ヨガが慢性腰痛に対して自己治療よりも有効である可能性

ランダム化試験において、ヨガは機能改善と慢性腰痛の軽減に関して自己治療の参考書よりも有効であり、効果は数カ月以上持続した
Laurie Barclay, MD
Medscape Medical News
Reviewed by Gary D. Vogin, MD


ヨガは、慢性腰痛の患者の機能改善と疼痛緩和に関して、自己治療の参考書の使用よりも有効であるというランダム化試験の結果が、『Annals of Internal Medicine』の12月20日号で報告さ
れた。

「慢性腰痛は一般的な症状ではあるものの、有効性の限られた治療選択肢しかない」と、Group Health Cooperativeおよびワシントン大学(シアトル)のKaren J.Sherman, MDらは述べている。「ヨガは、運動になるというだけでも、または精神を集中させる効果があることから、腰痛患者に利益をもたらす可能性がある。ヨガを慢性腰痛に対して評価した西洋の生物医学文献の報告はこれまでなかったので、われわれはこの疾患に対する有効性と安全性を評価する臨床試験を計画した。」

非営利の総合医療保険システムにおいて、慢性腰痛のある101例の成人を、12週間のヨガ講習もしくは従来の運動療法の教室、または自己治療の参考書のいずれかに無作為に割り付けた。主要エンドポイントは、改変した24ポイントのRoland活動障害尺度を用いて評価した腰に関連する機能的状態、および11ポイントの数値尺度を用いて評価した疼痛の「厄介度」とし、両方とも12週目に測定した。臨床的に意味のある変化を、機能的状態の尺度については2.5ポイント、および厄介度の尺度については1.5ポイントと定義した。副次的エンドポイントは、活動が制限された日数、全身的健康状態、および医療の利用であった。

ベースライン値について調整した後、12週目のヨガ群の腰に関連する機能は、参考書群および運動群よりも良好であった(ヨガ vs 参考書:平均差、-3.4;95%信頼区間[CI]-5.1--1.6;P<0.001;ヨガ vs 運動:平均差、-1.8;95% CI -3.5--0.1;P=0.034])。

12週目には、いずれの2群間にも症状の厄介度に関して有意差は検出されなかったが、26週目には、ヨガ群がこの評価尺度に関して参考書群よりも良好であった(平均差、-2.2;95% CI -3.2--1.2;P<0.001)。26週目のヨガ群の腰に関連した機能も、参考書群より良好であった(平均差、-3.6;95%CI -5.4--1.8;P<0.001)。

「ヨガは、機能改善と慢性腰痛の軽減に関して、自己治療の参考書よりも有効であり、効果は数カ月以上持続した」と著者らは述べている。「Bikramおよびvinyasaのようなスタイルのヨガはヨガに慣れていない腰痛患者には強すぎる可能性があり、他のスタイル(例えばIyengar)は通常のやり方から、腰痛患者に適するように修正する必要があるだろうという点に、留意することが重要である」。

研究の限界には、経過観察期間が26週間に限られていたこと、標本の大きさがそれほど大きくなかったこと、被験者は比較的教養があり機能が良好であったこと、非盲検試験であったこと、および各インターベンションを行うインストラクターが1名のみであったことが含まれる。

「医師は患者に、腰痛患者を指導した経験があり身体活動の結果として生じる症状の再発に患者が対処するのを手助けできるインストラクターを選択するよう勧めるべきである」と、著者らは結論づけている。「慢性腰痛に対してヨガを評価する今後の研究では、その作用メカニズムと、より多様な集団やより重症の腰痛患者においても同様の結果が得られるかどうかを検討すべきである。」

米国立代替医療センターおよび米国立関節炎・筋肉・皮膚疾患研究所が本研究を支援した。著者らは、関連のある金銭的関係はないと公表している。

Ann Intern Med. 2005;143:849-856

加茂整形外科医院