〔ニューヨーク〕 Soroka医療センター(イスラエル)のDan
Buskila博士が率いる研究チームは,頸部損傷を受けた患者は線維筋痛症候群(FMS)を発症するリスクが高くなる、と『Arthritis
and Rheumatism』(40:446-452)で報告した。
患者の21.6%が発症
FMSは一般人口の約 2
%に起こり、全身に及ぶ硬直と疼痛がおもな症状として挙げられる。FMSの病因は分かっていないが、新しい知見は頸部損傷が原因の可能性があることを示唆している。
Buskila博士らは,頸部損傷患者102例と脚部骨折患者59例を対象に非関節部圧痛とFMSの有無について評価したところ、事故発生
3 か月後、頸部損傷患者では21.6%がFMSを発症していたのに対し、対照群では1.7%のみだった。
オレゴン保健科学大学(ポートランド)関節炎・リウマチ性疾患科のRobert
Bennett部長は「これは非常に興味をそそる重要な報告だ。疼痛は10年、15年またはそれ以上続くことがあり、精神的ストレスの原因となる。しかし、この疾患に対する治療法は現在まだない」と述べた。
ケントフィールド・リハビリテーション病院(カリフォルニア州ケントフィールド)線維筋痛クリニックのPaul
Davidson部長は「ストレスはFMS発症に大きな役割を果たしている。ほとんどの人は頸部と肩帯部にストレスを受けているので、もし何かがこの部分を刺激した場合、FMSを引き起こす可能性がある」と述べた。