゲン上の変化(軟骨の状態)は比例しません。軟骨ばかりに気をとられるよりも膝の周囲の圧痛点に着目し、そこをブロックすると痛みが取れ、「良循環」のきっかけになります。

加茂整形外科医院