社会不安障害

こころが ツライ フツー の人々ー人前不安を理解するためにー

大野 裕 監修


社会不安障害という病気は聞いたことがありませんが、一般的な病気ですか?

社会不安障害(社会恐怖)は、「見逃されてきた不安障害(神経症)」と言われるほどで、1980年代になるまではほとんど注意を払われてきませんでしたし、まれな病気だと考えられていました。

しかし、よく調べてみると社会不安障害に苦しんでいる人が非常に多いことがわかってきました。例えば、地域で生活している1600人あまりの人を調査した日本の研究では、1.6%の人が調査時点までに社会不安障害にかかったことがあることがわかりました。

また、欧米の研究では、発症年齢は15歳前後で、その後長く症状が続く人が多いこともわかっています。しかも、自分の性格が悪いのだと考えてひとり苦しんでいる人が多いのもこの病気の特徴です。社会不安障害が治療可能な病気だということを知ることは大切です。

社会不安障害の症状について教えてください

人からの評価に敏感で、人前で恥ずかしい思いをするのではないかとひどく心配になって、苦しい思いをしたり、日常生活に支障が出てきたりするようになります。多くの人の前で話をすること、人から見られたり注目されたりすることなど、人とふれあうような場面で恐怖心が生じてきます。

また、この程度のことで不安になるのは問題だと考えて、人とつきあうような場面を避けるようになります。それと同時に、紅潮、発汗、震え、動悸、どもり、吃音、消化器症状などの種々の身体症状も出現してきます。

こうした症状のためにますます不安が強くなり、人前を避けるようになるという悪循環が生じてきます。また、そのために、学業、就職、婚姻などの社会生活に大きな問題をかかえることにもなります。

どういう治療法があるのですか?

薬物療法と精神療法が効果的だと言われています。薬に関してですが、1つや2つの限られた場面でしか症状が出ない軽い状態の場合には動悸を抑えるβブロツカーと呼ばれる薬やベンゾジアゼピン(BZD)系の抗不安薬が用いられることがあります。

また、いろいろな場面で症状が出てくる中等症〜重症の例ではセロトニンという脳内物質に選択的に作用する抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や強いタイプの抗不安薬が効果的だとされています。

こうした薬物療法に加えて、認知行動療法などの精神療法も効果があります。これは、段階を踏んで不安な状況に身を置き、心配したようなことが起こらないということを身をもって体験していく方法で、薬物療法に匹敵するほどの効果がでることがあるとされています。

加茂整形外科医院