症例81 線維筋痛症といわれた痛みが抗うつ薬で著明改善
メールで失礼します。私は、介護支援専門員をしております。○○県在住Aと申します。最近在宅からの相談で線維筋痛症の患者さんの相談を受けました。
**歳*性の方です。ご家族のお話では○○市内の主な病院は全部回ったが病気の特定を受けられず、たまたまテレビで見たXの病院(Y大学病院)に受診し線維筋痛症と診断されたとの事です。
市内の病院では、線維筋痛症の治療は分からないといわれてきるとのことです。現在はYで出してもらった処方をそのまま継続しているだけとのことです。
症状は疼痛と体が押しつぶされそうに重いと訴えられます。私はNsですがこの病識がなく、調べていたところ先生のホームページを見つけました。
遠くの病院だと諦めていましたが、石川県でしたので是非ご家族にお伝えしたいと思います。
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患者さんが今困っておられる疾患があと一つありました。反射性交換性異栄養症だそうです。左の肩から腕・手に痛みがあるそうです。こちらも同じようにY病院Drの診断だそうです。 無力なケアマネですが、受診の際には同行させていただき自分のできるサポートはさせてもらう予定です。
○月X日 初診
自力歩行困難で車いすを使用。H元年ころよりあちこち痛くなりだした。リウマチと言われたこともある。
今年4月左腕と両下肢が腫れる。反射性交感神経萎縮症といわれた。8月頃より体全体がなまりのように重たい。
ほとんど会話ができないほど落ち込んでいる。睡眠は2時間ほどで目がさめる。
Y病院の処方を見せてもらいました。ステロイド剤、抗不安薬、などで抗うつ薬は処方されていませんでした。
「このお薬を1年弱飲んでいますが、よくなっていませんね。思い切って処方を変えてみませんか?線維筋痛症だとしても私はステロイド剤は使いたくありませんし、たよりにすべき薬は抗うつ薬だと思っています。」
このようにご家族を説得して処方をかえました。TVで放映された線維筋痛症の専門の病院からでている処方を町の診療所の整形外科医が変えようというのですから、ご家族も半信半疑のようでした。
次の処方にしました。
デプロメール50mg1錠(抗うつ薬:SSRI)
ドンペリドン1錠(吐き気止め:副作用防止のため) |
夕食後 |
メイラックス2mg1錠(抗不安薬) |
朝食後 |
ドラール(眠剤) |
就寝前 |
1W後
著変なし
デプロメール50mg2錠にする。
1ヶ月後
自力で歩いて来られる。笑顔で自分から話をされる。
体のビリビリ感がとれた。眠られるようになった。生きようとする気がでてきた。
デプロメール50mg |
2錠分2 |
メイラックス2mg |
1錠 |
デパス0.5mg |
3錠分3 |
ケアマネさんからメール
○○○○様は見違えるほど元気になられました。本当にありがとうございます。2週間ほど前に訪問したときにも笑顔があり、食欲も出てきたとのことでしたが、本日訪問したところ、また一段と元気になっておられ笑顔でお話されていました。会うたび日毎に元気をとりもどされ、表情も生き生きされています。
私は、患者さんと共に悩み動くことしかできないケアマネですが、先生に回り逢えた事で○○さんが本当に元気なられてよかったです。先生の病院が少し遠いことが残念です。
先生の病院にいく前は、ご本人はもちろんですが、対応に困り果てたご**と**さん、一家心中でもしないかととても心配でした。本当にありがとうございました。
コメント
診断は線維筋痛症でもいいと思います。線維筋痛症の専門家が診ればそうなるでしょうし、うつの専門家が診れば「うつ」になるでしょう。このような疾患の診断名はその程度のものだと思っています。
どちらにしても治療法に差はないでしょう。医師の持っているカードは抗うつ薬と抗不安薬です。それをどう使うかが問題となってきます。
私はステロイドは賛成できません。抗不安薬は漸減、抗うつ薬は当分維持のつもりです。
効果がない処方は思い切って変えてみるべきです。
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