腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアー神経ブロック有効率、手術適応追加

第39回日本ペインクリニック学会


長野赤十字病院第一麻酔科の荻原正洋部長は,腰部脊柱管狭窄症,腰椎椎間板ヘルニアについて「神経ブロックの適応,神経ブロックの有効率,手術適応を追加した」と述べた。

腰部脊柱管狭窄症では自覚症状を優先

荻原部長によると、腰部脊柱管狭窄症への神経ブロックの適応について、
  1. 手術を希望しないまたは全身合併症で手術が困難な場合
  2. 適応症状は腰痛、下肢痛、下肢の痺れ、異常知覚、間欠跛行
  3. 適応ではないが脱力、下垂足、膀胱直腸障害、持続性勃起−を記載し、治療法の選択には自覚症状が他覚的な重症度より優先されるとした。

神経ブロック療法ではランダム化比較試験(RCT)の有無と有効率を記載。RCTありでは腰部硬膜外ブロック(有効率50〜70%)、神経根ブロック(同60〜70%)、トリガーポイント注射(同60〜80%)で、RCTなしが仙骨ブロック(同50〜70%)、椎間関節ブロック(同50〜70%)、腰部交感神経節ブロック(同24〜48%)であった。

腰椎椎間板ヘルニアについては,神経ブロックの適応を急性期および慢性期の下肢痛、急性期の腰痛とし、神経ブロック療法のRCTありが腰部硬膜外ブロック(有効率42〜74%)、神経根ブロック(同27〜80%)、RCTなしがトリガーポイント注射(同60〜80%)、大腰筋筋溝ブロック(同50%)、椎間板内あるいはヘルニア腫瘤内加圧注入(同44〜75%)で、追加されたのは経皮的髄核摘出術(同72%)、経皮的レーザー椎間板除圧術(同75〜89%)であった。

また、手術適応について

  1. 急性の膀胱直腸障害を呈する
  2. 進行する神経脱落症状が認められる
  3. 神経緊張徴候が強陽性で重篤な神経脱落症状を伴う
  4. 保存療法が無効
  5. 患者の希望−を追加記載した。

加茂整形外科医院