温湿布は一般的な鎮痛薬に取って代われるだろうか?

Could Heat Wrap Replace Common Pain Killers? 


温湿布は急性腰痛の治療において一般的な鎮痛薬の代わりとなる費用対効果の優れた手段になるだろうと、新しい研究で示唆された。

Scott F.Nadler博士らによる2002年の無作為比較研究によって、Procter and Gamble社が製造したThermacare温湿布が、急性腰痛の短期治療においてアセトアミノフェンまたはイブプロフェンよりも有効であったことが明らかになった。2ドルもしないこの廃棄可能な温熱剤は、最大8時間、40℃の温度を保持する(Nadler et al.,2002を参照)。

最近、英国のAdam Lloyd博十らが、Nadler博士らの無作為研究のデータを用いて、温湿布の費用対効果について検討した。Lloyd博士らは、急性腰痛の治療における一般的な鎮痛薬の代わりに温湿布を使用した場合に、英国の国民医療サービス(NHS)が負担する費用を知りたいと考えた(Lloyd et al.,2004を参照)。

温湿布の“1回分”の価格はアセトアミノフェンまたはイブプロフェンよりも著しく高かった。しかし、
Lloyd博士らがNadler博士らの研究で認められた温湿布の優れた有効性、および鎮痛薬の使用に関連する欠点を計算に入れたところ、相対的な費用の実態は異なることが明らかになった。

治療単位全体の費用モデルによると、1患者あたりの総支出は温湿布療法では27.77英貨ポンド、パラセタモールによる治療では34.20ポンド、イブプロフェンによる治療では36.04ポンドになる。

“この研究の経済的評価から、経口鎮痛薬の代わりに温湿布療法を導入することによってNHSの負担する費用がそれほど高額ではなく、温湿布療法が腰痛治療にかかる総費用を減らす可能性があることが示唆される”と、博士らは結論付けている。

これに懐疑的な人々は、医学界は新製品製造業者が資金を援助した研究のデータを解釈する際には慎重でなければならないと提言している。独立した研究によって最終的に温湿布の有効性および費用対効果について同じように肯定的な結論が得られるのかどうか、興味深いところである。

参考文献:

Lloyd A et al., Cost-effectiveness of low-level heat wrap therapy for low back pain, Value in Health, 2004; 7(4): 413-22. 

Nadler SF et al., Continuous low-1evel heat wrap therapy provides more efficacy than ibuprofen and acetaminophen for acute back pain, Spine, 2002; 27(10): 1012-27. 


The BackLetter 19(ro): 111, 2004. 

加茂整形外科医院