無作為研究でレーザー椎間板手術の成績ふるわず


レーザー椎間板除圧術は、最近の無作為研究において有効とは認められなかった。Scunthorpe &Goole Hospitals(英国、NorthLincoln-shire)のJ.P.Livesy博士らは、「この無作為対照比較研究は、腰椎の椎間板突出による神経根性痛の緩和に関して、KTPレーザー椎間板除圧術が腰椎硬膜外ステロイド注射よりも有効とは言えないことを示しています(Livesyetal.,1998を参照)」と述べている。

この研究は、レーザー椎間板除圧術の成績がふるわなかったため、対象患者が34例になったところで中止されている。

彼らは、内包性の椎間板ヘルニアで、緊張徴候が陽性の患者を対象に研究を行った。患者をKTPレーザー椎間板手術か腰椎硬膜外ステロイド注射のいずれかの治療法に無作為に割り付けた。評価は、施術前および1,2,4,8,12および26週間後に第三者の評価者によって行われた。

疼痛の評価にはMcNab基準を改変したものを、無痛可動域の評価には下肢伸展挙上テストを、生活の質(QOL)の評価にはOswestry腰痛問診票をそれぞれ利用した。

両群の患者とも、追跡調査で改善がみられた。しかし疼痛、下肢挙上テストまたはQOLの評価に関して、両群間に有意差はなかった。すなわち、レーザー椎間板除圧術は、非侵襲的で低コストの硬膜外ステロイド注射よりも有効とは言えなかった。ただし、この研究は小規模であり、レーザー椎間板除圧術に関する包括的な主張を正当化できるほどの症例数や研究方法ではない。

この研究からは、レーザー椎間板除圧術が椎間板ヘルニアなどの病理学的脊椎異常に効果があることを示す(無作為研究による)科学的根拠は、今のところないということが読み取れる。この根拠が証明されるまでは、脊椎専門医は、レーザー療法支持者の主張をうのみにしない方が賢明であろう。


Livesy JP et al.. Randomized controlled prospective study comparing laser disc 
decompression and epidural steroid injection in alleviating radicular pain 
secondary to prolapsed lumbar discs, presented at the annual meeting of the 
International Society for the Study of the Lumbar Spine, Brussels, Belgium, 
1998; as yet unpublished. 


The Back Letter 1998;13(7):75. I

加茂整形外科医院