Guidelines on the Treatment of Chronic Back Symptoms May
Not Offer Easy Answers
オーストラリアの研究者Nikolai Bogduk博士は最近、活動障害を引き起こす慢性腰痛の治療に関する証拠の個人的なレビューを行った。博士は、さまざまな治療方法について賛否両論の十分な証拠を見出したが、博士のレビューでは万能の治療法は同定されなかった。
急性腰痛の管理に関する証拠に基づくガイドラインを数年前に執筆したBogduk博士は、無作為研究、体系的レビューおよび最近のモノグラフの分析に基づいた新しいレビューを行った。
博士はまず初めに、オーストラリアの2つのガイドラインを含む証拠に基づく複数のガイドラインによって証明されたように、急性腰痛の治療については医療関係者全体に確かなコンセンサスがあることに言及した。
“これらのガイドラインでは、患者に説明を行って安心させ、恐怖心を緩和し、活動を促進し、受動的治療を回避させるため、患者との効果的なコミュニケーションを重要視している。これらをまじめに守るなら、これらのガイドラインは安全かつ有効で対費用効果に優れている”とBogduk博士は言及した(Bogduk,2004を参照)。
多くの治療は効果がない
慢性腰痛の治療が有効で対費用効果が優れているという証拠は、はるかに少ない。
Bogduk博士によると、“慢性腰痛の治療に関する証拠に準拠すると、(家庭医に)残された選択肢はほとんどない。確立された治療は効果がないか、または有効性が限られている。新たに登場した治療法は依然として議論の余地があるとみなされているか、または広く利用可能ではない”。
Bogduk博士のレビューによると、ほとんどの個々の治療は症状を取り除くのに特に有効だというわけではない。博士は、鎮痛薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、抗うつ薬、理学療法、およびマニピュレーション療法を例に挙げた。
運動療法は有益であるが万能ではないことに博士は言及した。“集中的な運動療法に基づいた集学的治療は身体機能を改善し、疼痛に対してはある程度の効果がある”。
手術による改善の見込みは限られている
Bogduk博士のレビューによると、手術は一部の患者にはいくらかの改善をもたらすが、“半数近くは改善を得られないだろう”。そして手術によって改善しない人々は、改善の見込みが不確かな、“failed
back surgery syndrome”という厄介なカテゴリーに入る可能性が高いことに博士は言及している。
手術によって改善しなかった一部の患者は、再手術または他の治療から改善を得られない。“Failed
back surgery syndrome”に対してはどんな治療も有効でないと証明されていると、博士は述べた。
一部の患者はいかなる治療によっても改善しない
Dennis Turk博士はThe Spine Journalの最近の論説で、重症の慢性疹痛を有する一部の患者は、いかなる治療でも完全な鎮痛は得られないと示唆した。
Turk博士にょると、“知識と経験が蓄積されていくにもかかわらず、多くの患者は利用可能なあらゆる治療でも自分が治らないことを知る”。博士は、オピオイド、抗痙撃薬および抗うつ薬による長期治療中の患者は、疼痛が30〜40%しか軽減しないと言及した。
Bogduk博士と同様、Turk博士も、手術あるいは再手術を受ける多くの患者はその後も長期間疼痛が続くと結論づけた。
そしてTurk博士によると、“患者を慎重に選択して埋め込み型薬剤投与システムおよび脊髄電気刺激法を使用した場合でも、多くの患者の疹痛が十分にコントロールされることはまれである”(Turk,2004を参照)。
参考文献:
Bogduk N, Management of chronic low back pain, Medical Journal of Australia,
2004; 1 80:79-83. Turk DC, Understanding pain sufferers: The role
of cognitive processes, The Spine Journal, 2004;4(1): 1-7.
The BackLetter No.38. October 2004