手根管症候群における疼痛発生機序

三重大整形(第20回日本整形外科学会基礎学術集会ー抄録集、日整会誌79巻8号 2005)


【目的】

手根管症候群(CTS)の治療決定の際に電気生理学的検査よりも自覚症状の重症度で決定されることは多い。我々は、自覚症状を客観的に評価するためにMRIを撮影し電気生理学的検査、疼痛との関係を調べ、重症度におけるMRIの役割を検討してきた。またMRIでは重症例に屈筋腱滑膜の肥厚が高頻度に認められることが明らかになり、我々はCTSの病態の本因が腱滑膜の血管病変にあると考え、疼痛と血管病変との関係に着目し検討を行った。

【対象と方法】

【結果】

【考察】

MRIはCTSの客観的評価法として有用であることが示された。また、腱滑膜内の増殖性動脈変化の存在が明らかになり、その進行にMMP2が関与する可能性が示された。CTS患者の自覚症状が滑膜病変の進行する早期から中期に強いことから、これらの病変がCTSにおける疼痛に深く関与することが示唆された。


(加茂)

手根管症候群は絞扼性神経障害というよりかは、血流に関係する状態、炎症性疼痛と考えたほうがよいと思う。

手根管症候群の治療は不用

MSDの例として、腰痛、坐骨神経痛、手根管症候群、回旋腱板症候群、足根管症候群、外上穎炎および腱炎のような、とても特異的とはいえない各種の状態を引用している。

手根管症候群の病態

三重大整形(第20回日本整形外科学会基礎学術集会ー抄録集、日整会誌79巻8号 2005)


【目的】

手根管症候群(CTS)は整形外科の日常診療において最も頻度の高い疾患の一つであるが、その病態については不明である。MRIを用いた検討でCTS患者の95%に腱滑膜の増大が認められ、この所見が主要な原因である可能性が示されてきた。そこで我々はCTSにおける腱滑膜腫脹のメカニズムにmass effectをもつversicanとそれを誘導し、細胞外マトリックスの再構築に関与するtenascin-C(TN-C)について検討を行った。

【対象と方法】

【結果】

【考察】

血管でのTN-C発現は病期の進行と関連があり、冠動脈、肺動脈での報告と同様にCTS滑膜でも血管内皮においてTN・CがYersicanを誘導し、そのmass effectが血管病変を引き起こしていることが疑われた。関連性は不明であるが、TN-C発現が血管で高いのと同時期に結合織でyersicanが高発現していた。これによるvolume effectが腱滑膜の肥厚と関連していることが考えられた。

加茂整形外科医院