22 http://www.medicinenet.com/muscle_pain/article.htm
痛みの管理:筋筋膜性疼痛症候群(筋痛)
導入
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)は筋痛を記述するのに魅力的な方法だ。それは身体の軟部組織の痛みと炎症に言及する。
筋筋膜性疼痛は、筋膜(筋肉をカバーする結合組織)に影響を及ぼす慢性の状態である。筋筋膜性疼痛症候群は、一つの筋肉のこともあれば、いくつかの筋肉群のこともある。場合によっては、人が痛みを経験する部位は、筋筋膜性疼痛の発生器が位置するところでないかもしれない。専門家は、怪我や捻挫の実際の部位が、次に、他の領域の痛みを引き起こすトリガーポイントの形成を促すと思っている。この状況は、関連痛として知られている。
筋筋膜性疼痛はいかにして生じるか?
筋筋膜性疼痛は筋肉の怪我や特定の筋、筋群あるいは靱帯、腱の過度の緊張から生じるのかもしれない。その他の原因は次のものがある:
- 椎間板の怪我
- 全身の疲労
- 反復動作
- 病的状態(心臓発作、胃痛)
- 活動性の欠如(腕の骨折の三角巾)
筋筋膜性疼痛の症状は?
筋筋膜性疼痛の症状は、通常、特定の「トリガーポイント」または「圧痛点」をもつ筋肉の痛みである。痛みは、活動またはストレスでより悪化することがある。筋筋膜性疼痛症候群に伴う局所的あるいは部分的な痛みに加えて、患者はうつ、疲労、行動障害に悩まされる。
筋筋膜性疼痛はいかにして診断されるか?
トリガーポイントは、圧力が体の領域に印加されるとき、起こる痛みによって特定することができる。筋筋膜性疼痛候群症候群の診断では、4種類のトリガーポイントは、識別することができる:
- 活動性トリガーポイントは激しい圧痛点で通常骨格筋内に存在し、局所的、部分的疼痛に伴っている。
- 潜在性トリガーポイントは、休止中の(不活発な)部位で、トリガーポイントになる可能性を持っている。
- 二次性トリガーポイントは、筋肉内の非常に過敏になったポイントだ。他の筋肉内のトリガーポイントと筋肉の過剰活動によって活性化したものだ。
- サテライト・トリガーポイントは、筋肉内の非常に過敏になったポイントだ。筋肉が他のトリガー痛の領域にあるため不活性化する。
筋筋膜性疼痛の治療法は?
- 物理療法
- 「ストレッチとスプレー」療法:この処置は、筋肉とトリガーポイントに冷却剤をスプレーして、それから、ゆっくり筋肉をストレッチすることが必要である。
- マッサージ
- トリガーポイント注射
筋筋膜性疼痛の慢性のケースの場合、物理療法、トリガーポイント注射、マッサージのコンビネーションが必要となる。特殊なケースでは、不眠や抑うつといった筋筋膜性疼痛につきものの状態を治療するのに薬物が使われる。
21 http://www.annals.edu.sg/PDF/36VolNo1Jan2007/V36N1p43.pdf
要約
骨格筋は、人体で最も大きな器官である。骨格筋のどれでも痛みと機能障害を起こす可能性はある。現代社会において、筋筋膜性疼痛は病的状態の大きな部分を占めている。それは神経根症状を模倣している頚部痛、腰痛のように部分的な筋骨格系の疼痛として現れるかもしれない。それはまた、関節包炎を付随した肩の痛みとして、骨関節炎を付随した股関節や膝の痛みとして存在するかもしれない。状態は治療できる。しかし、それはしばしば過小診断されて、それゆえ治療されない。筋骨格系の痛みに対する伝統的な医学教育と治療は多くの焦点を骨と関節と神経に向けてきた。このレビューでは焦点を筋肉、筋筋膜性疼痛とその機能障害に向ける。病歴を取りフィジカル検査をしながら、症状を引き起こしたもの永続させているもの、タウトバンド、トリガーポイント、圧痛点、敏感になった脊髄分節、は効果的な注射治療のために、正確に位置が決められて特定されなければならない。柔軟性とバランスを筋肉に戻すために、患者からの活発な参加で、適切なエクササイズが定められない限り、高い再発率もある。リハビリテーションで多くの患者は、毎日の活動とQOLに影響を及ぼしていた不必要な痛みによって苦しみ続けられる必要はなくなる。早めの診断と管理は、慢性痛症候群の心理・社会的な合併症を減少させ、財政的な負担を減らすのに助けになるかもしれない。
序文
骨格筋は、我々の人体の一つの最大の器官である。それは、体重のほぼ50%を占める。これらの筋肉のどれでも、痛みと機能障害になる可能性がある。
筋骨格系の痛みは、病的状態の主な原因である。 その有病率は、年齢と共に増加する。老年人口のますますの増加により、毎日の活動と機能に影響を及ぼす筋骨格系の痛みを持つ人が多くなる。それは、彼らの生活の質に重要な影響を及ぼす。これは、我々のヘルスケアシステム上で増加する財政的な重荷をつくっている。
伝統的な医学教育において、筋骨格系の痛みの管理は、多くの注意を骨、関節と神経に集中させてきた。一般に筋肉と特に筋筋膜性疼痛は、痛みや機能障害の主な原因として注目されることはほとんどなかった。筋筋膜性疼痛(それは治療できる)は、しばしば過小診断されて、治療されていない。多数の患者は、長い間痛みで苦しんだままにしておかれている。
このレビューは、現代社会において筋骨格系の痛みの主な原因である筋筋膜性疼痛とその治療に焦点を合わせる。
筋筋膜性疼痛(MFP)とはなにか ?
筋筋膜性疼痛の伝統的で狭い定義は筋肉内のトリガーポイント(TRPs)から発する痛みということだ。トリガーポイントは筋肉内の小さくて敏感なエリアで、自発的に、または圧迫することによって関連痛ゾーンと言われている離れた部位に痛みを起こす。圧痛点(TSs)は、トリガーポイントと対照的に、圧迫部位で痛みを引き起こすだけである。タウト・バンド(TB)は、かたくて痛い筋線維のグループとして触診できる。タウト・バンドは筋筋膜性疼痛の筋肉の中に客観的に一貫して触診で発見出来る。タウト・バンドの中で最も痛みが強く敏感なエリアが、トリガーポイント( TRP)であり圧痛点(TS)である。今日では、より幅広い用語として、筋筋膜性疼痛は、トリガーポイントや圧痛点を含むタウト・バンドからの痛みも含む。増加した緊張と減少した柔軟性で、筋肉は攣縮している。それは通常、身体の1/4〜1/2の筋肉痛の中に存在する。
一方、線維筋痛症は筋痛状態の異なったカテゴリに属す。筋痛は広範でアメリカリウマチ協会が定義した圧痛点がある。筋肉の痛みは広範囲にわたり、ウエストの上下に対称的に分布している。しかし、筋肉にはタウト・バンドがない。
筋筋膜性疼痛と線維筋痛症は別のものであるけれども、これらの2つの状態は付随して起こるかもしれない。筋筋膜性疼痛は、線維筋痛症患者で発達するかもしれない。トリガーポイントや圧痛点を伴ったタウト・バンドは広がった痛みを伴った筋肉で大きくなるかもしれない。筋筋膜性疼痛と線維筋痛症の両方に共通していることは、生化学的検査は正常で全身性炎症がないということである。
疫学
筋筋膜性疼痛は、筋骨格系の痛みの主な原因である。部分的な筋骨格系の痛みを伴った患者の中に筋筋膜性疼痛が高頻度でみられた。それは腰痛と頚痛の最も一般的な原因の一つである。少なくとも6ヵ月の期間の慢性の頭痛と頚部痛を伴ってペインクリニックに紹介された164人の患者の研究において、55%の患者にされた主な診断が筋筋膜性疼痛であった。
一般的なクリニックにおける研究で、患者の30%の主訴は筋筋膜性疼痛であった。痛み管理センターにおける、筋筋膜性疼痛の傾向はより高い。包括的痛みセンターにおける一連の283人の患者の研究で、2人の医師は、それぞれ独立して、85%のケースの主要な診断として、筋筋膜性疼痛を報告した。もう一つの痛みセンター研究において96人の患者を検診した1人の医者は、筋筋膜性疼痛が74%のケースの痛みの主因であるとわかった、そして、少なくとも93%のケースは、愁訴の一部は筋筋膜性疼痛に起因していた。
引き起こす要因、恒久化する要因
(外傷)
- 大きな外傷ー打撲、捻挫などは急性の筋筋膜性疼痛を引き起こす。
- 小さな外傷ー始まりは、より微妙である。筋肉の慢性反復的な過負荷または使いすぎは、疲労と筋筋膜性疼痛の段階的な始まりにつながるかもしれない。
(機械的)
- 内部の要因 - 悪い姿勢、脊柱側弯症
- 外部の要因 -
個人の働く環境が個人の体格に十分にフィットしない劣った人間工学。
(老化)
- 骨や関節の年齢による構造的な退化は、少しずつの筋筋膜の柔軟性のロスとともに、筋筋膜性疼痛に導くのかもしれない。
(神経根の圧迫)
- 神経根の刺激は、脊髄分節の過敏と神経分布を受けた筋肉における筋筋膜性疼痛につながるのかもしれない。
(感情的な心理的ストレス)
- 不安、交感神経の緊張と睡眠障害になると筋緊張が次第に強くなる、それは疲労と筋筋膜性疼痛の発端になるかもしれない。
(内分泌で代謝性欠乏症)
- 甲状腺ホルモンおよびエストロゲン不足が筋筋膜性疼痛を引き起こすことは知られている。
(栄養不足)
- ビタミンとミネラル不足は筋筋膜性疼痛を恒久化するかもしれない。
( 慢性感染症)
慢性のウイルスまたは寄生虫感染症は筋筋膜性疼痛を恒久化するかもしれない。
慢性的筋肉アンバランス
慢性的筋肉アンバランスは、我々の現代社会で一般的である。人体において骨格筋は、概して2つのグループに分けられることができる:
- ダイナミックな筋肉(例えば菱形筋と中臀筋)は、人がダイナミックな運動中のとき起動する筋肉である。人が静的姿勢にいるとき、これらの筋肉の活動は比較的妨げられる。
- 静的姿勢の筋肉(例えば斜角筋と腰方形筋)は、人が静的姿勢にいるとき、起動する筋肉である。人がダイナミックな運動中のとき、これらの筋肉の活動は比較的妨げられる。
座りっきりのライフスタイル、静的姿勢で、動いているより多くの時間を過ごしていると静的姿勢の筋肉が次第にきつくて柔軟性がなくなり、一方、ダイナミックな筋肉は次第に自己抑制的でいい加減になる。ダイナミックな筋肉と静的姿勢の筋肉の間のアンバランスは、徐々に発達する。筋肉アンバランスは、筋筋膜性疼痛に至るかもしれない。
病態生理学
筋筋膜性疼痛を引き起こしている要因は、運動神経終板においてアセチルコリンの放出が起こりやすくなっているからかもしれない。そこは、継続的に筋繊維の収縮と、血管ー神経刺激物質の放出によって局所的虚血と、筋痛が起きている。より多くのアセチルコリンはそれから放出されるかもしれない。このようにして、筋肉の痛みと攣縮を恒久化する。電気診断研究によると、トリガーポイントと圧痛点で増大した筋電図の活動が示された。局所的な筋肉の線維化は、長い期間の後、起こるのかもしれない。
脊髄分節性過敏(SSS)
筋筋膜性疼痛が無処置のままにされるならば、それは刺激性の焦点になるかもしれなくて、脊髄に感覚ニューロンを通して持続的な痛み衝撃を送るかもしれない。絶えず有害な刺激で攻めたてられ刺激されている脊髄ループは、シナプス活動の閾値の低下と痛みの拡大と恒久化によって、侵害受容神経伝達物質が容易に放出されるようになるかもしれない
ーこの状態を脊髄分節性過敏を呼んでいる。この状態は知覚神経、運動神経と過活動的で過刺激的な脊髄分節の硬節性構成要素(sclerotomal components)に影響を及ぼすかもしれない。次のような身体的徴候によって。
皮節に沿った過敏:交感神経の興奮が増加するため、皮膚と皮下組織は、栄養浮腫で固くなる。皮下脂肪厚は増加して、患部には強い圧痛が認められる。
筋節に沿った過敏:過敏になった脊髄分節から神経を分布されている筋肉は、トリガーポイントや圧痛点で緊張亢進や攣縮にいたる。
硬節に沿った過敏(訳注:Sclerotome:脊椎に発育する中胚葉原節の1種):過敏になった脊髄分節から神経を分布を受けているのでその影響で、滑液嚢炎、付着部炎、上顆炎と腱炎は、生じるかもしれない。
老化のサイクル
人体の筋肉と関節は深く結びついている。一つの関節の動きは隣接する関節の動きと密接に関係している。遠位から近位に下肢や体幹下部から上肢や体幹上部へと。筋筋膜痛が処置なしでしばらくの間持続すると、隣接した構造にもそれ自身のトリガーポイントや圧痛点が生じるようになる。そして、それはサテライト・トリガーポイントやサテライト・圧痛点と呼ばれている。筋筋膜性疼痛は通常の関節運動を妨げるようになると、関節の機能障害がおきてついには関節の老化へとすすむ。
病理は波及効果で、一つの運動分節から近隣の運動分節へと、そして他の筋骨格系システムへと広がるかもしれない。(Fig. 1).
臨床症状
筋筋膜性疼痛は、偉大な模倣者である。それは、しばしば部分的な筋骨格系の痛みとして現れる。上肢では、インピンジメント(肩峰下の衝突)または関節包炎の患者においては肩痛として現れるかもしれない。下肢では、骨関節炎の患者においては股関節や膝関節の痛みとして現れるかもしれない。筋筋膜起源の頚または腰の痛みは、上肢や下肢で放散する痛みを伴って神経根病変を模倣するかもしれない。痛みはトリガーポイントや圧痛点からの、タウト・バンドに神経を分布している感度を高められた脊髄分節の皮節の上におこった、関連痛かもしれない。それは、神経学的絞扼からも生じるかもしれない。上肢で、緊張した斜角筋の間を通るとき、腕神経叢は圧迫を受けるかもしれない。下肢で、緊張した梨状筋の間を通るとき、坐骨神経は圧迫を受けるかもしれない。
病歴と検査
病歴聴取と身体検査の間、筋筋膜性疼痛を引き起こした要因とそれを恒久化している要因を見つけなければならない。イエローフラッグ、慢性痛症候群に付随している心理・社会的要素を探さなければならない。レッドフラッグ、筋骨格系病理に付随した重大な指標、骨折、神経病学的欠陥、悪性腫瘍、感染症を除外しなければならない。
検査の間、姿勢の非対称と他動的、自動的な可動域の制限は、注意されなければならない。筋筋膜性疼痛や筋緊張のために生じている異常な動きのパターンに気づかなければならない。
触診は、診断の基本的な方法である。正確にタウト・バンドを感じて見つけるために、痛みがあり攣縮している筋肉を十分に弛緩させることは重要である。このことは、後述する鍼治療が効果的であるためには不可欠である。鍼を打つとき受動的に原因筋に到達することによって、リラックスは機械的に成し遂げられることができる。リラックスは念入りに作られた運動支配技術によって下記の運動部門で成し遂げられることもできる。最適筋肉緩和は、以下の方法を使用している効果的触診の前に達成されなければならない:
-
掌での触診:攣縮と特殊な圧痛を探すために、筋肉の最初の検査、指の腹で行う。
-
指先での触診:小さな特殊な筋肉にはタウト・バンドやトリガーポイントや圧痛点を探すために、筋線維を横切るように行う。
-
指でつまむ触診:胸鎖乳突筋、上部僧帽筋、大胸筋、広背筋、大腿内転筋などのアクセスできる筋肉には、拇指と他の指で。
-
覆われている筋の触診:臀筋や梨状筋のような深部の筋肉には、一方の手で圧を加えて、下方の手で触診する。
タウト・バンドの中にトリガーポイントや圧痛点が確認できたら、痛みを起こす最少の圧を計るために痛覚計(フォース・ゲージ・メーター)が手動で使用させる。体幹は縦方向に、四肢は円周方向に、拇指と他の指でつまんだりさすったりして、付随した皮膚節の痛覚過敏と栄養浮腫は臨床的に見つけられる。過敏になった脊髄分節から神経分布を受けている皮膚は、肥厚して圧痛があることだろう。さらなる交感神経緊張と硬化のために、過敏になった脊髄部節上の皮膚電気抵抗は、減少する。
増加した皮膚電気的な伝導性は、1本の手で持たれる参照電極と調べられた皮節を横切るexpl試験電極の間で渡される電流によって、電気コンダクタンスメーターで客観的に測られることができる。
画像のスタディ
画像診断の研究は、役に立つ解剖学的情報を提供するかもしれない。しかし、筋筋膜性疼痛、タウト・バンド、トリガーポイントと圧痛点は、通常これらの調査において現れない。
異常な画像所見、退行変性、脱出した椎間板、ローテーター・カフの損傷は、無症候性の人にもしばしばみつかる。それらは痛みの原因として必要ではない。したがって、それは筋骨格系の痛みの発生部位を決定するために、病歴と身体検査を画像所見に関連させることによって、患者を治療している、臨床医にとっては重要である。
治療
筋筋膜性疼痛の治療は、多面的なアプローチを必要とする。短期的には、狙いは鎮痛のためにタウト・バンド、トリガーポイントと圧痛点を廃止することである。長期的に見て、筋肉に柔軟性を戻されなければならない。そして、再発率を減らすためには、どんな痛みを引き起こしている要因でも、恒久化している要因でもを取り除かれなければならない。
物理療法
物理療法は、筋筋膜性疼痛にとって役に立つ補助治療法である。それは筋肉の痛みと攣縮をおさえるかもしれない。しかし、それは単独で行われるべきではない。それは、限られた利益とともに、一時的な安心だけを提供するのみだから。
熱療法は、最も一般的に用いられる物療のうちの1つである。それは血流と組織膨脹性を増やして、筋攣縮と痛みを減少させる。温熱パッドは、限られた皮下組織に進入して表面的な温熱効果を提供する。一方、Ultrasounds治療は、より深い皮下組織に侵入して深部の温熱効果を提供する。温熱療法の禁忌は、循環障害、感覚障害、認識障害、悪性主要と炎症である。
電気治療は、もう一つの一般的に用いられる物理療法である。痛みの発生している部位から炎症性副産物を除去して、血液循環を改善する。それはまた筋の攣縮と浮腫を改善する。しかし、頸動脈洞、妊娠子宮、ペースメーカーや細動除去器の患者、悪性腫瘍、感染症で使われてはならない。
薬物
薬物は、筋筋膜性疼痛のためのもう一つの役に立つ補助的治療である。パラセタモールまたは筋弛緩薬は、穏やかな筋筋膜性疼痛に処方されるかもしれない。これらが効果がないならば、特に局所炎症要素が筋筋膜性疼痛にあるならば、非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID)またはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的抑制剤が使われるかもしれない。
麻薬性鎮痛薬は、時に厳しい筋筋膜性疼痛のために必要かもしれない。神経障害構成要素が筋筋膜性疼痛にあるならば、補助鎮痛薬(例えば抗うつ薬または抗痙攣薬)は加えられるかもしれない。眠気(筋弛緩薬、麻薬性鎮痛薬、抗うつ薬と抗痙攣薬の副作用)は、感情的なストレスと睡眠障害の患者で夜に役立つかもしれない。
鍼治療と浸潤麻酔
2種類の針は一般的に用いられる:皮下注射針と鍼。皮下注射針は手技の間、局所麻酔を浸潤させながら進入する。局所麻酔は針を刺したあとの痛みを取り除く。皮下注射針は通常25ゲージと27ゲージが用いられる。鍼に用いられる針は直径0.25〜0.35mmのステンレス鋼繊維状のものだ。それは細くてより外傷を起こさない。しかし、それは手順の間、局所麻酔の浸潤を考慮に入れない。
鍼と注射の目的の一つはトリガーポイントや圧痛点や付随する繊維性の芯を機械的に壊すことである。タウト・バンドの中で最も強い圧痛点をターゲットとする。トリガーポイントや圧痛点を通過するときタウト・バンドは崩壊する。筋肉は局所単縮反応を示し、トリガーポイントや圧痛点のあるタウト・バンドは消失する。
SSS(脊髄分節過敏)の管理は皮節、筋節、硬節の過敏の他覚的徴候についての、そして脊髄分節過敏の決定についての慎重な検査を必要とする。それから活動亢進を軽減するために、鍼をうつ部位、標的が注意深く決められ、治療の標的は脊髄分節に的をしぼられる。傍脊柱ブロックは、フィッシャーによると、過敏になった棘間靱帯に刺入して、椎体の棘突起に隣接した傍脊柱スペースにそって局所麻酔の浸潤を行うことだ。他の過敏になった筋肉内のトリガーポイントや圧痛点に鍼をさし破壊することによって、過剰収縮の要素は崩壊し、脊髄分節のなかの過剰刺激感受性は神経機械的ににぶくなる。隣接した構造の生体力学的緊張も軽減され、そして、筋筋膜性疼痛の再発は治療の後、減らされる。
また、鍼は侵害受容を妨げて、脊髄経路の調節、全身の神経液性刺激とエンドルフィンの放出によって鎮痛を提供する。いろいろな他の鍼の方法は記述されている。ボールドリーは、鍼をトリガーポイントや圧痛点の上の浅い組織に挿入して、30秒〜3分間そのままにしておく技術を記載している。Chuとシュワルツは、筋肉内刺激(電気刺激を用いた鍼の技法)を得ている電気刺激による痙攣を記載した。
鍼は、臓器機能不全とシステムアンバランスの伝統的な漢方医学の診断に基づく。経絡とextra経絡にそって鍼をうつと血液の停滞が改善して痛みを和らげる。それは、人体で血液循環と均衡を回復するのを助ける。
鍼の禁忌は出血性素因、抗凝固薬、局所または全身の感染と処置の後、局所を安静にできない場合である。
運動
トリガーポイントや圧痛点の鍼のあと、よい治療結果を得るには筋肉のアンバランスを修正することが重要である。筋肉に通常の長さと柔軟性を戻そうとすることは重要である。しかし、筋肉がまだ痛みがあり攣縮しているとき、直接のストレッチ・エクササイズによってこれを達成しようとすることは注意しなければならない。直接ストレッチすることは、痛い筋肉により多くの痛みとより多くの攣縮を引き起こすかもしれない。そのかわりに、しなやかにするエクササイズによって痛みのある筋肉に柔軟性が戻るかもしれない。次の神経ー筋リラックス・テクニックは適用されるかもしれない:
-
呼気による筋肉緩和
-
眼球運動による筋肉緩和(下方に、リラックスを望む方向に)
-
等尺性収縮後の筋肉緩和(自発性抑制による)
-
拮抗筋の最小起動後の筋肉緩和(相互抑制による)
エクササイズを強化することをあまり早く始めてはならないことは重要でもある。痛みが完全に引くまでは筋肉は硬く攣縮したままである。あまりに早く始めるならば、エクササイズを強化することはより多くの痛み、攣縮と緊張を引き起こすかもしれない。痛みが完全に治療され解決したあと、エクササイズを強化することを始めなければならない。
等尺性エクササイズから始めて、徐々に持久力をつけるための抵抗の低い反復エクササイズに移行し、その上で、力をつけるための抵抗の高いエクササイズや安定を図るためのエクササイズに取り組むべきである。
結論
筋筋膜性疼痛は一般的でまた治療できる病的状態である。もし、診断未確定で無処置のままにされるのなら、それは心理・社会的な問題、機能的な問題に及ぶ慢性疼痛へと移行するかもしれない。これは、更なる苦悩、不安と抑うつにさえ至るかもしれない。悪循環はさらに伸展して身体的とらわれに発展するかもしれない。
この筋骨格系機能障害の大きな原因はより集中的な留意を必要とする。その早めの診断と処置は、慢性痛症候群に付随する心理・社会的合併症と財政的な負担を減らすのを助けるかもしれない。
20 http://www.myopain.org/Default.aspx?Page=AboutIms
IMS(国際筋痛症学会)について
「インターナショナル・筋痛症学会」[IMS]は、非営利的、国際的、学際的な医学組織である。筋筋膜性疼痛症候群や線維筋痛症など軟部組織の痛みに関して、意見を交換したり、研究をしたり、深く学んだりすることに興味のある研究者、医師、他の健康管理プロ、健康関係の仕事のトレーニングをしている個人、団体、財団、商業的な会社からなる。
IMSは医学界及びインターナショナル筋痛症会議の支持に貢献する会員制組織である。
IMSの集中した管理は著明で国際的な筋痛症会議に安定性を提供して、筋筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症候群に関する多くの地域のシンポジウムの発展を促進する。協会メンバーは、the
Journal of Musculoskeletal Pain(筋骨格系の痛み)を購読することになる。国際的なジャーナルは、IMSの公式出版物になる5年以上前から独立して成功していて、格調高い、年4回の科学的雑誌だ。それは軟部組織の痛みの話題に捧げられて、科学引用索引(SCI
)と30以上の他の索引作成サービスによって参照文に引用される。それは、オリジナルな研究、科学的レビュー、文献コラム、研究アイデアと専門のインタラクションの報告のための源である。IMSには会員ディレクトリ、ウェブサイト、筋筋膜性疼痛症候群の診断基準の中心委員会がある。そして、認定指導者から有望な若者が学ぶために、常設のセンターで1〜4ヵ月を過ごすことができることを目的にしたトレーニング資金がある。
ニーズの思慮深い優先順位によって、利用できる情報のコンセンサス意見へ統合することによって、重要な話題に関する専門調査委員会を設立することによって、そして、重大な研究質問に答えるための競争原理に基づいた資金を分配して提供することによって、IMSは軟部組織の痛みの研究を進める。
IMSは、学会誌、ウェブサイト、インターナショナルな会員名簿によって、また相互の必要に応じた会合に向けての調整によって、各臨床および基礎科学の間の交流を促進する。
*
The Journal of Musculoskeletal Pain
is an essential source of the latest information on:
- chronic fatigue syndrome
- whiplash associated disorders
- fibromyalgia syndrome
- piriformis muscle syndrome
- soft tissue pain syndromes
- tetraplegia and paraplegia
- inflammatory muscle pain
- temporomandibular disorders
- Sjögren’s syndrome
- myofascial pain syndrome
- chronic plantar fasciitis
- osteoarthritis
- unilateral shoulder myalgia
- carpal tunnel syndrome
- whiplash injury
- chronic neck, shoulder, or back pain
- repetitive strain injury
- exercise-induced muscle injury
19 http://www.sover.net/~devstar/cmpsdef.htm
(慢性筋筋膜痛)
TrPs
が広がる例をここに紹介する:あなたはクーラーの風が右頚に直接あたるような状態で机に向かって仕事をしている。この筋肉をコンスタントに冷やす状態でいると、右頚の斜角筋にストレスが加わる。斜角筋のTrPsはあなたの頭をわずかに傾ける原因となる。ウェートの不均衡を補償しようとして左側の筋が緊張する準備をする。これはあなたの頚の左側で第二のTrPsをつくり、そして弱くなった斜角筋によるたるみに対して他の筋肉が準備を始めようとするとき、右でもより多くのTrPsをつくるかもしれない。右の斜角筋の関連痛パターンの痛みに起因するストレスは肩甲挙筋TrPsが右で発達する原因になる。そして、その側で頚部硬直を引き起こす。筋肉を延ばすと痛むので、あなたの肩はその側で上に持ち上がる。肋骨の下の左の腹部の領域の筋肉は圧縮される、そして、あなたはその側で広背筋に二次的なTrPsを形成する。これらのTrPsによってあなたは浅い呼吸になる。そして、他の呼吸筋にTrPsが準備される。あなたの脊柱にはこれらの痛い筋肉を保護するために、ねじれが生じる。下部脊柱がある方向にねじれ、上部脊柱が他の方向にねじれる。これは回旋側弯症と呼ばれている。そして、それはあなたの骨盤の補償的な前方回転を起こす。あなたの全身がTrPsでおおわれるまで、このプロセスは続くことができる。
筋筋膜TrPにおいて自律神経の過敏なことは、自律神経系徴候の原因となる。自律神経機能障害は異常な発汗、涙目、持続的な鼻水、唾液分泌過多、鳥肌などがある。TrPsは、固有受容器障害も関連させたかもしれない。自己受容器は、あなたの空間認識に関係するレセプターである。これは周囲の対象物とあなたとの位置関係について認識することを含む。それは体の一部と一部の関係と同じことだ。自己受容器の機能障害は、ふらつき、めまい、耳鳴りと物を持ち上げた時の重量感覚の悪いことなどがある。
中央TrPsは通常、筋腹にあり、そこには運動終板がある。それは部分的な圧痛、関連痛、異常感覚、関連運動機能障害、そして関連自律神経の変化をもたらす。それは末梢神経過敏のためであり、また中枢神経の変化ももたらす。
アタッチメントTrPsは、筋肉が他のものに付着する部位の圧痛点エリアだ。これらは、タウトバンド(ぴーんと張りつめた帯状のもの)によってもたらされる継続的な緊張に耐えることが筋付着部にとって出来ないことが原因となっている。応えて、これらの組織には、局所の侵害受容器を敏感にする刺激物を産生するような変化が生じる(Simons,
Travell and Simons, 1999, p 76)。アタッチメントTrPsは、筋繊維に含まれたセントラルTrPの継続した緊張に起因する。フォン博士は、アタッチメント TrPsは腱のTrPsであると思っている。彼らはよくしばしば氷に応えるが、一方、セントラルTrPsは、神経線維の絞扼がないかぎり、しばしばよりよく湿った熱に反応する。
思い出しなさい。線維症にはTrPsなんてものがない。 TrPsは、筋筋膜性疼痛の一部である。FMS(線維筋痛症)圧痛点とは異なり、TrPsは痛みを体の他の部分に関連痛をつくることができる。関連痛は、TrPsに特有でない。大部分の人は、心臓発作の時に腕へ放散する関連痛については聞いたことがある。多くの女性は苦しい月経の期間に大腿部へ放散する痛みを経験している。
筋筋膜の痛みの本質について理解されていないので、心臓発作のような胸筋のTrPsによる痛みの場合、症状は神経症、心因性あるいは痛み行動のように診断されてしまうものだ。これは患者の惨めさに挫折感と自信喪失を加える。そして適切な診断と治療を妨げる(Simons,
Travell and Simons, 1999, p14)。
筋筋膜性疼痛において、局所的な組織の変化は、機械的に起きた筋肉の損傷ととてもよく似ている。急性期では、それに浮腫が伴い、慢性期になると局所的な線維化が伴う(Pongratz
and Spath,
1997)。非筋筋膜性のTrPsは筋筋膜性TrPsと同じメカニズムが原因で起きるわけではない。皮膚のTrPsは、しばしばシャープで適度に厳しく刺すような痛み、ちくちく痛むこと、またはしびれを引き起こす。創の瘢痕のTrPsは、焼けるようにちくちくとした痛みや稲妻のようにするどく突き刺すような痛みを起こすことがある。筋筋膜TrPsによる慢性的な痛みはかなりな部分、適切な治療と迅速な診断によって防ぐことができた・・・筋筋膜の痛みの本質について理解されていないので、症状は神経症、心因性あるいは痛み行動のように診断されてしまうものだ。これは患者の惨めさに挫折感と自信喪失を加える。そして適切な診断と治療を妨げる(Simons,
Travell and Simons, 1999, p14)・・・・。総医療費は想像できないが、莫大なものだろう、しかしその大半は不必要なものだと思われる(Simons,
Travell and Simons, 1999)。
一部の医師や歯科医師はTMJ(顎関節症)を述べる時、筋筋膜性疼痛症候群という言葉を使う。この使用は混乱させて、時代遅れである。顎関節症はTrPsにより発症するだろうが、しかし、慢性的な筋筋膜痛は身体全体に及ぶ。慢性筋筋膜性疼痛が広がると、オーバーラップした痛みのパターンは一つのTrPsのときに比して治療者を混乱させることがある。筋筋膜性疼痛はもはや症候群ではないので、この広範囲に及ぶ状態を示すのに我々はMPSよりCMPという言葉を好む。
一旦、医師やセラピストがCMPについての認識を学ぶと、それがとても一般的なことだと分かって驚く。1つの理由CMPは、一つのTrPsが見逃されて無処置になったということである!筋筋膜痛に対して早めの積極的な治療で、患者はよりよくなるチャンスが与えられる(McClaflin、1994)。CMPでさえ、恒久化している要因を分解するようにすると、関係している筋肉はますます治療可能になる。
the
International Myopain Society(インターナショナル筋痛症協会)内で、Myofascial Trigger Point Pain DiagnosisとTreatmentのCertification(保証)のためのSpecial
Interest Group(同じ興味を持つ人たちの集まり【略】SIG)は今年(2000)つくられた。線維筋痛症と筋筋膜性疼痛の別々の医学コード(保険その他の目的のための)を得ることを確実にするという動きが足もとにある。あなたの医者にこの組織(方策)に加わるよう訴えてください。会員はMusculoskeletal Painジャーナルの購読料が必要です。
18 http://www.painandwellness.com/spinal_injections_trigger_point.html
What is a
trigger point?
トリガーポイントとは、過敏で痛みのあるぴーんと張りつめた筋肉のバンドで、局所的疼痛や関連痛を起こす筋肉内の触診可能な結節である。トリガーポイントからの関連痛は頚や腰において、神経がつねられたかのように思わせる。トリガーポイントは直接的筋肉の外傷や、悪い姿勢や、反復性の筋緊張や、脊椎ヘルニアのような脊椎状態に伴う2次的な変化として生じる。
Myofascial
pain syndrome
筋筋膜性疼痛症候群は慢性痛の状態で、体の特定の部位に限局していくつかのトリガーポイントが存在する。トリガーポイントに伴う痛みと筋の攣縮は、痛みが筋の攣縮を強め、筋の攣縮が痛みを強めるという悪循環におちいることがある。
筋筋膜性疼痛症候群は線維筋痛症と混同してはいけない。FMS(線維筋痛症)が広範囲にわたる筋骨格系の疼痛症候群であるのと対照的に筋筋膜性疼痛症候群は特定の局所的な疼痛症候群である。
What
are trigger point injections?(トリガーポイント注射とはなにか?)
トリガーポイント注射とは、局所麻酔や食塩水やコーチゾン(ステロイド)をトリガーポイントに注射することである。トリガーポイント注射の根拠は激しく攣縮している筋肉のエリアを弛緩させることである。筋攣縮の弛緩によってそのエリアの血流は増加し、刺激している代謝産物を洗い流す。トリガーポイント注射は筋筋膜性疼痛症候群の治療やときには線維筋痛症の治療にとって重要なものである。たいてい複数の注射が一連の治療として行われる。トリガーポイント注射は外来診療で、診察室で点滴下に行うことができる。トリガーポイントのその他の治療はストレッチエクササイズ、温熱、姿勢の改善、電気刺激やストレス改善などがある。
What
happens after trigger point injections?(トリガーポイント注射のあとどうなるか?)
注射から回復するまで、あなたは痛みを感じたり、ときにはより強く感じたりするかもしれないが、数日間で回復する。温熱とストレッチは不快感を和らげる。
17 http://www.painfoundation.org/page.asp?file=QandA/Trigger.htm
質問:私は3年前の交通事故より、腰痛に悩まされてきた。痛み止めの薬が十分に効果を発揮しなかったので、主治医は、腰の筋肉にトリガーポイント注射をすることを勧めた。この注射はどんなもので、何か副作用やリスクはあるか?
答え:Tp注射は、中国の古くからの鍼治療ととても似ている。鍼ー病気や痛みを治すために体のいろいろな部位の組織に鍼を直接刺すーは中国では何世紀もの間治療者に用いられてきた。
古代中国の医学の実行は最初は、アメリカの医学者によって嘲笑された。そして価値が無く患者の時間とお金を浪費させるものだとみなされた。しかし最近では鍼はアメリカ医学会により広く受け入れられている。たとえばFDAは鍼は安全な治療として認めている。そのうえ、国立衛生研究所(NIH)は、ある種の痛みの効果的な治療として、この古代の治療法に対して、鍼の研究と多くの支援を行ってきた。
筋肉や結合組織の痛みはだれでも一度や二度は経験する症状である。通常、治療は必要でないが、治療が必要なときはTp注射がそれらにとっての答となるかもしれない。筋肉内のトリガーポイントと筋肉の圧痛とは実際は2つの違った問題である。本当のトリガーポイントは定義上、強く圧迫されたとき離れた部位に痛みを起こす筋肉内の限局された部位である。つまり、人がトリガーポイントを圧迫することから感じる痛みは、必ずしも、圧力が加えられた同じ場所にあるというわけではなくて、通常、トリガーポイントから離れた部位へ放射する。トリガーポイントはしばしば圧痛があり、それを圧迫したときエンドウ豆からくるみ大の大きさに感じる筋肉内の硬いしこりである。このしこりは筋肉組織に実際に存在する。最初にトリガーポイントを特定した研究者は、これを「ゴムのようなライスクリスピーズのような感じがすると言った。」
トリガーポイントはたとえ強く押さえたりひねったりしたとしても、いつも圧を加えた部位に圧痛があるわけではない。しっかりと押されると、これらの筋肉は筋肉全体がひきつり始めるか、筋肉を攣縮させる原因になることもある。トリガーポイントは頚、腰、肩の筋肉によくみられる。トリガーポイントの近くにある全ての筋肉に痛みを引き起こすことがある。
トリガーポイントの原因は、知られていない。トリガーポイントは怪我の後、(例えばあなたのケースでは、自動車事故なのだが)触知することができる。あるいは、病気の後、起きることもある。しばしばこれらの筋肉に関して理由が分かっていないので間違って取り扱われる。私の著書「The War on
Pain」でナンシーという患者さんについて書いた。彼女はトリガーポイント問題を持っていて、私達はTp注射で効果的な治療をしたのだ。ナンシーの治療のアウトラインを以下に記す。
治療の間、ナンシーは診察台にうつ伏せになった。オーデット博士はできるだけ筋肉をリラックスさせるよう望んだ。そうしないと、緊張した筋肉に針を刺すことが困難だからなのだ。彼は5ないし6のトリガーポイントを特定してアルコール棉で拭いた。スポットの両側に指を置いて、皮膚をつまみ細い針を刺した。彼の使う針はとても細い鍼用のもので、特に長くはなかった。彼のテクニック、それは鍼なのだが、他の多くの開業医が使う局所麻酔のようなものを注射するのではなかった。彼は伝達システムの代わりに鍼を用いたのだ。
鍼がナンシーの肩の皮膚を刺した時、筋肉がひきつったので、正しい位置にあることを確信した。筋繊維に到達するのを感じながら、彼はゆっくり鍼を押し進めた。ポイントに来たとき、鍼をつつく動作で叩いた。筋肉がひきつり鍼を操作した時、時折、うめき声やあえぎ声を発した以外はナンシーは静かに横たわっていた。トリガーポイントを見つけるたびにナンシーに告げ、コンスタントに会話をしながら進めたので、オーデット博士は心休まる安心を提供した。
ナンシーにとって、これは最高であり最悪の治療の一部であった。よい部分は筋肉から来た。そして、それは制御不能の痙攣の状態になって、徐々に消耗して、最終的にリラックスしたようになった。筋肉が疲れて、静かで柔軟になったことがオーデット博士は鍼によって感じることができた。永久にでないならば、トリガーポイントは一時的に分解された。治療のこの時点において、苦しめている筋肉がリラックスして、泣くような感情的リリースを感じることはめずらしいことでない。
この方法の不利な点は痛みを感じさせるということだ。筋中の化学物質の放出による急速な筋収縮は、この手技の経過中痛みを継続して生じさせた。筋肉のしこりを潰すために拳を押しつけているような痛み、あるいはそれ以上に感じるとナンシーは言った。オーデット博士は彼女に具合はどうか、まだ鍼を追加することに耐えられるか尋ねた。彼女はうなずいた。そしてオーデット博士は新しいトリガーポイントに鍼を刺入しこの手順を再び始めた。ナンシーは6つの場所に鍼を刺入し、操作するという完全な治療を受けた。
鍼の挿入後、筋肉は短縮のあと弛緩して緊張が解けたので、ナンシーが居眠りをしてリラックスしようとしている間、15分間ほど鍼をそのままにしておいた。この方法による痛みの除去は即座ではない。まるで彼女がちょうど今ジムで激しいトレーニングを終えた時のように、ナンシーの筋肉は痛みを感じていた。3〜4時間後に痛みは消失し、それはとても深いものであった。痛みと緊張は消え去り、長い月日のあと初めてナンシーは痛みなしに動くこと、座ること、眠ることができた。
しかし、オーデット博士は数日間は気楽に筋肉をリラックスさせておくようアドバイスした。筋肉がピクピク動くことは筋肉を疲れさせる。そしてマッサージと同様、激しい運動(重いものを持つたりする労働)は筋肉を攣縮させる。オーデット博士の鍼治療は通常6〜10回のセッションだった。
問題に貢献している、あるいは問題を起こしている身体メカニズムを改善するために、患者は彼の治療と物理療法を合わせて行うよう強くアドバイスした。彼の患者の多くは怪我や外傷を負っていて、それが痛みを誘発したわけだが、かなりのケースにおいて、痛みはなんらかの反復動作を行なったときに発生していた。
16 http://www.dringber.com/trigger_point_injections.html
I. Background
筋肉が痛みを引き起こすという見解をとった最初の医学教科書は、1983年にトラベルとサイモンズによって出版された。これは筋骨格システムの急進的な概念である。筋骨格系の外傷の治療では整形外科医が専門とされているのだが。現在認められた医学理論において、構造問題は、痛みの唯一の認められた原因である。
筋筋膜ー機能障害、または筋肉-結合組織異常という概念は、筋肉の異常が構造異常の有無にかかわらず痛みのある関節に存在するという仮定である。
トリガーポイントとは「結び目」になって非弾力的な筋肉繊維の痛覚過敏となったバンドである。そして、外傷のために、収縮したりリラックスすることができなくなっている。
身体的検査の特徴は筋緊張、筋筋膜の痛覚過敏現象、可動範囲の減少、筋力低下である。筋短縮と可動域の減少は筋筋膜機能障害の前兆かもしれない。それは、筋肉がひねられたり不自然な使われ方をしたときに筋肉に損傷が生じるときに観察される。
リドカインの注射、鍼、深いマッサージといった形の筋筋膜療法のあとに、痛みがなく可動域制限を治すことを目的にして、特殊な、監督された、治療的ストレッチプログラムが行われた。
1983年のトラベルとサイモンズの「the
textbook Myofascial Pain and Dysfunction」の
出版以来、トリガーポイント注射は他の医療手段と同じように使われもしたが、同時に残年なことに悪口も言われてきた。
1995年に、急性腰痛の管理のためのガイドラインは、U.S.Department
of Healthの後援のもとにつくられて、11月に公表された。ガイドラインは、AHCPRからの専門家委員会によって編集された。その専門家委員会の大部分の医者は、整形外科医や神経外科医などの外科医であった;それゆえ、彼らの推薦するものはかなり一方に偏るものだった。偏った文献の参照で、彼らはトリガーポイント注射は効果的でないと結論づけた。
臨床対象試験で、トリガーポイント治療が腰痛や腰部根症状に有効性を示さなかったので、専門家委員会はこれらに対してトリガーポイント注射を継続することを推薦しなかった。しかし臨床対象試験は無効を示したわけではなかった。
いくつかの腰部硬膜外コルチコステロイド注射の臨床対象試験のうち、たった一つが注射後3ヶ月間いくらかの有効性を示した。それでも、AHCPRの専門家委員会は腰部神経根炎の治療に「腰部硬膜外ステロイド注入」を推薦した。「急性根症状の治療に硬膜外ステロイドが有効だという証拠はないのだが委員会の意見は硬膜外ステロイド注入は手術を避ける試みとして有効だというものだった。」この誤った理論を見ても専門家委員会の編成の偏りは明らかである。
15-1 http://www.emedicine.com/sports/topic158.htm
History
- Symptoms
-
- 活動性トリガーポイントはそれを指で圧迫されたときに患者が認める臨床症状(通常は痛み)を呈する。患者は活動性トリガーポイントによる痛みに気づいているが、それによる機能障害には気づいているかもしれないし気づいていないかもしれない。
- 潜在性トリガーポイントは筋肉の緊張を増加させて伸縮範囲を制限する。このことについて患者は気づいていないかもしれないし、簡単に受け入れているかもしれない。潜在性トリガーポイントからの痛みはそれが指で押さえられたときに初めて気づく。自発性の関連痛はトリガーポイントの興奮性は増加したときに現れる。ゆえに、トリガーポイントが活動性だと確認される。
- 患者は通常最も新しい活性化トリガーポイントの症状を訴える。このトリガーぽいんとがうまく除かれたとき、痛みのパターンは以前の重要なトリガーポイントのものに移ることがある。これもまた不活性化しなければならない。最初に重要なトリガーポイントが不活性化されるなら、さらなる治療なしで患者は回復するかもしれない。
- 活動性筋筋膜トリガーポイントをもつ患者は、筋肉や関節を含む皮下組織に、はっきりと局所化されない、部分的な範囲にするどい痛みを訴える。はっきりと局所化した皮膚タイプのするどい痛みを訴えることはまずない。筋筋膜性疼痛はしばしばトリガーポイントから、各筋に特徴的な関連痛を生じさせる。時に患者は痛みよりも麻痺感や異常知覚を感じる。
- Dysfunction(機能障害)
-
- 関連痛による知覚障害(感覚不全、感覚低下)によってもたらされる臨床症状に加えて、患者は臨床上重要な自律神経障害や運動障害が起こるかもしれない。
- Disturbances
of autonomic functions
- トリガーポイントによる自立神経機能障害は、発汗異常、持続性流涙、持続性鼻風邪、唾液分泌過多、立毛筋活動などをふくむ。
- トリガーポイントに起因する固有受容性障害に関連して、平衡感覚異常、めまい、耳鳴り、持ち上げた物の重さの認識障害などがおきる。
- Disturbances
of motor functions(運動機能障害)
- トリガーポイントに起因する運動機能の障害は、他の筋肉の痙攣、関与する筋肉機能の衰弱、関与する筋肉の協調不調、関与する筋肉の耐性の減弱などを含む。
- 筋肉の衰弱や耐性力の喪失は、さらなる練習が必要として受け止められる。しかし、これが原因のトリガーポイントを不活性化することなく行われるなら、関与した筋肉はさらに弱められて状態は悪くなり、他の筋肉の代用を助長し習慣化させるようなものだ。
- 手の弱さと前腕の筋肉の調整の失敗は組み合わさると物をつかむことがうまくできなくなる。物は、時々予想外に患者の手からすべり落ちる。衰弱は運動抑制の結果として反射的に生じ、また、影響を受けた筋肉の萎縮なしに生じる。患者は直感的に筋肉を変える傾向がある。たとえば、どこも優性にすることなくしかし今はより強い腕で食料バッグを運んでいるであることを理解することなく。
- その他のテストでは、トリガーポイントの運動効果はそれが存在する筋肉の皮膚筋電図でより詳細に分かるものと思う。
- Sleep
disturbances(睡眠障害)
-
- 睡眠障害は、痛みを伴うトリガーポイント症候群の患者にとって問題になる。一連の研究の著者は多くの知覚障害(痛みも含む)は患者の睡眠を深刻に妨害することを示した。
- この睡眠障害は次に、次の日の痛み感覚を増大させる。筋肉が長い間短縮した位置にとどまっていると、またもし体重がトリガーポイントを圧迫していると活動性筋筋膜トリガーポイントはより強くなる。かくして、活動性トリガーポイントをもつ患者にとって、睡眠の不必要な障害を防ぐために睡眠のポジションは大事である。
15-2 http://www.emedicine.com/sports/topic158.htm
Frequency(頻度)
United
States
筋筋膜トリガーポイントはとても一般的でほとんどすべての人が一生のうちに一度や二度は経験する。潜在性トリガーポイントは、痛みを伴わないで運動機能障害の原因になるのだが(凝り、運動範囲の制限)、それは痛みを伴う活動性トリガーポイントよりもはるかに多い。
活動性トリガーポイントは頚、肩、骨盤帯などの姿勢筋と咀嚼筋に一般的に見られる。加えるに、上部僧帽筋、斜角筋、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋、腰方形筋などにしばしば見られる。
筋筋膜トリガーポイントという概念がどの程度普及しているかについては、特定患者集団数の報告が役に立つ。表1に示すように、体のある部分が痛い人にとって、この疾患が程度普及しているのかを示している。
Table 1.
Prevalence of Myofascial Pain(筋筋膜性疼痛の普及)
Region |
Practice |
Number
Studied |
Prevalence
of Myofascial Pain, % |
General |
Medical(一般医) |
172 |
30 |
General |
Pain
medical center(痛み医学センター) |
96 |
93 |
General |
Comprehensive
pain center(統合痛みセンター) |
283 |
85 |
Craniofacial(頭・顔痛) |
Head
and neck pain clinic(頭痛・頚部痛クリニック) |
164 |
55 |
Lumbogluteal(腰臀部痛) |
Orthopedic
clinic(整形外科) |
97 |
21 |
筋筋膜性疼痛の普及に大きな差があるのは、少なくとも一つは、検査された患者数と慢性の程度に違いがあったものと思われる。しかし、たぶんもっと重要な点は、筋筋膜トリガーポイントの診断基準の使い方の違いにあるのではないか。そしてもっとも重要なのは検査する人のトレーニング、技術によるものと思われる。
14-1 http://www.myorehab.net/article%20-%20The%20hips%20lead,%20the%20shoulders%20follow%20or%20follow%20the%20leader.htm
イラストAを見てほしい。この筋肉は交通事故に遭ったときや滑って転倒したとき、あるいは転倒しそうになったときによく損傷する。この筋肉が損傷すると、トリガーポイントが形成され、筋短縮が発生して、その結果、損傷した側の骨盤は上に引っ張られ、肋骨は下に引っ張られる。この筋肉が傷害を受けると、トリガーポイントを形成し、傷害を受けたのと同じ側に筋短縮が起こり、骨盤を持ち上げ肋骨をひきさげる。イラストからも分かるように、短縮した筋肉の影響は頚にまで達する。臀部と肩はあたかもリーダーに従うように水平でなくなっている。下肢の長さの違いにも気づく。この種の体の歪みがあると、頚部痛や背部痛が生じるであろうことは容易に想像できる。
14-2 http://www.myorehab.net/article%20-%20and%20the%20hip%20bonez.htm
腰方形筋にトリガーポイントが出来ると、収縮して反対側より短くなる。これは同側の骨盤の後ろを引っ張り上げ、同側の骨盤の前方を下方に回旋する。このとき特徴的な痛みが始まる。大腿直筋は骨盤の前方に付いているので、骨盤の前方が下方に回旋すると、この筋肉にトリガーポイントが生じ、骨盤の機能障害としばしば膝痛を生じさせる(イラストB)。腹直筋には、交通事故のとき、シートベルトで圧迫されてトリガーポイントが生じることがある(イラストC)。この筋肉は骨盤の前方にある恥骨に付着しているので、骨盤の機能障害が起きると、この筋肉も巻き込まれる。腹直筋にトリガーポイントが生じると、その関連痛は腰部まで及ぶ。そしてまた、無菌性膀胱炎の多くの症状の原因となることがある。
14-3
http://www.myorehab.net/article%20-%20The%20Great%20Imposters%20or%20Muscles%20That%20Mimic.htm
類似症状を呈する成りすまし筋の4大スター
-
A:小臀筋→坐骨神経痛
-
B:大胸筋→狭心症
-
C:腹直筋(下部)→虫垂炎
-
D:僧帽筋(上部)→偏頭痛
”成りすまし筋”のリストのトップは小臀筋だ。片方の脚により多くの重心をかけて立っているとこの筋肉にトリガーポイントができ、臀部、大腿、下腿の痛みの原因になる(イラストA)。通常、一方を怪我したとき、他方に体重を移して立っている。
この痛みのパターンを見ると、しろうともヘルスケアの専門家もともにしばしば坐骨神経痛だと思ってしまう。坐骨神経痛とは痛みパターンの説明で真の診断名ではない。小臀筋の関連痛パターンは、この筋肉は”偉大なる詐欺師”とあだ名が付けられるのに値するものだ。
しばしば、左の胸部に強い痛みを訴え、左の腕にも痛みが広がっている患者が訪れる。医師によって可能性のある心疾患に対する適切な検査がされて異常がなかったので、M.Rを紹介された。大胸筋のトリガーポイントは胸部に痛みを作り、その関連痛として腕に痛みが放散する(イラストB)。この痛みの関連痛パターンは心臓発作の関連痛パターンととてもよく似ているので、大胸筋は私達の”詐欺師”リストの大スターである。
虫垂炎は年齢に関係なく、しばしば警告なく起こるごく一般的な健康問題だ。虫垂が摘出されたが、病変が見つからなかったという報告はたくさんある。このようなケースでは犯人は下部の腹直筋だ。イラストCで痛みのパターンが見られるように、この”詐欺師”は下腹部に虫垂炎と似た痛みをつくる。
下部腹直筋のトリガーポイントは、自動車事故のときシートベルトの下の部分で活性化することがある。また、痛みを伴う月経周期によることもある。下部の腹筋のこれらのポイントは、下痢や憩室炎や婦人科的障害を模倣した徴候を誘発することある。
片頭痛は、今日のストレスの多いライフスタイルにあまりに普通にみられるようになった。多くの人々は、毎日、毎週、毎月、頭痛を患う。頸部後方の筋肉(首の後ろに)のトリガーポイントは、ひどい頭痛(例えば片頭痛、緊張型頭痛と外傷後頭痛)に、常に関係している。たとえば上部僧帽筋のトリガーポイントが活性化すると予想範囲の頭痛と頚痛が起き”模倣された偏頭痛”といわれるものになる(イラストD)。これらの筋肉が強く収縮することにより大後頭神経を圧迫して、筋痛のみならず神経の痛みも同様に引き起こす。
すべてのスポーツ障害;テニス肘、ジョガーズヒール、シンスプリント、二頭筋腱炎、滑液包炎、などは”成りすまし筋”をもつ。実際、成りすまし筋はしばしば痛みの症状の一部の原因になっている。スポーツで筋肉を幾度も幾度も使ったあと、もしこれらの筋肉が正常な静止長にストレッチで戻されないと、筋肉は次第に硬くなってきて、痛みを作るポイントが形成され短縮する。よい例は、”成りすまし筋”テニス肘の指伸筋と回外筋だ(イラストなし)。テニス肘はくり返される筋肉の微小外傷による。その筋肉は短縮して痛みの原因になる。ふくらはぎのヒラメ筋、腓腹筋、前脛骨筋(イラストなし)はジョガーズヒールやシンスプリントの”成りすまし筋”だ。
14-4
http://www.myorehab.net/article%20-%20beware%20the%20itis%20of%20bursa.htm
短縮した痛みのある筋肉は、滑液包炎の根本的原因の多くを占めている。イラストAの大腿筋膜張筋は大腿骨転子部の滑液包炎のような痛みをつくる。ハイジャンプで両足で着地したときや、一方向に傾いている地面でウオーキングしたりランニングしたりしたときにこの筋肉にトリガーポイントができる。
他の一般的な”滑液包炎”は大腿直筋にみることができる。イラストBにしめす。大腿直筋のトリガーポイントは膝の上に痛みをつくる。これは膝蓋骨の滑液包炎と誤診される。この筋肉のトリガーポイントはスキーの転落事故やランニング時に作られる。長時間、車の中で重い子供を膝の上に乗せていたようなことでもこの筋にトリガーポイントができる。踵の痛みはいろんな原因で起きる。実際にはひらめ筋のトリガーポイントが原因でも踵に痛みがおきるが、これはしばしば、踵骨部滑液包炎と誤診される(イラストC)。ランナーがくり返して足先(トゥ、足裏球)で着地するとひらめ筋の過負荷がおこり、トリガーポイントが形成される。足首をしっかり固定しないでスキーやスケートをすると、やはりヒラメ筋は過負荷となる。肩の前方の痛みは、上腕二頭筋腱の下の滑液包炎に似る。肩甲骨の棘下筋(イラストD)のトリガーポイントの痛みは肩の前方に出現し、二頭筋滑液包が作る痛み似ている。転倒しそうになって後ろに手をついたり、ワゴンをひっぱったり、いやがるペットをひっぱってあるいたりした時にこの筋のトリガーポイントは活性化する。
14-5
http://www.myorehab.net/article%20-%20rocky%20road%20sunday.htm
マーサがMRに無料相談に来たときは、鎮痛剤や筋弛緩剤の効果もなく6ヶ月間もすでに過ぎていた。腹直筋のトリガーポイントは、しばしば背部や腰部の痛みの原因となる。(イラストA)マーサの車が追突されたとき、ヒップをしっかり固定したシートベルトの前方の部分は、腹直筋などの下腹部の筋肉を傷めた。腰のレントゲンで背骨の損傷がなかったので、彼女の主治医はただちに軟部組織が損傷を受けたと思った。マーサが腹筋のストレッチをしたり、長時間座ることによって腹筋を縮めると、彼女の腰痛は強くなった。マーサは、筋筋膜トリガーポイントが体の前方から後方へ関連痛を起こすことを知っておどろいた。
彼女の腰痛の神秘が解決すると、マーサは希望を持った。彼女は依然として頭痛に苦しんだが、これは交通事故のせいではなくアレルギーのためだと考えてた。マーサは訪問した当初は頭痛について言及しなかった。彼女が頭痛についてアドバイスを求めたとき、私たちは交通事故の数週間あとから頭痛がはじまったことを知った。遅れて頭痛がはじまったので、マーサは交通事故と関係があるとは思っていなかったのだ。彼女の痛みのパターンは鞭打ちでしばしば損傷する2つの筋肉の特徴的なものだった。それは胸鎖乳突筋=SCM(イラストB)と僧帽筋(イラストC)だ。この2つの筋肉が示す痛みのパターンを彼女に見せたとき、マーサは「それが私の痛みです!」と叫んだ。
14-6 http://www.myorehab.net/article%20-%20back%20in%20the%20saddle,%20the%20desk%20jockey%20rides%20again.htm
MRに来たとき、彼は痛みが背中からスタートしてお尻にかけて降りて来ていると表現した。朝方、調子が悪くてベッドから起きるのが大変だ。ボブは熱いシャワーと売薬の鎮痛剤で痛みをコントロールしていたが、もはや限界だった。ボブは身体トレーニングに熱心なのだが、ここ数ヵ月間、ジムで運動できないことが体重増加の原因だと心配していた。余分なウェートが腰痛悪化に関わっていると感じた。ボブは技術屋で、長時間デスクワークをしていた。彼は自分のことを”デスクジョッキー”と紹介していた。夕方になると彼の腰痛は耐え難いものになった。ボブは真っ直ぐに立つのは困難だといった。そして腰をかがめてトイレへ行くのだった。
彼の病歴を徹底的に再検討した後に、動作範囲評価をした。これによって、ボブの痛みの原因になっている重要な
部位を特定できた。ご想像のとおり脊柱の両側の筋肉は緊張して痛みを持っていた。
これらの長い筋肉は一括して傍脊柱筋(paraspinals)として知られている。 (イラストA)傍脊柱筋のトリガーポイントを触診するとボブの痛みはほぼ再現された。トリガーポイントとは、それが刺激されたとき予測される範囲に関連痛が生じる痛覚過敏になったポイントで、筋肉内にある。傍脊柱筋のトリガーポイントは腰上部にあり、そこからの関連痛はボブの腰から臀部にかけて起きていた。ボブはまた腰椎に沿った特徴的な痛みを描いた。この痛みは腸腰筋によるものだった(イラストB)。腸腰筋は腰椎の前方から発し、骨盤を横切って大腿骨の上部に至っている。
腸腰筋は傍脊柱筋と共に、体を直立させる役割がある。一般に、これらの筋の一方が傷害されると、もう一方の筋にトリガーポイントができるのは時間の問題だ。これらの筋の一方を治療するとき、もう一方も治療されねばいけない。そうしないと、これらの筋のバランスがとれず、痛みを強くするかもしれない。この痛い状態がたやすく戻らないように、もう一方の筋もまた治療されるべきだ。私たちは、ボブの痛みが継続している要素に到達した。ボブは胎児のような格好をして寝ていることを発見したのだ。股関節を屈曲位に保つ(膝を胸に近づける)ことは、腰痛にとって部分的にはいいのだが、それは一晩中、腸腰筋を短縮していることになるのだ。ボブが朝立ち上がろうとしたとき、彼の腸腰筋は、典型的な痛みパターンを発して伸すのに抵抗した。
同様に、この格好では、一晩中傍脊柱筋は伸展しているので、彼が立ち上がったとき、それが短縮して、傍脊柱筋の中のトリガーポイントは、明確な痛みのパターンを呈した。胎児の体位は、机に座った格好に似ている。長時間の座位のあとボブは真っ直ぐに立ち上がれないことはこれで説明できる。就寝時の姿勢を変えて、痛みを永続させている要因を取り除き、職場や家庭でできる具体的なエクササイズを用意してやるとで、この「デスク・ジョッキー」は普通に仕事ができるようになった。ボブはまた、次のことを学んだ。「この損傷が再び起きないようにするには、ものを持ち上げる時、膝を曲げて腰を真っ直ぐに保つことだ。」
14-7
http://www.myorehab.net/article%20-%20april%20showers%20bring.htm
広背筋は骨盤、脊柱、上腕骨前方に付着している。雑草を引き抜くような動作や、クマデでを使う動作することによって広背筋のトリガーポイントは活性化する。剪定ハサミを使うとき腕を体の前方に固定しているので、やはり広背筋を使いすぎることになる。イラストAの×印はトリガーポイントの部位で、イラストBの赤い色の部分は痛みのパターンを示している。訪ねるとメアリーは痛みは次第に腕を降りて来たといった。メアリーの痛みのパターンの詳細で、私たちは確信した。
いくらかの治療のあと、痛みは部分的に改善したのみだった。メアリーは庭仕事を止めていたので、このことは私たちにとって新たな不思議なことだった。何をしているので痛みが続いているのだろうか?痛みのサイクルが続いている他の要素を考える必要があった。私たちの女性のセラピストが、メアリーが服を着替えているのを観測したとき、はじめて分かった。きついブラジャーが脇腹のところで、深い食い込みを作っていた。この継続した圧迫が広背筋にトリガーポイントを活性化し存続させていたのだ。椅子から立ったり座ったりするときに腕を使う動作が、この筋肉をいっそう悪化させていた。
行動や身につける物やその他のものが、コンスタントにストレス状態を筋肉にもたらしているとき、私たちはこれらを「継続因子」と呼んでいる。メアリーの「継続因子」が特定されて、それが取り除かれたとき、治療は成功した。ホーム・エクササイズ・プログラムによって、痛みの再発は防がれ、MyoRehabを再訪問することはなかった。
14-8
http://www.myorehab.net/article%20-%20The%20Hidden%20Prankster.htm
ハル(47才、Adaptive
Physical Educationの教師)は子供が、部屋の中を飛び回っていて、手に負えない状態になっていることを見た。彼は走りながら、右腕を伸ばして子供を捕まえた。胴体が右にひねられたとき、彼は腰にするどい痛みを感じた。痛みのレベルは、考え得る最高の痛みを10として、1から10のうちの7であった。彼は、助けなしに椅子から立ったり座ったりすることが困難であった。彼が最初に訪れたとき、彼は数年前から熱心なボディービルダーで、重量挙げの選手でさえあったと告げた。
数年前より彼は腰椎椎間板ヘルニアと診断されていて、再度損傷したのだと不安になった。ハルは腰椎の手術を選択しなかったのだが、今回はその必要があるのではないかと不安になった。ハルの腰を調べてみると、腸腰筋という身体の芯の深い所にある筋肉、そのあだ名は”隠れたいたずら者”なのだが、まさにそのとおりを演じていた。腸腰筋は、2つの筋肉が結合したものだ(イラスト参照)。
一つは腸骨筋といって骨盤の内側にあり、他方は大腰筋といって腰椎と椎間板の前方に付着している。それは骨盤の”あな”を通って下行し、そこで腸骨筋と合流している。それらは共に大腿骨の上部に付着している。これらの2つの筋肉は股関節の主要な屈筋で、膝を胸に近づける動作をする。ハルの腰を調べてみると、腸腰筋という身体の芯の深い所にある筋肉、そのあだ名は”隠れたいたずら者”なのだが、まさにそのとおりを演じていた。腸腰筋は、2つの筋肉が結合したものだ一方が他方よりも短縮している場合は、一方では椎体間のスペースは狭まり、他方では広がる。このことはウェッジ(楔形)効果で腰に恐れられているヘルニアを起こしやすくしている。ハルは数年前より重量挙げをしていたので、大腰筋にトリガーポイントを形成していた。他の筋肉も巻き込んではいたが、この”隠れたいたずら者”が彼の腰痛の主な原因となっていた。トリガーポイントは筋肉にできた痛覚過敏の点で、それは可動域を制限し、また通常同側に予測しうる範囲に関連痛を生じさせる。それは直接的外傷、使いすぎ、反復動作によって筋肉内に生じる。
14-9
http://www.myorehab.net/article%20-%20the%20incident%20on%20ice.htm
サムはある寒い冬の朝、車へと歩いていき、ドアに手を伸ばそうとした時、薄氷が張っているのに気が付かず、足を取られて滑った。彼は足をばたつかせたが転びはしなかった。その様子は、アイススケートショウでピエロがみせる転びそうで転ばないあの格好だったと彼は言った。
このことがあってしばらくして、サムは腰痛を感じはじめた。咳やくしゃみで痛みは増強した。彼は実際に転びはしなかったので、痛みと凍った路面でおきたことと関連づけることはなかった。痛彼は温めたり売薬の鎮剤を使用したりしたが、痛みをなくすことはできなかった。ベッドでの安静はかえって悪化した。運動は良い感じがしたので、ジムでのトレーニング続けようとした。運動をしているとき痛みは軽減したが、しばらくたつと、かえって悪化した。
彼のパーソナル・トレーナーは、筋肉がきずついているのかもしれないといって、MRに検査のためさしむけた。彼の痛みのおきた経過を詳しく調べたが、サムは転びそうになったことは決して思いつかなかった。かれは数ヶ月前、重い箱をいくつか運んだことと関連付けたが、最近になるまで痛みを感じることはなかった。腰の筋肉にストレスがかかったもっと最近の出来事はないかと尋ねたところ、サムは凍った道で転びそうになったことを話した。「私は実際に転ばなかったので、このことの関連性はないと思います。」と彼は付け加えた。筋肉が損傷するには転んで地面を打つことは必ずしも必要ではない。
交通事故や転びそうになった時など、身体のバランスが不安定になった時はいつも、外傷から身を守るために筋群は力強く防御のために働く。その筋群の一つが腰方形筋だ(イラストA)腰方形筋は腰椎の両側にあるとても強い筋肉で、咳をしたりくしゃみをしたり笑ったりした時に胴体を安定させるのに役立っている。この筋肉は座位から真っ直ぐに立ち上がるときに収縮する。サムは椅子から立ち上がるときにとても痛いといった。痛い所を指さしてくださいというと、サムは腰の下の方とお尻のあたりに手をやった。イラストBに示すように、痛みはその筋肉の部位にない。これは筋筋膜トリガーポイントの特徴だ。トリガーポイントとは筋肉内の痛覚過敏になったところで、そこが刺激されると通常、予測しうるトリガーポイントからはなれたところに関連痛をおこす。腰方形筋と腰痛にかかわったその他の筋肉を治療した後に、関連筋を正常な静止状態の長さの戻すためのストレッチに焦点をおいた特製ホーム・エクササイズプログラムをサムに渡した。そして、腰に負担のこないような立ち座りの方法を教えた。ジムでの抵抗運動やウェートトレーニング、再び筋肉を緊張させ腰痛を引き起こすような種類の運動をしばらくの間しないようにサムに伝えた。ジムでは腰痛を悪化させない範囲で、ウォーキングマシーンなどで歩くことをサムに奨励した。
14-10
http://www.myorehab.net/article%20-%20a%20matter%20of%20urgency.htm
アニタ(44才、教師)は臀部と股関節部の筋筋膜性トリガーポイントの治療のため彼女のカイロプラクターによって、紹介されてきた。彼女は2年前、箱を上の棚に上げようとして、後ろにによろめいて転倒し、右のお尻を強打したのだ。転倒によって生じた腰痛に対してはカイロプラクターによってうまく治療されたのだが、お尻と股関節部の痛みは相変わらず続いていた。彼女はまた、下腹部に力を入れた時の痛みのほかに頻尿も経験した。これらの症状は転倒してから数週間から始まった。
アニタは尿路感染様の症状が転倒と関係しているとは知らなかった。尿路感染について生化学的検査をしたが陰性だったので、どうしたものかと思った。細菌学的検査も陰性だったので、抗生剤は効果がなかった。3回目に筋筋膜性疼痛の治療が行われるまで、アニタは尿路感染に関して訴えることはなかった。さらに質問してみると、カイロプラクターの骨盤調整によって、尿路感染様症状はわずかに改善しているように思えた。トリガーポイントは筋肉を短縮する。筋肉の短縮は次々に関節のアライメントの異常を持続させる。トリガーポイントは筋肉にできた痛覚過敏なポイントで、それが刺激されたとき、通常トリガーポイントから離れた部分に予期される範囲に関連痛を起こす。アニタの場合は関連痛はお尻と股関節の部分だった。不運にも彼女の尿路感染様の症状はお尻と股関節の痛みと同時に再発した。痛みの改善のためのカイロプラクティックのアジャストによる治療の効果は2,3日しか続かなかった。骨盤と股関節のアライメントの不具合が続いていて症状が再発する原因は筋肉にあるということは私達やカイロプラクターにとってあきらかなことであった。あなたが想像するように、大臀筋の筋筋膜トリガーポイントは臀部痛と股関節部痛をおこす。しかし、大臀筋の深部にある梨状筋が第一の犯人だ(イラストA)。それはこの筋肉が仙骨と大腿骨の上部の両方に付着しているためだ。梨状筋のトリガーポイントは仙骨のミスアライメントになりうる。私達の疑いは正しかった。いくつかの筋は骨盤底の痛みの原因になりうる一方、大内転筋は登り坂の時に使われ、下り坂のときは使われない。(イラストB)
14-11
http://www.myorehab.net/article%20-%20Two%20Feet%20or%20Not%20Two%20Feet.htm
腰痛の多くの人はそれが起きた出来事を思いだすことができる。たとえば、腰を深く曲げて重いものを持ち上げたり、滑ったり転んだり、その他の明らかな災難だ。一方、腰痛が長年かけて徐々に起きたように思える人もいる。これらの人は年齢もせいだと思っている。時間的要素はあるものの、年齢は無関係だ。足の構造が筋肉に負担をかけて疲労や不適切な動きをきたしている人がいる。時間をかけて、関係する筋肉は収縮、短縮して、痛みが生じることがある。”モルトン足”の人は歩くときに踵と第2趾の付け根のところに負荷がかかる。つまり足裏のたったの2点なのだ。踵と第1趾と第5趾の付け根の3点に負荷がかかる歩き方はより安定性がある。”モルトン足”の人は2点で支えて歩くので、これはナイフのエッジを歩くようなもので、足の動きを固定させている。この不安定性のために、それをカバーしようと、足と足首を固定させるので、下肢、股関節、腰に負担がかかる。
14-12
http://www.myorehab.net/article%20-%20A%20pain%20in%20the%20butt.htm
一年以上もこの痛みが続いていた。病歴をチェックし、詳しく質問してみたが、このことを起こしたような重要な外傷的出来事はなかった。座っているとき、彼女は左腕に体重をかけて、左に傾いていた。こうしていると少しは臀部痛が和らぐと彼女は言った。右に傾いて座るように試したところ、モニカは両方の臀部に痛みを感じた。それは胸郭下部から左のお尻にかけて左側を束縛していた。パズルのピースは合い始めた。咳が続いた期間がなかったか尋ねてみた。約二年前、風邪ウィルスが胸についたことがあるとモニカは答えた。永遠に続くかと思うような咳になった。激しくて長期間の咳は、胴体を安定に保っている筋肉を”鞭打ち”状態しすることがある。胴体の安定に寄与している第一の筋肉は腰方形筋だ(イラスト参照)
腰方形筋のトリガーポイントの活動がモニカの痛みの原因だった。筋筋膜トリガーポイントは筋肉にある痛覚過敏なポイントで、それを刺激すると、通常離れた部位に予測しうる範囲に関連痛が生じる。臀部痛を起こす可能性のあるその他の筋肉のトリガーポイントは、大臀筋、梨状筋(大臀筋の深部、臀部の深いところ)、半膜様筋(ハムストリング筋の一つ)だ。これらの筋のトリガーポイントの活動性をみるために、可動域テストをしたが、腰方形筋が他の筋肉より際だっていた。この筋肉が「腰痛のジョーカー」であることにはもはや疑いはなかった。他の筋肉にもトリガーポイントの活動がみられたが、臀部痛の原因ではなかった。
腰方形筋のトリガーポイント活動は、臀部と腸骨部とそけい部に関連痛をおこす。この筋肉は第12肋骨と腰椎と腸骨の上部に付着している。この筋肉は「ヒップ・ハイカー」として腰椎の安定化などいくつかの機能がある。それは、側方屈筋としても働く。つまり、胴体を一方へ再度引き起こす。この筋肉は激しい咳やくしゃみや笑うというようなときに、胸郭を安定させる。左肘に体重をかけて傾いて座ることは一時的に臀部の痛みを避けたが、実際、長い目で見ればトリガーポイント活動と痛みが続いた原因となった姿勢であった。恒久化している要因は、ほとんどの場合、無意識にされる。痛みを避ける姿勢の歪曲は、筋筋膜トリガーポイント痛と筋肉機能不全で最も一般的な恒久化している要因のうちの1つである。
14-13
http://www.myorehab.net/article%20-%20driving%20you%20crazy.htm
メアリージョーがMRに来たとき、臀部の痛みのために短い時間でさえ座ることができなかったので、座ってする気晴らしは行えなかった。痛みは15年以上前に起きた怪我のためだった。それは、自転車旅行の時、転倒して右のお尻を強打したのだ。長年のうちにほとんど痛みは解決したのだが、長距離のドライブとか映画を見るように長時間座っていると、いつも痛みがぶり返すのだ。この痛み問題は転倒してお尻を強く打った人ににとってありふれた問題だ。時には、引き金となった出来事がずいぶん昔のことなので、忘れ去られて久しいことがある。多くの人はこの痛みはカー・シートやオフィス・シートの問題だと思っている。どんなに多くの種類の椅子に変えても、長時間のドライブやデスク・ワークで痛みは戻ってくる。
この種の臀部痛を起こすことのある筋肉のうちの一つは中臀筋である(イラストA)。一見したところ、この筋肉は腰の端にあるので、尻の痛みのありそうもない候補に見えるかもしれない。イラストA1、A2で見えるように、お尻にある痛みのパターンは黒と白で表したX印の筋筋膜トリガーポイントによるものだ。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にできた痛覚過敏な点で、それが刺激されたとき、離れた部位に予測される範囲に関連痛を生じる。また、筋肉内に”taut
band"と呼ばれる短縮を生じる。それは全ての運動範囲を制限する。中臀筋は強力な筋肉で、第一の機能は立位の時に腰をしっかり支えることだ。メアリージョーのケースでは、自転車から落ちたとき、お尻を打って骨盤を揺さぶったので、中臀筋は攣縮し痛みを起こすトリガーポイントになった。梨状筋はお尻の深部、大臀筋の下層にある。この筋の痛みのパターンはイラストBで示す。尻餅をついたときやはり影響をうける。
これらの筋肉の治療を受けたあと、メアリージョーは治療中にえられたリリース状態を保つために、ホーム・エクササイズ・プログラムを教えてもらった。そして、痛みがなくなって退院した。しかし、2週間後にメアリージョーから電話があり、彼女は治療のために戻ってきた。臀部痛が再発したが、以前のとはちょっと違う感じがするといった。いつから、なぜ痛みが起きたのか注意深く分析して、さらに可動域テストを行った。明らかな原因以外についても検討した。彼女の痛みのパターンは臀部の折り目のところにあった。ここは臀部の下方で、大腿と連結しているところのカーブだ。半腱様筋、半膜様筋はハムストリングと呼ばれている筋群に属している。これらの筋群の痛みのパターンはイラストCで示すように、臀部の折り目のところにある。これは、いままで他の筋肉からの痛みによって隠されてしまっていた痛みのもとであることが分かった。最初の転落の時に、ハムストリング筋は損傷を受けたのだろうが、トリガーポイントが臀部の下部に痛みを作っているところの永続した要因がなくてはならない。メアリージョーの仕事は長時間のデスクワークだったので、ワークステーションのデザインについて質問した。彼女の説明から、彼女のキーボードは、ドロップダウン・キーボード・トレイではなくて机の上にあることを知った。タイプを打つときに手首の痛みを避けるために、キーボードに対応するために椅子の高さを最高にしなければならなかった。メアリージョーはあまり背が高くなかったので、彼女の足は椅子からぶら下がったようになった。このことが、椅子の角が大腿の裏に圧力をかけて、ハムストリング筋にトリガーポイントを作っていた。ハムストリングに治療を加えたあと、これらの筋群が完全な静止長を保つようにとするエクササイズがメアリージョーに与えられた。彼女はまたドロップダウン・キーボード・トレイを机にとりつけた。
14-14
http://www.myorehab.net/article-peeling-the-layers-of-the-bunion.htm
”bunion(腱膜瘤)”(”onion”と韻をふむ)はフランスの古語が語源で、頭の腫れまたはこぶという意味だ。医学辞書によればbunion(腱膜瘤)は、第一中足骨の骨頭にみられる滑液包(腱と骨の間にありジェルで満たされている)の腫れだ(イラストA)。あなたの足底には痛みや苦痛を起こすかもしれない2つの小さな筋肉がある(イラストB)。これらの筋肉に筋筋膜トリガーポイントができると、2つの筋力は結合して母趾を引っ張りアライメントが崩れる。それだけでなく、痛みが生じるがこの痛みは腱膜瘤からの痛みと実質的にみわけがつかない。イラストBで、右側の短母趾屈筋のトリガーポイントは偽の腱膜瘤の痛みをつくる。左側の母趾外転筋のトリガーポイントはタウトバンドを作り母趾を正中線方向に引っ張る。そしてすでに炎症が起きている腱膜瘤の痛みと苦痛を増強する。
運動範囲テストはミステリーについて回答を与えた。長母趾伸筋、長趾伸筋という小さな筋群のトリガーポイントはしばしば見逃される(イラストC)。これらの筋群は共同して歩行時に趾と足を引っ張りあげる。これらの筋群はまた、趾をあげた状態に保つ。そして床で足をフラットにする最後の部分を遅らせる。トリガーポイントがこの2つの筋肉に起きると、この痛みを避けるために”アンタルジックな歩き方”をするようになる。そして母趾の外側で歩くようになり、そこの滑液包がイリイリする過程が始まるのに十分である。趾をそのことから逃れさせるために、足の小さな筋肉を代用し、過重するようになる。このことが母趾に痛みを加えるトリガーポイントを作る。最終的にはこれらのトリガーポイントは母趾を歪めて、さらに腱膜瘤を複雑なものにする。
14-15 http://www.myorehab.net/article-twisted_knee_at_hickory_nut_gap.htm
微妙ではあるけれども、歪められたパターンは彼女の右の股関節と大腿の筋肉に過重な負担をかけた。関係したこの2つの筋は膝に関連痛を生じる。大腿直筋(イラストA)は股関節と膝関節の両方の関節を横切る。そのトリガーポイントによって作られた痛みは膝に起きるが、トリガーポイントそのものは筋肉の反対側のサイドにある。この筋肉は2つの関節を横切るので、歩くことと立ったりしゃがんだりすることの二つの役目をする。内側広筋(イラストB)はただ膝関節を横切るだけである。この筋肉の二つのトリガーポイントもまた膝に痛みを作るが、この筋肉は多くの人が”トリック膝”と称しているところのものに責任がある。この関連痛は”膝崩れ痛”である。これは膝に過負荷をかけたときにときどき膝が崩れることだ。これら両筋は四頭筋と呼ばれている筋肉の一部をなしている。トリガーポイントの徴候が多様で、治療者や患者によく知られていないので、痛みや機能障害の原因はよく知られていることに間違えられる。レベッカの場合も視力や48才という年齢は何も問題ではなかったのだ。
14-16
http://www.myorehab.net/article-Just_wont_stand_for_it_anymore.htm
今年の休暇中の買い物は前年よりも楽しくはなかった。レジの長い列に立っていると、メーガンはしつこい腰痛を感じるようになっていた。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内の痛覚過敏なポイントで、それが刺激されたとき、通常、予測しうる範囲でトリガーポイントから離れた部位に関連痛を起こす。腸腰筋のトリガーポイントは腰痛の原因になる(イラストA)。
この筋肉の痛みのパターンはメーガンの脊椎の上下に現れた。イラストに見られるように、腸腰筋は大腿の全部にも痛みをつくった。メーガンはこの大腿全面の痛みは、犬の散歩のせいだと思っていて、決して腰痛と関係あるとは思わなかった。第二子の出産後、メーガンは容姿を保つために毎日、腹筋運動をした。休暇の前になるとメーガンの腰痛は増加した。これが起きたとき、彼女は友人にアドバイスを求めた。たぶん腰が痛いのは腹筋が弱いからだと友人は言った。メーガンは腹筋運動の回数を増やしたが、そのたびに腰痛は増加した。メーガンの増加した痛みは腰全体にあった。この痛みのパターンは腹筋にあるトリガーポイントのためであった(イラストB)。腹筋を強くすることは良い考えなのだが、トリガーポイントがある場合は、筋肉強化は痛みを増加させる。最初にトリガーポイントを治療して、そのあとに、痛みなく筋肉を強化されなければならない。
14-17
http://www.myorehab.net/article-whenlovehurts.htm
彼女の車がターンするのを見逃したスピード違反の車が警告なしに追突してきたので、彼女は気絶して倒れた。当初の10年間は、グレチェンは頚と背中の痛みに焦点を合わせた治療を行った。しかし、痛みが緩和するのは、治療後のせいぜいしばらくの間だけだった。痛みは数日後には再発した。彼女はMRに来た。そして、病歴を検討した。グレチェンは幸せな既婚者で、56才の引退した建築家だった。カレッジを卒業したあとしばらくはバレーダンサーをした。痛みが継続したことが、引退を決心したこととなんらかの関係があると彼女は言った。座位と立位の彼女の姿勢が徹底的に評価された。そして、胴が少し右にねじれていることが分かった。さらなる検査で、腹斜筋にトリガーポイントがあることが分かった。これが彼女の胸郭を下方にねじれて固定させていたのだ(イラストA)。またこのことが頚と背部の筋肉を攣縮状態にして、頭をいつも真っ直ぐに保っていた原因だったのだ。
筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にできた痛覚過敏なポイントで、それを刺激したとき、通常離れた部位に予測される範囲に関連痛が生じる。また、タウト・バンドと呼ばれる筋収縮が誘発される。タウト・バンドによる継続する収縮は、筋付着部炎という厳しい痛みを生じさせる。2回目の訪問で、彼女の下腹部の筋肉の治療が行われた。この筋肉の痛みは10年もの間続いていたので、グレチェンの私生活にも大きな影響を与えていた。彼女は下腹部のトリガーポイントの一つを触診して、関連痛が、「上へ、内方へ」くることを説明した。彼女は膣の性交痛があり夫婦生活が満足に行えていないことを説明した。男性の場合は、これらのトリガーポイントは睾丸痛、性機能障害を起こす。彼女は過敏性腸症候群と診断されていたと言っていた。彼女は尿失禁を起こすようになり、実際の感染のない、生化学的検査陰性の尿路感染様の症状にしばしば悩んだ。腹部のトリガーポイントは、膀胱と尿路の括約筋の頻繁な攣縮をおこし頻尿となる。また、排尿痛、そけい部痛が続く原因となる(イラストB)。これらはまた、年長児の夜尿症の原因となる。これらのトリガーポイントはまた慢性下痢の原因にもなる。言うまでもなく、そのような症状が自動車事故が原因だと知ってグレチェンは驚いた。もちろん私達がそのことを彼女に告げたとき、彼女はその関連性を理解するのが困難だった。「私の健康は追突事故以降に調子が悪くなった。」と彼女は言っているのだが、彼女の疑惑は残されていたのだ。彼女の徴候はどこからともなく来るようだった。腹部の筋肉におけるトリガーポイントが解決して、痛みのない正常な長さに戻るようにして、背部から頚部にかけての痛みはついに解決した。
14-18
http://www.myorehab.net/article%20-%20have%20another%20bite.htm
彼女の歯科医は抜歯を勧めた。彼女はそれに希望をいだき受け入れた。抜歯の数週間後になっても痛みは続いていた。すべてが頭の中のことなのか?友人の助言で、ケィティはMRの無料相談に来た。彼女の痛みは、歯の定期クリーニングのために通院する約1年前から始まったことを知った。痛みはいつもあるというわけではないが、次第に悪化しており、より持続的になっていると彼女はいった。短い検査で、ケイティの口は平均より2cm少なくしか開くことが出来なかった。このことについてしばしば責任のある筋肉は2つある。さらに重要なことは、これらの内の一方はもう一方が静止長にまで伸びるのを防いでいるということだ。この伸展の抑制は筋筋膜トリガーポイントが確立する原因になる。
筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。側頭筋は頭痛と歯痛の両方を生じさせるので有名だ。それは、たとえ歯がなくてもだ(イラストA)。治療計画は始められた。ケイティはほんの次の訪問で歯痛が減少しているという重要なことに気づいた。側頭筋をちょっと治療してやると痛みは和らぐが長続きしない。咬筋は強い筋肉で顎を閉じる作用がある。それは浅部と深部に分けられる。もし側頭筋が静止長まで戻ることが出来るのなら、咬筋の深部(イラストB)は伸展が可能だ。トリガーポイントは筋肉を短縮した状態に保つ。筋弛緩剤でさえこれらに効果が及ばない。
咬筋の深部筋は耳の痛みも作る。ケイティがこのことを知って、「歯痛がとても強かったのでわずかに感じていた耳痛を無視していた。」と言った。筋肉を明確に特定して効果的な治療をした。そして次の訪問の時にケイティの咬み具合を再度検査した。開口時の彼女の顎関節の本来のジグザグさは次のことを物語っている。痛みが完全に無くなったとしても、結局再度、最初に咬筋、次に側頭筋にトリガーポイントを作ることがある顔の深部に隠れた他の筋肉が存在するということを。翼状突起筋群(イラストC)はの痛みはしばしば副鼻腔の痛みに間違われる。顔面の深部にあり、顎のローリングに重要な働きをする。この筋肉のわずかなバランスの悪さが顎関節症を起こすことがある。これらのそしてまた関係する筋肉に対して効果的な治療が行われた。そしてケイティに特別なホームエクササイズ・プログラムが与えられた。ケイティは「まるで咬み合わせが変わった」と言った。
14-19
http://www.myorehab.net/article%20-%20headaches%20not%20all%20in%20your%20head.htm
衝撃は上部僧帽筋を傷めた。そしてトリガーポイントを形成し、その関連痛は彼女の頭へといった(イラストA)。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。ステイシーは外傷後2週間以内のMRに来たので、治療の時間はかなり少なくてすんだ。外傷がまだ急性のときは、筋肉はまだ緊張して副木状態になるまでには至っていない。その状態とは、痛みに適応するか痛みをマスクしてしまうために身体を歪曲してしまうのだが。2度の治療で、僧帽筋のトリガーポイントは不活性化し頭痛は治まった。彼女の頭痛が治まったので、すぐに肩の治療へと移った。
ロバート(トラック・ドライバー)は自動車事故で鞭打ち損傷を頚に起こしていた。彼は10代後半に患った偏頭痛を思わせる強い頭痛にみまわれていた。彼は偏頭痛が再発したと思い、自己注射「イミトレックス」を再開しなければならないのかと恐れていた。鞭打ちの結果として、胸鎖乳突筋(イラストB)が損傷を受けたのだ。この筋肉は頭が過度に後方に動こうとするときに止め手綱の役割をするのだが。彼の頚痛と頭痛は胸鎖乳突筋にできたトリガーポイントのためであった。この筋肉のトリガーポイントは、涙目、鼻水、吐き気、めまい、ふらつき感、ぼやけて薄暗い視野、偏頭痛のような頭痛を起こす。
頭痛を起こすことのある頚の筋肉の損傷はなにも外傷によるものばかりではない。不適当な頭の位置、たとえば一方向にだけ向いたデスクワーク、文書やコンピュータ・モニターを見るために頭を挙げる動作などは頚板状筋に大きな負担を与える(イラストC)。また、たとえばソファの肘掛けや飛行機の中などで、歪んだ姿勢で頭と頚を曲げて眠ることは、この筋肉のトリガーポイントを活性化することになる。頚板状筋のトリガーポイントの活性化は、頭の中に広がった痛みを作る。その痛みは目の裏側で、時に後頭部で強く焦点を結ぶ。人によっては、痛みの有無にかかわらず、後頭部が麻痺したように感ずる。この筋肉の上部のトリガーポイントは、視野がぼやける原因になるかもしれない。これらの症状は治療によってしばしば直ちに完全に解消する。正しい姿勢、職場、人間工学、寝る姿勢、身体力学などについてチェックことなど、明確にすべきこと、消去すべきこと、恒久化すべきこともまた治療に含まれている。修正は必要に応じてなされる。ときに、頭痛の治療は車のシートの正しい位置を教えるのと同じくらい単純なものだ。
14-20
http://www.myorehab.net/article%20-%20Three%20Balls%20Two%20Strikes%20One%20Knee.htm
ジョーはずっと以前に事故は解決済みで膝の痛みは早晩なくなるものと思っていた。しかしそうではなかった。彼は自動車事故のことを話した。光に気づいて車を止めたが追突した。衝突の瞬間、体が車にぶつかるのを防ぐためにブレーキを踏ん張った。
ジョーの大腿部のトリガーポイントは潜在性になった。潜在性トリガーポイントは激しい活動や疲労のときにのみ痛みを作る。このことはなぜ痛みが継続して起きないかの説明になる。ジョーはホームベースにスライディングしてホームランを打ったよりも増して終了した。完全には治癒することのない古傷が再発してしまった。
ジョーが最初に訪れたとき、徹底的な検査で彼の右膝痛の原因として考えられる2つの筋肉が判明した。内側広筋(イラストA)は膝痛を起こすだけではなく、”根性なし”という評価を持った筋肉だ。というのはこの筋肉はBuckling Knee
Syndrome(膝くずれ症候群)を起こす可能性があるからだ。膝の深い痛みをつくっているそのほかの主な筋肉は大腿直筋だ(イラストB)。この筋肉は一方で膝蓋骨に付着し、他方では骨盤に付着している。トリガーポイントの見られるのは骨盤に付着しているあたりだ。トリガーポイントが痛みの場所から遠く離れているので、この筋肉はしばしば見逃される。治療はうまくいって、彼の膝痛はかなり減少した。治療によって得られた効果を持続するためにホーム・エクササイズ・プログラムが与えられた。うまくいっていたので、最終評価のために2週間後に来るように伝えられた。約束した日時が来る前にジョーは戻ってきた。膝痛が再発したのだ。ジョーを迎えるために待合室に入ったときすぐに痛みの原因が明らかになった。彼は右の足首を左膝にのせて座っていたのだ。その格好は、内転筋群(イラストC)を引っ張ることになっていたのだ。その結果、内転筋群に筋筋膜トリガーポイントが生じてしまった。短、長両内転筋は、内側広筋や大腿直筋と同じような痛みをつくる。これらの筋群も膝の近くにないので、膝痛を起こしている可能性のある筋肉として見られることはとても少ない。
14-21
http://www.myorehab.net/article%20-%20The%20Agony%20of%20DeFeet.htm
子供のとき、乗馬をしていて、一つの足があぶみにひっかかった状態で投げ出された。さけぶ子供を無視して、驚いた馬は走り続けた。ついに馬は止められリンダは助けられたのだが、彼女の左足はひどく捻挫していた。
私達の評価ではリンダのふくらはぎは、腓腹筋とひらめ筋の両方に筋筋膜トリガーポイントの活性化がみられた(イラストA&B)。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。
リンダのケースでは、腓腹筋とひらめ筋のトリガーポイントが作り出す典型的な痛みのパターンとほぼ同じであった。これらの筋肉のトリガーポイントを治療し始めるとリンダは驚いた。今までの治療は痛い場所、つまり足に焦点を合わせたものだったと彼女は言った。筋筋膜トリガーポイントによる痛みを扱うとき、原因となっている部位よりも痛みのある部位を申し出るということは75%以上の確率で間違った部位を治療するであろう。カレンのケースはリンダとは違っていた。彼女の痛みははっきりした出来事なく徐々に起こった。彼女は本格的なランナーで、彼女のことを”ジョガー”とでも言おうものなら、しかめっ面をするものだった。彼女は参加したマラソンレースについて話をすることが好きだった。この初夏、彼女はランニングを減らした。原因は恐れられている”足底腱膜炎”だったと彼女は言った。あるいは仲間のランナーからそう言われていた。彼女がMRに助けを求めて来た時、今までいろんな靴のインサートや民間療法を試したが効果がなかったと言った。カレンの痛みはリンダの痛みと似ていたが、異なった筋肉が含まれていた。
後脛筋のトリガーポイントは足のアーチの所に腓腹筋と同じような痛みパターンを作る。そしてアキレス腱の所にはヒラメ筋と同じような痛みパターンを作る(イラストC&D)。後脛筋は”ランナーズネメシス(復讐の女神)と言われていて、まさにカレンの場合もそうであった。足底方形筋(足底深部の筋)はヒラメ筋が作るのと同じような痛みを踵に作る。
カレンの足を調べたとき、モルトン足と言われている典型的な足をしていることが分かった。それは母指が短く、第2指が長い。この足の構造だと体重は長い第2指と踵の間にかかる。第5指と母指と踵の三点にかかる安定した形をとらないのだ。この構造による不安定性はふくらはぎと足の筋肉をいつも緊張状態にしてナイフのエッジを歩いているようなものだ。正しいインソールを使用しているときはモルトン足の構造はもはや問題にはならなかった。カレンとリンダは治療後、ふくらはぎと足の筋肉をストレッチするそれぞれ個別のホームエクササイズ・プログラムが与えられた。このプログラムは筋肉を正常な静止長に保ち痛みのない状態にするためのものだ。カレンの場合はゴルフボールの上で足をぐるぐる回して、足底方形筋をストレッチするように言った。
14-22
http://www.myorehab.net/article%20-%20It%20Takes%20Two%20To%20Tango.htm
イラストAをみてほしい。骨盤と胸郭の一番下の肋骨との間の筋肉を示している。この筋肉は腰方形筋だ。この筋肉は交通事故のときに最も多く損傷する。スリップして転倒、転倒しかける時などに損傷する。この筋肉が損傷すると、トリガーポイントができそれは次第に筋肉を短縮し、損傷した側の骨盤を持ち上げ胸郭を引き下げる。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。これはまた、筋肉に痛みの原因となる短縮をもたらす。イラストから分かるようにこの筋肉のトリガーポイントの影響はずっと頚の方までいく。お尻と肩は平行でないことに気づくだろう。また下肢の長さの違いにも気づくだろう。なぜ背中や頚が痛いかはこの種の姿勢の歪みによって容易にわかることだ。
ダイアナのように多くの人はヒップや腰に痛みを感じなくて、背中や肩あるいは頚に痛みを感じる。座位、立位で腰方形筋の緊張に対応して一方向に傾いている。そしてお尻や腰の痛みを避けている。この歪められた姿勢はお尻や腰の痛みを覆い隠して、その代わりに背中や肩や首の痛みを悪化させる。背中と頚の痛みに関係している他の筋肉は傍脊柱筋だ。この筋群は仙骨に付着する。仙骨は脊柱の基盤になる骨だ。仙骨から発して脊柱に沿って頭蓋骨の後頭部に至る(イラストB)。
傍脊柱筋の一方にトリガーポイントができると、弓の弦のようにピンとはって脊柱を弓のように曲げる。これは一方の肩が下がる原因となる。あなたの脳は両眼を水平に保とうとするので、頚の筋肉は一方で短縮し、他方で延長する。頚と肩の両方にまたがる筋肉がある。このことが、しばしば背中と頚の問題が同様に肩の問題へと発展する原因となる。ダイアナに対する最初の評価で私達は、肩を一方に落として座っているのを見た。この歪んだ姿勢はお尻や腰に痛みを作ることを避けたが背中や肩や頚に痛みを継続する原因となった。
14-23
http://www.myorehab.net/article%20-%20t-bone%20at%20the%20takeout.htm
頭が運転席側の窓に打ちつけられたが、明らかな外傷はなかった。しかしマークは頚に側方の鞭打ち損傷を負った。マークはMRに助けを求めてきた。彼は痛みや辛さについて十分に述べた。肩、背、胸、上腕、前腕、手に残っていた。
マークはすでに手根管症候群と胸郭出口症候群に対するテストはされていた。手根管症候群とは手根骨のトンネルのところで神経が圧迫を受けて起こる。手根骨は手首のところの骨で、トンネルは骨と骨の間のスペースだ。胸郭出口症候群は典型的には、第一肋骨が鎖骨に押しつけられるために腕へ行く神経と血管が圧迫を受けることによる。彼はまた頚椎のヘルニアの有無についても検査を受けた。これらのいずれの検査も陰性だった。肩と腕の筋肉の治療は効果がなかった。多くのエクササイズが与えられた。そのうちのいくつかは彼の頚にとってある程度有効だった。エクササイズのあと一般的に、腕を使うことによって起きたと仮定した痛みがより強くなったと彼は私達に話した。
病歴の検討の後、運動制限と痛みを起こしている範囲を調べるために、マークに可動域テストを行った。可動域テストは頚痛を起こさなかったが、マークが耳を肩に近づける動作にかなりの規制がみられた。このポジションを数秒間保つようにマークに言った。マークの肩、背中、胸、腕の痛みの原因は明らかになった。これらの領域に同時に痛みを作る筋肉はただ一つある。イラストから分かるように、マークの痛みの犯人は全く腕の中にあったのではない。頚の両側にある斜角筋がサイドからサイドへの鞭打ち損傷によって、激しく負荷がくわわって損傷したのだ。このことによって、斜角筋にトリガーポイントが生じたのだ。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にできた痛覚過敏なポイントで、それを刺激したとき、通常離れた部位に予測される範囲に関連痛が生じる。斜角筋とその痛みのパターンの図を見たとき、それは彼が経験した痛みの全てだったので、「私は心臓病にかかっていると思った原因がそれだったのだ!」と言った。斜角筋は胸と上肢に痛みを作りそれはあたかも狭心症になったようだった。マークはまた、朝起きると手がむくんで腫れていたといった。これは、頚の付け根で鎖骨下静脈が斜角筋が突っ張ることによって圧迫を受けるからだ。
14-24
http://www.myorehab.net/article%20-%20that%20little%20fender%20bender%20is%20more%20than%20you%20think.htm
「時速5マイルで運転していただけのに、どうしてこんなに痛みがつづくのだ?」これは、あるいはこれと似たようなことは軽い鞭打ち症になった人がよく言うことだ。MyoRehabでは私達はこれを相当数の交通事故にあった患者から聞いている。彼らは事故は大きな影響をもたらさないと考えていたのだが。ポウリーンは彼女のカイロプラクターによってMhを紹介された。彼女は追突されて、前方へ押された。衝撃は時速5〜10マイルだった。研究では低速でも相当の損傷を頚部に与えることが分かっている。衝撃によって頭はむち打たれて筋肉やその他の軟部支持組織に重要な損傷を与える。
ポウリーンは背部痛、肩痛のほかに中〜重度の頚部痛と頭痛を訴えていた。シートベルトはドライバーの左肩だけを固定するので、右肩は頭とともに前方へ、素早く動くに任せられる。その結果、頭は前方を向いたままで胴体は左に向いてねじられる。シートベルトの腰〜膝の部分の衝撃は腹部と胸部にトリガーポイントをつくり、痛みとこわばりをおこす。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内の痛覚過敏なポイントで、それを刺激したとき、通常離れた部位に予測される範囲で関連痛が生じる。このポイントはまた、タウトバンドという攣縮を筋肉内につくる。タウトバンドは関節の可動域制限を起こす。ポウリーンの病歴検査のあと、可動域検査が行われた。いくつかの筋肉が関係していることが分かった。まず、頚の前方部にある胸鎖乳突筋(SCM)、頭蓋骨の底部に付着する僧帽筋、胸部の大きな筋肉である大胸筋だ。胸鎖乳突筋(イラストA)、鞭打ち損傷のときにしばしば問題になる筋肉なのだが、は痛み以外にもいろいろなことを起こす。めまい、ふらつき、眼瞼下垂、耳鳴り、視力障害などだ。
僧帽筋(イラストB)は頭痛を引き起こす最も悪名高い筋肉の一つだ。頭と右肩が激しく前方へ動かされたときに、この筋肉にトリガーポイントが形成される。そして頭痛、背部、肩の痛みの原因になる。交通事故のあと心臓発作のような痛みを胸に感じる人がいる。事実、大胸筋(イラストC)はそのような痛みを作る。また、肩の前方部に、そして腕から手へと関連痛を起こす。この筋肉は乳房の下にあるので、女性ではしばしば乳房に痛みを感じる。シートベルトが腹部に急激な圧迫を起こすことによって、腰背部に痛みを感じる(イラストD)ことがあったり、交通事故にいつも見られるわけではないその他の現象がみられることがある。それらは便秘や下痢や女性の月経異常だ。ある人はすっぱいゲップを経験する。これを香辛料のきいた食べ物のせいだと思っているのだが。シートベルトによる腹筋の損傷によってこのような症状が実際に起きる。
14-25
http://www.myorehab.net/article-fiddler-on-the-roof.htm
マークが腕をいっぱいに伸ばして着地した様子を述べたとき、腰痛を起こすことのある肩の筋肉が疑われた。彼の痛みのパターン(イラストA)は広背筋によるものだ。彼の腕が前方へそして頭の上へ伸びた時に、この筋肉はマークが顔を打つのを防いでくれたのだ。広背筋は体で最も大きな筋肉だ。骨盤、脊柱の半分、いくつかの肋骨、そして上腕骨の前方に付着している。この筋肉は背部の半分以上をカバーしていて、損傷したときには背部痛と肩痛が生じる(イラストB)。この筋肉は木を切ったり、クロールを泳いだりするときにいっぱいに伸ばした腕を引き下げる。
私達がマークに頭痛やめまいはないかと尋ねた時、彼は辛い表情をして言った。ここ2年間、特に治療をしなかった軽い追突事故のあと、めまいや頭痛がすることがあると彼は言った。めまいや頭痛の期間は屋根から落ちそうになってから頻繁になった。追突事故のとき最も頻繁に関係するのが胸鎖乳突筋だ(イラストC)。軽い追突事故でも胸鎖乳突筋は損傷する。マークは前方に倒れたときに再びこの筋肉を傷めたのだ。頚を回すこの筋肉にトリガーポイントが出来ると、頭痛のほかにもめまいやふらつき感が生じる。
14-26 http://www.myorehab.net/article%20-%20A%20Recipe%20For%20Disaster.htm
約2年前、マーガレットがテニス肘と診断されたとき、これまでテニスをしたことがないと強く言った。彼女がMRに診察に来たとき、テニス肘という言葉は、肘の外側上顆の痛みの総称語であると説明した。
チョップする反復的な運動は主に上腕三頭筋の一つの筋にトリガーポイントを形成する。(イラストA)。
三頭筋はチョップの動作の時に前腕を真っ直ぐに伸ばす働きをする(伸展)。これらのポイントは肘の痛みを焦点として腕全体に肩から手まで関連痛をおこす。
そしてまた重要な痛みが親指の付け根のところにあった。それはマーガレットがお気に入りのウスゾフ・チョッピング・ナイフをしっかりにぎりしめるために起こっていた。私達のした評価は違ったものだった。腕とう骨筋(イラストB)は前腕を屈曲位にする。この筋肉の使いすぎは肘と母指の付け根に痛みを作る。マーガレットはチョッピングをしていたが、このダイナミックな2点に痛みを作ることはなかった。
マーガレットは週2回の治療を2週間にわたって受けた。そしてかなり良くなったのだが、肘に持続した痛みのポイントが残っていた。トリガーポイントの特定と治療に関して筋肉の再評価が行われたが、元となるポイントは分からなかった。その週末に行われる次のセミナーのためのスライドを準備する間に、事実が分かった。肘筋(イラストC)と呼ばれている筋肉ははしばしば見逃されるのだが、まさにこのような痛みをつくるのだ。
14-27 http://www.myorehab.net/article%20-%20getting%20the%20cold%20shoulder.htm
五十肩の主要な筋肉の一つは肩甲下筋(イラストA)だ。この筋肉は肩甲骨の前方に位置する。またこの筋肉は”丸まった肩”として知られている状態を作る主因となる。この筋肉は肩と腕を前下方、体幹の方へ引き寄せ、”丸まった肩”の様相を呈する。
肩甲下筋にトリガーポイントが出来ると肩と腕は痛みのため動かすことが困難となる。大円筋、広背筋(イラストB)は大胸筋(イラストC)と共に、肩甲下筋を助けて”丸まった肩”を作る。肩甲下筋の動きが制約されると、これらの筋もそうなってくる。
トムはヘルスケアのプロだったので、早期治療の利点を知っていた。
14-28
http://www.myorehab.net/article%20-%20the%20light%20at%20the%20end%20of%20the%20tunnel.htm
たとえば長掌筋(イラストA)をみてみよう。この筋肉のトリガーポイントは前腕、手首、手掌に痛くてチクチクする感覚を引き起こす。リンダもまた掌の2つの筋肉、母指内転筋と母指対立筋(イラストB)に原因する痛みを母指に持っていた。これらの筋肉は手根管症候群のまねをするので、手術をする前には考慮する必要がある。
彼女の職業としてのトリガーポイントを作った他の筋肉は上腕筋だった(イラストC)。この筋肉からの上腕の痛みはリンダの症状の一部であったが、母指の痛みと関係しているとは夢にも思わなかった。それは何時間も一度に前腕を曲げてキーボードに向かっているためのものだった。
回内筋(イラストD)、タイプをうつ時に掌を下に向ける筋肉、は手首と母指の痛みの原因になるのみならず、手根管症候群に責任のあるまさにその神経、正中神経を圧迫する。手根管部はこの神経が圧迫を受ける唯一の場所というわけではない。
14-29
http://www.myorehab.net/article%20-%20not%20a%20creature%20was%20stirring.htm
レイチェル(帳簿係)は右手にうずくような痛み、前腕、上腕、肩に痛みをもってMRにきた。彼女は消炎鎮痛剤やそのほかの治療を試してみたが、この痛みに2年間も悩まされていた。
多くの治療家は手と上腕の明らかな筋肉についてある程度の成果をあげていたが、痛みは持続していた。このことについての一つの考えられる理由は、あまり知られていない筋肉について治療がされていなかったことだ。それは肩甲下筋(イラストA)と小胸筋(イラストB)だ。
肩甲下筋の痛みのパターンに気づくこと。この筋肉は肩甲骨の前面に付着していて肩関節の前方へ伸びている。この筋肉の痛みのパターンは肩の後ろと最も顕著なのは手首である。
他の重要な筋肉は、大胸筋の下にある小胸筋だ。この筋肉は肩を前方に動かしたり、下方に下げたりする補助をする。レイチェルがマウスやキーボードを使うとき、小胸筋を収縮した状態で肩の動きを保持していたのだ。上肢や手に行く神経や動脈は小胸筋の下を通っている。この筋肉が収縮すると血流が制限され神経が圧迫されるので、うずいたり感覚が鈍くなったりする事がある。
レイチェルの治療がうまくいった重要な部分は、痛みを持続させていたファクターを明らかにして取り組んだことだ。彼女はマウスを使うことは肩を悪化させることを学んだ。トラックボールに変えてより永続的な症状の軽減が得られた。加えるに、体に近すぎたキーボードの位置を変えて、肘がより自然な90度を保てるようにした。トラックボードはキーボードと同じ高さにした。
14-30
http://www.myorehab.net/article%20-%20your%20serve.htm
リサはMRに来たのは、”テニス肘”のためだった。徹底的検査をしてた。彼女は以前に痛い所にステロイドを打つ治療を受けていたことが分かった。これは一時的によくなるように見えるが、注射もその他の治療もリサの痛みを完全に治すことはなかった。彼女の主な悩みはテニスだったが、コンピュータでタイプをうつとかジャーをひねるとか大掃除のような日常のことにも痛みを感じはじめていた。
リサのテニス肘はイラストAで示す回外筋の痛みパターンに最も一致した。肘を完全伸展した状態でテニスのラケットを使うとこの筋肉が障害される。リサのスポーツ活動で障害を受けているのはこの筋肉だけではなかった。
前腕を触診して、肘の上に付着する長い筋肉にトリガーポイントがあることが分かった。それはリサが痛みを示した場所で、また、ちょうど母指の上のところにも痛みを示した。この筋肉は腕橈骨筋でイラストBに示す。この筋肉は母指のところに痛みを作る。リサは当初、これは無関係だと思ったのでそのことを告げていなかった。筋筋膜トリガーポイントのテラピストにとって、特徴的痛みのパターンは、原因となっている筋肉の指標となる。
イラストCに示すように、橈側手根伸筋長頭もまた、肘の外側と母指と示指のちょうど上の手の背側に痛みをつくる。この筋肉を調べるとこの筋肉にも活動性のトリガーポイントがあった。
各筋肉を治療しながら、痛みの原因となる動作を説明した。リサの痛みが”なぜ”おきたのかを知ることは治療が成功したあと再発しないようにするのに役立つ。これらの動きは障害を永続させるという点で”永続要因”といわれている。それを特定して修正しないかぎり、再発は時間の問題だ。
リサが私達にバックハンドを見せたとき、ラケットの先が下を向いているのに気がついた。これは上記の筋肉すべてを過度に使用してトリガーポイントを形成する可能性がある。また、リサにとってグリップが太すぎることが分かった。その欠点を補おうとして、橈側手根伸筋長頭と腕橈骨筋を過剰に使うことになる。彼女が新しいラケットを買った理由はまさにこのことだった。フォームを改善するためにテニスのレッスンを受けるようにすすめた。
13 http://www.buckheadbodyworks.com/index.php?module=article&view=33&MMN_position=38:38
事務職員などのようにいつも座っている人は小臀筋にトリガーポイントを作る危険性がある。
坐骨神経痛という診断は下肢に痛みがある人に付けられるよくある診断名だ(それはしばしば坐骨神経とは無関係なのだが)。
適切なストレッチングなしで走るような運動は小殿筋のトリガーポイントを作ることになります。
12 http://www.bonesdoctor.com/triggerpoints.html
あなたは患者にストレッチを教えようとするが、それはいつも単に、より痛く、より柔軟性がなくなる結果になってしまう。あなたは、お尻をもちあげることを試みるが、それはいかに頻繁にしようとも、いかに激しくしようとも、またいかなる方法を用いようとも、いつも痛みと脂肪太りを得る結果になる。いったいどうしたことなんだ。その可能な説明の一つは、ストレッチや運動をしている筋肉や腱、靭帯にトリガーポイントがあるということである。
痛みとは、実際の外傷や、外傷を負ったと思い込むことによって生じた、異常で不快な心理的的、感覚的体験である。侵害受容器と呼ばれている神経線維の先端が刺激される。刺激は脊髄に行き、脳に到達する。そこで痛みとして認知される。
慢性の筋緊張はストレスへの過剰反応、抑うつ、抑圧された怒りなど心理的的なことと関係している。同じく、栄養不良やある種の代謝性疾患や内分泌疾患がトリガーポイントの形成に関係しているであろう。
11-1 http://www.mamashealth.com/massage/trigger.asp
What
Causes Trigger Points?
Tpはいくつかの原因によって生じる。出生時の外傷、転倒や事故によって起こされたケガ、悪い姿勢、過剰な動作などがその原因となる。
What
is the Purpose of Trigger Point Therapy?
トリガーポイント療法の目的は痛みを除去して、筋肉が痛みのない状態を習慣化するように再教育することである。いくつかの治療のあと、神経ー筋の痛みの腫れやこわばりは減少して、運動範囲は拡大し、緊張は和らぎ、血液循環、柔軟性、筋の共同運動は改善する。
11-2 http://www.mamashealth.com/massage/myotherapy.asp
How
are Trigger Points created?
トリガーポイントは外傷や筋肉の緊張や情動的ストレスによってつくられる。時には、トリガーポイントは休眠状態で、物理的あるいは心理的的なストレスによって活性化されるまでは痛みを作ることはない。
Will
the Trigger Points go away?
はい。 マイオテラピーの多くのセッションで、トリガーポイントを排除することができる。筋肉ストレッチとストレス緩和のような再発防止を取るのは
トリガーポイントが戻るのを妨ぐために重要です。
10 http://www.neurologychannel.com/tpi/
トリガーポイント注射は他の治療法で効果のないMPS(筋周囲の慢性痛)に対して行われる。その効果については討論のあるところなのだが。特に上肢、下肢、腰部、頚部の筋はこの方法で治療される。トリガーポイント注射は繊維筋痛症や緊張型頭痛に対しても行われる。
9 http://www.medicineau.net.au/clinical/musculoskeletal/Myofascial.html
Treatment Efficacy
治療効果:比較試験では鍼や生食、ステロイド、局麻、ボツリヌス毒素の注射が効果的戦略であることがわかった。
8 http://www.uspharmacist.com/oldformat.asp?url=newlook/files/feat/chronicpain.htm
慢性筋膜痛(CMP)は非進行性、非加齢性、非炎症性の筋骨格系の慢性疼痛症候群です。その特徴は身体の特定の部分に限定される痛みとシコリとなって現れることです。
繊維筋痛と同様、慢性の筋筋膜痛は精神障害ではなく、症状も精神疾患のものではない。ただし、慢性の痛みによって不安が生じたり、さらには抑うつ状態に陥ったりすることはある。
アメリカ医師会(AMA)、世界保健機関(WHO)、国立衛生研究所(NIH)も、これらはまさしく身体疾患であり、活動障害の主因(主な原因)であると認めている。
7-1 http://www.triggerpointbook.com/
トラベル、サイモン両医師は、「広く一般的に痛みは誤解され、間違った説明をされ、誤診されている」と確信している。彼らの臨床経験は、「トリガーポイントは痛みと以下の状態を伴うその他の症状の真の原因である」ということを示している。
7-1-1 http://www.triggerpointbook.com/arthriti.htm
Self-Treatment
for Arthritis, Joint Pain, Joint Stiffness, Joint Popping(関節炎、関節痛、関節のこわばり、関節音の自己治療)
関節痛や関節のこわばりがあると、特にレントゲンで骨棘が見つかると、最初に思う言葉は”関節炎”だ。たとえそのような”証拠”があったとしても、トラブルが関節にあると自動的に仮定することは間違いだ。
関節の骨棘はいつも痛みの原因になるとは限らない。それでも”関節炎”は関節痛と仮想的同義語になっていて、市民やヘルスケア・コミュニティで用いられている。関節炎という診断はしばしば、あなたが肘、肩、膝が痛いという以上のエビデンスがあって付けられたものではない。
関連痛
実際に関節痛が関節から始まることがとても少なく、近隣の筋肉内の筋筋膜トリガーポイント(小さな硬結)からの関連痛であることが多いということを知ってあなたは驚くかもしれない。この注目に値する意外な事実は、ジャネット・トラベル博士とデイビッド・サイモンズ博士(広く称賛された医学教科書、Myofascial
Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual.の著者)による数十年の研究による。
問題は単純に痛みのある場所ということで、関節にあるとあやまって決めてかかると治療はたぶん失敗するだろうと、トラベルとサイモンズは指摘する。関連痛は多くの博士や開業医も含めて誰でもバカげたもののように思えた。
関節の影響
トラベルとサイモンズは、トリガーポイントが本当の関節炎を起こしている原因であるかもしれないことを示唆する他の研究を引合いに出す。これの理由は、トリガーポイントで苦しめられる筋肉は短くなって固くなるということである。
この時、通常の運動の時でさえ不当な重圧を関節の筋付着部に与える。そして、それは結局、結合組織の障害と関節自体の歪曲になってしまうことがある。ポンと鳴っている関節は、トリガーポイントによって短くなっている筋肉が部分的に関節を外しているという証拠である。
トリガーポイント療法は肩、腰、膝関節の痛みに最も適切な治療である。それが問題の出発点に行くので、本物の関節炎変化が起こったときでさえ最も適切な治療と言える。トリガーポイントの処理は痛みを止めて、筋肉を延びさせる。そして、それによって関節にかかる重圧を軽減する。
鎮痛剤
トリガーポイントが処方薬で扱われることができないので、あなたはこれらの考えが製薬会社のテレビ広告の中で説明されているのを発見しない。鎮痛剤が問題を解決しないので鎮痛剤は治療で最悪の種類でありえるけれども、鎮痛剤は関節炎に典型的に処方される。
鎮痛剤は、あなたの痛みの認識を減らすだけである。鎮痛剤は、第一に問題を引き起こした同じ活動を続けようとあなたを誘う。
ストレッチは悪い治療かもしれない(Stretching
can be Bad Therapy)
運動とストレッチの形の関節痛のための物理療法は、トリガーポイントをより悪くすることもある。自然のメカニズムとしてトリガーポイントの機能が酷使とオーバーユーズから筋肉を保護しているという観点からトリガーポイントを見ることは役に立つことだ。ストレッチはトリガーポイントを刺激して、筋肉をより堅く短縮させてしまうかもしれない。
運動は同様に逆効果かもしれない。トリガーポイントは保護的に筋肉を弱めて萎縮をおこす。トリガーポイントが不活性化すると正常な筋肉に戻る。ストレッチと運動はこれが達成されるまで延期されねばならない。
(自己治療)Self-Treatment
トリガーポイントは、関節痛と凝りのためのどんな臨床試験の時にでもリストの最上位でなければならない。ヘルスケア開業医が十分なトレーニングと経験を持ったとき、トリガーポイント簡単には見つけることができて治療も簡単である。実際、全く効果的にあなた自身トリガーポイントを扱う方法がある。
7-2 http://www.triggerpointbook.com/referred.htm
Referred pain(関連痛)
「Myofascial Pain and
Dysfunction: The Trigger Point Manual」(Dr.ジャネット・トラベルとDr.デビッド・サイモンズによる広く賞賛された医学教科書)によると、関連痛は筋筋膜トリガーポイントの徴候と定義される。
関連痛は多くの場合、重苦しく深い痛みとして感じられる。しかし、動くことによって痛みはシャープになる。手術を含む他の原因による痛みのように、筋筋膜トリガーポイントの関連痛は激しく耐えられない痛みであることもある。筋筋膜痛は心臓発作と同じような痛みを起こす。
Many Forms of Referred Pain(関連痛のいろいろな形)
一般的な関連痛の例は頭痛、副鼻腔の痛み、そして頚を廻せないような頚部痛である。顎の痛み、耳の痛み、喉の痛みもまた関連痛かもしれない。そのほかのものとして、激しく走ったときに、もう走れなくなるような脇腹の激痛がある。
痛む脚、痛む足、そして捻挫した足首は関連痛の一つの例だ。関節のこわばりと痛みはいつも、緊張と過負荷を強いられている近隣の筋肉内のトリガーポイントを考えるべきだ。
手指、手首、肘、肩、膝そして股関節などの痛みがたいてい、筋筋膜トリガーポイントからの関連痛にほかならない。
Why is Pain Referred?(なぜ関連痛が生じるのか?)
特定の筋肉において、関連痛の実現には関連痛パターンを再現できるトリガーポイントを単に圧迫すればよい。なぜ関連痛が生じるのかを説明するのは少し難しいものだ。
人間の神経系のメカニズムがとても想像もできないほど小さいので、関連痛の研究は難しい。
神経の小さな電気化学的インパルスはある程度、見つけて計測できるが、正確さや大きな識別という点では困難である。
それに加えて、痛みの実験には、人間にせよ動物にせよ、倫理的な限界があるため十分に行うことができない。それにもかかわらず、科学者は痛みがその原因からいかに移行するかということについてのいくつかの仮定を作った。
関連痛に関して受け入れられる最も簡単な理論は、信号が単に神経の配線に加えられるということである。いくつかの受容器からの知覚入力は脊髄レベルで、一つのニューロン(神経細胞)に収束することが知られている。そこで、入力は脳に送られる前に集積されて修正される。
これらの状況下では、1つの電気信号がもう一つに影響することは可能かもしれない。そして、信号がどこから来ているかについて、誤った印象に終わる。
The Functional Advantage of Referred Pain(関連痛の機能的長所)
外面上は、これは悪いデザインのように見える、しかし、痛みの置き換えは偶然であるにはあまりにも首尾一貫しているように思える。小さなバリエーションだけで、関連痛は誰にでも非常に予想できるパターンで起こるものだ。この予測性は、若干の機能的な利点が痛みの照会(関連痛)にあるのかもしれないことを意味する。
関連痛が関節やその近くで頻繁に起こることは注目すべきだ。その関節の部位で、痛みを感じるとあなたは、問題を生じた活動または状況を修正させようとする。
6 http://www.aafp.org/afp/20020215/653.html
トリガーポイント注射は、トリガーポイントを不活性化し、症状を迅速に改善する最も効果的な治療法の一つと思われる。
http://www.aafp.org/afp/20030101/letters.html
http://www.aafp.org/afp/20001001/1575.html
http://www.aafp.org/afp/20020115/tips/15.html
http://www.aafp.org/afp/20000315/1779.html
5 http://www.fibrohugs.com/article.php?story=20040512144842571
MPSは筋骨格系の痛みの原因としてありふれたものです。MPSの特徴として、トリガーポイントがアクティブなときは、トリガーポイントの存在する部位に痛みを発生させると同時に、特定パターンとして他の部位へ関連痛をひきおこします。
These factors can cause trigger points:
トリガーポイントを起こす要因には以下のものがあげられる:
- 筋骨格組織への急性外傷(筋肉、靭帯、腱、滑液胞)
- 椎間板の損傷
- 全身疲労(線維筋痛症はMPSを長引かせる要因であり、恐らく慢性疲労症候群は同様にトリガーポイントを発生させる可能性がある)
- 繰り返し動作、過度の運動など過度の活動による筋肉の緊張
- 全身症状(例 胆のう炎、心臓発作、盲腸炎、胃痛)
- 行動不足(例 骨折による腕つり)
- 栄養不良
- ホルモンの変化(例 PMS又は閉経期の間のトリガーポイントの進行)
- 神経の緊張又はストレス
- 身体の特定の部分の冷却(例 空調のダクトの下に座ること、空調の風を直接当て寝ること)
4-1 http://www.round-earth.com/HeadPainIntro.html
肩甲筋の緊張は頭痛の原因になったり、手根管症候群や胸郭出口症候群といわれている痛みを呈することがある。いわゆる手根管症候群の場合は半ダースはあると思われる原因のなかで、手根管をどうこうするのは最後にしなさい。手術をする前にぜひチェックを!・・・・
4-2 http://www.round-earth.com/Myo-diagnoses.html
いいえ、あなたがクレージーなのではありません。すべてがあなたの頭の中にあるのではありません。多くの症状や診断に、筋肉が関わっています。これはごく普通のことなのですが、あまり考慮されません。それでも、すべての症状を内科医とともにチェックしなさい。鑑別診断をしっかり行なうことが重要です。
Common
Diagnoses |
Possible
Muscular Origins |
Achilles
Tendonitis |
Gastrocnemius,
Soleus |
Atypical
Facial Neuralgia |
Sternocleidomastoid
(sternal division), Facial muscles
|
Arthritis,
of Hip |
Tensor
fascia lata, Vastus lateralis |
Arthritis,
of Knee |
Rectus
femoris, Vastus
medialis / lateralis |
Arthritis,
of Shoulder |
lnfraspinatus,
Deltoid |
Back
Pain, Lower |
Quadratus
lumborum, Thoracolumbar paraspinals, Gluteus (maximus / medius),
Rectus abdominis, Iliopsoas
|
Back
Pain, Upper |
Scalenes,
Levator scapulae, Rhomboids, Latissimus dorsi, Serratus
posterior superior, Thoracic paraspinals
|
Bursitis,
shoulder (Subdeltoid) |
Infraspinatus,
Deltoid, Supraspinatus, Trapezius |
Carpal
Tunnel Syndrome |
Scalenes,
Pectoralis minor, Subscapularis, Ligament of Struthers,
Pronator teres. (Nerve entrapment by actual carpal tunnel is
rare!) |
Bursitis,
hip (trochanteric) |
Gastrocnemius,
Vastus lateralis, Tensor fascia lata, Quadratus lumborum |
Duodenal
ulcer |
Rectus
abdominus |
Earache
(drum normal) |
Deep
masseter
Sternocleidomastoid
(clavicular division) |
Groin
Pain |
Adductors,
iliopsoas |
Frozen
Shoulder |
Subscapularis |
Headache
(Tension and Migraine) |
Sternocleidomastoid,
Upper trapezius, Posterior cervicals, Splenii, Temporalis.
See also Head
and Neck Pain |
Heel
Spur |
Soleus,
Quadratus plantae |
Jaw
Pain, TMJ Dysfunction |
Lateral
pterygoid, Masseter, Temporalis |
Meralgia
Paresthetica |
Tensor
fasciae latae, Sartorius |
Neuralgia,
Occipital |
Splenii,
Multifidus, Semispinalis, Suboccipitals |
Plantar
Fascitis |
Gastrocnemius,
Soleus |
Pelvic
Pain |
Coccygeus,
Levator ani |
Sciatica(坐骨神経痛) |
Posterior
gluteus minimus,(小臀筋の後部)
Piriformis(梨状筋) |
Sexual
Dysfunction |
Piriformis,
Adductors |
Stiff
Neck, Acute |
Levator
scapulae, Sternocleidomastoid,
Upper Trapezius |
Tennis
Elbow (Epicondylitis) |
Supinator,
Wrist Extensors, Triceps brachii |
Thoracic
Outlet Syndrome |
Scalenes,
Pectoralis Minor See also Head
and Neck Pain |
Tooth
Pain |
Temporalis
(upper teeth), Masseter (upper and lower molars), Digastric
(lower incisors) |
3
http://saveyourself.ca/articles/low-back-pain.php
腰痛の原因のほとんどは筋肉にある。これは、ヘルニアや腰椎すべり症といった構造的原因とみなされている多くのケースも当然含まれている。
2
http://vancouvermassage.ca/articles/mps.php
Muscle
knots cause most of the world’s aches and pains
世の中にある痛みおよび苦痛のほとんどは筋硬結が引き起こす。
- 広範囲のMPSはしばしば線維筋痛症に間違えられます。
- 耳の痛み、腹鼻腔炎、歯痛、耳鳴り、およびめまいは顎、顔、頭、および首の周りの筋肉のMPSの兆候の場合が多いです。
- 喉の痛みとか詰りは、MPSによって引き起こされることがよくあります。
- 坐骨神経痛(臀部と脚における激痛)は、ほとんどの場合、坐骨神経のいたずらではなく、梨状筋のMPSによって引き起こされます。
1
http://www.latrobe.edu.au/podiatry/myofasc/cover.html
注射による治療法は鍼のようなドライな方法と患部に食塩水又は局所麻酔薬を浸潤させるウェットな方法があります。穿刺法はMPSのもっとも確実な治療と見られ特に一般的な治療に効果が見られない20%-30%のケースに適応とされる。