解熱薬の服用と同じ
風邪を引いて高熱を出したら、内科医から解熱薬をもらって飲む。それと同じことだと考えてほしい。食欲がないと言って内科で胃炎、と診断され治療を受けるが,すっきりしない。腰や肩が痛ぐて整形外科を受診しても、よくならない。あまりに頭が重いので、脳外科を訪ねてみたが異常はなかった。こういった症状を訴える人が軽い抗うつ薬でげろりと治ることがある。ことに昨年、日本でも発売されたことで話題となっだセロトニンの再取り込みを防ぐ薬(SSRI=選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、「性格を変える薬」と言われるほどに、軽い抑うつ状態の人には早く効くなど、薬の世界も進化している。早いうちに治療すれば治りがいいのは、風邪も骨折もうつ痛も同じこと。心の病気はほうっておくと悪<なる一方であることも見逃せない。「頭全体に重いなべをかぶっているような感じ」「胸がぎゅっと苦しくなる」「のどぼとけのところまで何かがつかえていて息苦しい」こんな悩みがあるのなら、一度、心の專門家を訪ねてほしい。私が診療を受け持つストレス専科では「胸のつかえはとれましたか」「きょうはみぞおぢのあたりまですっきりとしています」という会話が医師と患者の間で交わされている。あまり科学的には聞こえないかもしれないが、神経間の物質の流れをスムーズにする治療を施し、その効き目を体験的な言葉で話すとこうなるのである。
平成12年 北国新聞 「働く人のストレス」 より
福井松原病院副院長 すずき きみこ
身体症状を主訴とするため、軽症うつ病患者の多くは一般診療科を受診
うつ病は誰でもがかかる可能件のある疾患です。その頻度は高く、米国では男性の5〜12%、女性の10〜30%がかかるとされています。日本においても、WHOの推計では総人口の3〜5%ぐらいはうつ病患者と思われます。このように患者さんが多いにもかかわらず、実際に治療を受けている患者さんは非常に少ないのが実情です。その理由は、軽症うつ病では精神症状が表に現れず、主に身体症状を訴えるため、患者さんは該当する一般診療科を受診するからです(例えば、おなかが痛ければ消化器科、めまいがすれば耳鼻科、腰が痛ければ整形外科など)。しかも一般診療科の医師にも「うつ病には身体症状を伴うものがある」との認識は薄く、さまざまな検査によっても異常が見つからないため、特にうつ病の治療が行われていないものと考えられます。
軽症うつ病診断・治療ガイド 監修:東邦大学名誉教授 筒井末春
本人(および家族にも)告げること |
言ってはならないこと |
時間はかかるが必ず治る状態であること |
外出や遊びで気晴らしをする |
一種の疲労であること |
精神力で頑張る |
休むこと |
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焦らないこと |
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重要な決定はしないこと |
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薬をのむこと |
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一進一退があること |
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うつ状態のおける各種身体症状の出現率
日内変動・・・・・朝から午前中にかけて悪く、夕方になると少しよくなる。
頭痛頭重
48〜89% |
口渇
36〜75% |
背痛
20〜39% |
発汗
20〜71% |
めまい
27〜70% |
息苦感 9〜77% |
腹痛
38% |
振せん
10〜30% |
耳鳴り
4〜49% |
胸痛 36% |
関節痛
30% |
発疹
5% |
異常感覚 53〜68% |
心悸亢進
37〜60% |
四肢痛
25% |
かすみ目
23〜51% |
睡眠障害
82〜100% |
食欲不振
53〜94% |
月経異常
41〜60% |
日内変動 85 〜95% |
疲労倦怠
54〜92% |
体重減少
58〜74% |
性欲減退
60〜78% |
頻尿
60〜70% |
悪心嘔吐
9〜48% |
便秘下痢
42〜76% |
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