ラット椎間板ヘルニアモデルにおけるTNFぴ選択的阻害による痛み行動の変化

千葉大学(第20回日本整形外科学会基礎学術集会ー抄録集、日整会誌79巻8号 2005)


【目的】

椎間板髄核細胞はTNFαを産生する。これまで、ラットによる痛み行動実験で、髄核脱出と神経根圧迫の組み合わせによってallodiniaやhyperalgesiaが観察されることが報告されている。このモデルにTNFαのモノクローナル抗体であるinfliximabを投与することによって、痛み関連行動が減少することも報告されている。しかし、このモデルヘのinfliximab投与によってallodiniaやhyperalgesiaがどう変化するかについての報告はないので、この点について検討した。

【方法】

【結果】

【考察】

これまでに、後根神経節への機械的圧迫因子のみでは痛み行動は観察されず、椎間板髄核からの化学的因子が同時に加わることにより痛み行動がみられることが報告されている。今回の結果から後根神経節への化学的障害因子となるTNFαがinfliximab投与によりブロックされると痛み行動が現れなくなることが示された。また、今回示された結巣は、これまでに報告されているinfliximab投与による「頭の傾け」や「脚上げ」といった痛み関連行動の減少と関連した結果と考えられた。

【結論】

椎間板ヘルニアによる痛みは,TNFαをブロックすることにより抑制されることが示唆された。


(加茂)

ならば、人の痛みのあるヘルニアといわれているものはすべて脱出型ということになるのか?

脱出した髄核はもちろん後根神経節以外にも接触しているのだから、そちらの方にも炎症は起きると思うのだが、それによる痛みの可能性もあるね。ネズミだから、どこがどのように痛むのか言わないから・・・。

後根神経節が炎症を起こすと痛みが起きるメカニズムは?

腰椎椎間板ヘルニアモデルにおける後根神経節でのAcid-sensing Ion Channel 3の発現

千葉大学(第20回日本整形外科学会基礎学術集会ー抄録集、日整会誌79巻8号 2005)


【目的】

腰椎椎間板ヘルニアヘの除痛目的に神経根ブロックが用いられる。一般に短時間作用型の局麻剤(Na channel blocker:リドカイン)を注入するが、一回のブロックで長期効果が認めることが多い。この機序として痛みの悪循環を断ち切るための効用と一般に認識されているが詳細な機序は不明である。そこで今回、腰椎椎間板ヘルニアモデルでの後根神経節内のNa channelの一種Acid-sensing ion channel 3の発現と、リドカインの影響を調べたので報告する。

【方法】

【結果】

【考察】

ヘルニア群で2週までに疼痛に関与する後根神経節の小型から中型細胞にAcid-sensing ion channel 3の発現が認められたことは、このchannelが神経根性疼痛に何らかの関与を与えているものと考えられた。短時間作用型ではあるがリドカインはこのchannel発現の長期抑制と疼痛過敏を抑制する作用を有し、臨床における神経根ブロックの長期作用例の機序との関連が示唆された。

加茂整形外科医院