痛みの可塑性  慢性痛発生の機序


  • 痛み系は古く、原始的で未分化であり、可塑性に富む系である。
  • 痛覚入力が持続する病態時には神経系に可塑的変化が起こり、それが、いわば神経回路における一種の記憶として残った結果、慢性痛が生じる。
  • 慢性痛では、痛みが組織の障害状態を示すという痛みの最もおおいなる役割であるアラーム信号として働くことはない。
  • 交感神経系と絡みあう病態痛
  • 慢性痛、この歪んだ難治性の痛みを作り出さないために、不必要な痛みを放置しないことが重要

日本整形外科学会誌73:1999 教育研修講座 より

可塑性 〔粘土・プラスチックなどのように〕強い力が加わった時に、形が変わってしまい、そのまま元に戻らない性質。Plasticity

痛みの早期遮断の重要性について


  • 痛みは末梢組織だけの出来事ではなく、痛覚を受容する中枢神経細胞に与える影響が極めて大きい。
  • 慢性疼痛やカウザルギーなどは痛みのニューロンの可塑性(Neuro−plasticity)に基づいておこる。
  • 慢性疼痛への転化を防ぐために「痛みの早期遮断」は重要である。

先取り鎮痛


痛みが記憶されることが判明して以来、術後痛など必ず生じる痛みに対しては痛みが生じてからではなく、痛み刺激が中枢神経系に入力される前から鎮痛する先取り鎮痛法が試みられるようになった。手術による侵害刺激を中枢神経系に伝達させないためには、伝達麻酔による神経ブロックが最も有効であり、視覚、聴覚的ストレスには全身麻酔による意識の除去が最善である。

痛みのワインドアップ現象


繰り返し痛みの刺激が加わると次第に痛みが強くなる。これは痛覚神経終末(脊髄後角部)で伝達物質放出が増加し、最初の痛み情報が次に送られてくる痛み情報を増幅することによる。

 

加茂整形外科医院