症例6  五十肩

Aさん(60歳代、男性)、3月下旬、雨の日にゴルフをする。次の日より左肩痛出現。数日後、某病院を受診する。MRIの検査の結果、「肩の腱が切れかかっている」ので、安静が必要とのこと。2ヶ月間、可能なかぎり電気治療に通院する。一向に改善せず、夜間痛も出現。上肢の挙上時に激しい疼痛あり。医師に相談したところ「手術をして、3ヶ月間安静、3ヶ月間リハビリ」との説明をうける。昨年、当院で右の五十肩が治ったことを思いだして、6月上旬、当院を受診する。 図のように圧痛点あり。3週間前より、肘も痛いとのこと。肩は痛みのわりには可動域はよい。私はごく普通の五十肩(上腕二頭筋長頭腱炎)のように思ったが、患者さんは「動かすと骨が出るような感じがする」と言う。

ステロイド+局麻)を腱鞘内に、その他の圧痛点にトリガーポイントブロックをする。11日後、再診する。「ずいぶん良くなりました。夜もぐっすり眠れます。」(^_^)「ゴルフをしてもいいですよ。」「医者から切れかかっていると言われると、やっぱり心配なもんですよ。」「切れかかっているのなら、なぜ電気をあてに通っていたのですか?」「電気をあてていると切れかかっているところが治ると思っていました。」「右の肩もMRIで検査したら、切れかかっていると言われるかもしれませんよ。」 

コメント

MRIの功罪。こと「痛み」に関してはMRIによる画像診断の有用性は疑問を持たざるを得ない。(悪性腫瘍、感染症、出血、などに対しては有用)百歩譲って、腱板損傷を疑ったとしても、速やかに痛みを取る治療をまずしてやるべきではなかろうか。

加茂整形外科医院