ストレスで交感神経が過度に緊張して起こる病気
新潟大学大学院医学部教授 安保 徹
免疫を高めて病気を治す「爪もみ療法」より マキノ出版ムック 監修 福田 稔
働きすぎや心の悩みが病気を招く
私たちの体は、自律神経によって整えられています。自律神経には交感神経と副交感神経が
ありますが、多くの病気は、「働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ」などの、過度なストレスによって、交感神経が一方的に緊張することで起こってきます。
交感神経の緊張が続くと、アドレナリンの作用が強まり、顆粒球が増加します。その結果、以下のような「四悪」が発生し、病気を呼び込むのです。13ページの図(下図)は、そのしくみをわかりやすくまとめたものです。ここでは、その図に沿って、「ストレスが病気を招くしくみ」を説明しましょう。
@顆粒球・活性酸素の増加による組織破壊
A血流障害
自律神経は、全身の血液循環も調整しています。交感神経が過度に緊張すると、アドレナリンの作用が強まる影響で、血管が収縮します。ストレスなどにより交感神経の緊張が慢性化した場合、血管はたえず絞られた状態になり、全身で血行障害が生じます。
血液は全身の細胞に酸素と栄養を送り、老廃物や体にとり込まれた有害物質を回収して排泄する働きをしています。血流障害によってこのサイクルが阻害されると、細胞に必要な酸素や栄養は届かず、老廃物や有害物質が体内に蓄積するようになります。
組織に痛み物質がたまると神経を刺激して、体のあちこちに痛みをもたらします。また、発ガン物質が蓄積すれば発ガンを促します。こうして体内環境が悪化すると細胞の活力が失われ、働きも低下するために、全身倦怠や集中力の低下、不眠など、心身両面にわたる不調が生じます。
血流障害が体に与えるダメージは実に多彩です。肩こりや頭痛、耳鳴りなどの不快症状だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞など、致命的な病気も引き起こします。
Bリンパ球の減少
C排泄・分泌能力の低下
肩こり、手足のしびれ、頭痛、腰痛、膝痛、各部の神経痛、関節リウマチ、五十肩が書いてありますね。(加茂)
副交感神経が過度に優位になっても病気は起こる
新潟大学大学院医学部教授 安保 徹
免疫を高めて病気を治す「爪もみ療法」より マキノ出版ムック 監修 福田 稔
リラックスのしすぎも病気を呼び込む
近年、日本人の生活が豊か・便利になるにつれて、ふえてきているのが、副交感神経が過度に優位になって起こる病気です。その原因としては、大人では運動不足や過食・過飲、子供では過保護やテレビゲームづけなどがあげられます。
副交感神経は心身をリラックスさせたり、休息に導いたりしますが、過度に優位な状態が続くと、以下にあげるような「五悪」が発生し、健康を害することになります。そのしくみを、図に沿って説明しましょう。
@リンパ球の増加によるアレルギー疾患の発症
A血管拡張による「うつ血」が起こる
B排泄・分泌能カの亢進
Cプロスタグランジンの作用で知覚が過敏になる
Dリラックス過剰による気カ・休カの滅退、過食による肥満
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