医師の知らない筋筋膜性疼痛症候群 |
Muscle knots cause most of the world’s aches and pains
https://www.youtube.com/watch?v=elR2M9YwXII へのリンク
トリガーポイントについて
医療の現場において痛みの患者に対する不適切な診断が非常に多いということです。実際には、筋筋膜性疼痛症候群による疼痛の患者は非常に数多くいるにもかかわらず、筋筋膜性疼痛症候群という診断を下す医師はほとんどいません。(FILE193)筋性筋膜痛のトリガーポイント(TrP)は筋・骨格性疼痛に共通してみられる原因であり,急性外傷や慢性的な姿勢保持・反復動作などに伴う筋群への過剰負荷 などに起因する。このTrPが治癒しない場合には,末梢性・中枢性の感作機序を介した持続的な異常筋収縮が生じ,血管圧迫から局所が低酸素状態に陥ると疼痛は慢性化してしまう。(FILE199)
これらの疾患が一続きのものであることを理解することが重要である。そしてこの論文に記載されている疼痛症侯群、すなわち線維筋痛症、広範囲にわたる慢性疼痛、慢性腰痛、および慢性頸部痛はいずれも、1つの別個の疾患を表しているわけではない。それらは症状の説明にすぎない。(FILE330)筋筋膜性疼痛症候群の症状は多彩ですが、痛み以外の症状で多く見られるのは、しびれ感、知覚鈍麻、筋力低下、関節の可動域制限などです。また、トリガーポイントに基づく特殊な症状として、胸鎖乳突筋から生じる姿勢性めまいや、咬筋から起こる耳鳴りが比較的よく見られます。(FILE403)
筋・筋膜性疼痛症候群を患っている人たちはこれまでずっと辛い人生を送ってきた。医者に診せても、そもそも診察する医師の大半が慢性の筋・筋膜痛(chronic myofascial pain=CMP)の「存在を信じていない」のである。問題は、この症状に関して、科学的に 信頼できるわかりやすい原因が明らかになっていないこと、診断基準が正式に認定されていないことだった。そのせいで、医師やセラピストのトレーニングが行 なわれることもなかった。保険会社や社会保障庁の存在が患者たちの暮らしをさらに辛いものにした。しかし、今これが変わろうとしている。(FILE418)骨 格筋は全体重の40%を占めているにもかかわらず、多くの医学教育施設において、筋骨格系については最低限のことしか教えられていない。このことが、筋筋膜性疼痛に対して多くの誤った診断が行われている現状の説明になるかもしれない。理学療法士らは筋骨格系について詳しく勉強するが、筋筋膜トリガーポイント症侯群に関する問題を扱った臨床カリキュラムはほとんどない。多くの場合、臨床家は自分が臨床に従事するようになって初めてこの症侯群に出合う場合が多 い。そしてそれは、従来の診断や治療で患者の問題が解決できない場合が大半なのである。(FILE444)筋筋膜トリガーポイント症侯群(微小な損傷である可能性あり)といえる初期症状の人が治療を受けないと、将来、より重度な損傷になる素地をもつことになるのは明らかである。(FILE451)
そもそも医師の処置が正しいのかどうかを論ずる前に、多くの医療者のなかに慢性痛や筋肉に関する概念がほとんどないというのは悲しい現実である。痛みば急性痛と慢性痛とでは病変がまったく違うため、治療法もまったく別のものとなる。アセスメントやマネジメントのためには、急性痛と慢性痛の鑑別は絶対的に必要である。(FILE452)
臀筋にしこりが発生し、その痛みが腰から腿の裏側を経て、かかとの方までしぴれを出すことがあります。これを整形外科医がヘルニアによる神経障害と間違えたりするわけです。(FILE479)
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ある放射線科医よりメール(2007.10.3)
はじめまして。@立A病院放射線科**のBと申します。9月27日付けの先生ブログに登場した放射線医です。現在は、画像診断をもっぱらの仕事にしています。
私は、過去20年間、急性、慢性の腰痛を繰り返し、椎間板ヘルニアによる左下肢痛も味わった経験豊富な腰痛患者です。
やむなく仕事を休んだことも数度に及びます。幸いなことに、その間も痛みの全くない期間の方が長く、スポーツもしています。現在は、左下肢のわずかなシビレ感のみで、日常生活に支障はありません。整形外科、複数の整骨院、整体院、自己治療、自然軽快など、豊富な治療・治癒経験も持っています。腰痛症に関して、巷のハウツー物も含め、かなりの本も読みました。
そのような腰痛に関しては「うるさ型」の私にも、腰痛症というのは長らく理解に苦しむものでした。どうやら筋肉が主役だということまでは気づいていたのですが・・・。
ある日、偶然、先生のHPにたどり着き、筋筋膜性疼痛症候群(筋痛症)という概念を知りました。筋筋膜性疼痛症候群という概念は、本当に面白いですね。目から鱗が落ちるというのは、まさにこのことだと思いました。
この症候群を念頭において診療にあたったり、自分自身、家族、知人をながめたりすると、頭痛、頸部痛、胸痛、肩痛、腰痛、腹痛、下肢痛など、全身の多くの疼痛に、この病態が関連しているということが実感できます。
そして、おそらく幻暈(めまい)やうつといった疼痛以外の症状にも関係しているような気がします。もちろん私の腰痛の説明もすっきりできますし、腰痛に関する様々な論説も頭の中で整理できます。
そもそも西洋医学というのは、文章と数値と画像からなる医学雑誌を輪転機を使ってたくさん印刷し、世界中の多くの医師が知識を共有することによって発展してきたわけですよね。
ところが、筋肉のこわばり、疼痛、トリガーポイントなどは、科学の進んだ現在でも数値化したり画像化したりすることは困難ですから、筋筋膜性疼痛症候群は(おそらくは、偶然に)西洋医学から取り残されたのだと思います。
このことは、多くの疼痛を有する患者には、悲劇でした。(筋の拘縮や硬度が簡単に数値化、画像化されていれば、状況は違ったと思います。)ほんとに「筋肉も忘れないで下さいね」だと思います。
この分野を担当するには、整形内科、心療整形外科といった新しい科の創設が必要だと思います。本当は「整形」は関係ないので、「筋肉科」「筋肉内科」「心療筋肉科」でしょうか(笑)。
一方、筋肉の硬さ、こわばり、疼痛を大切にする鍼灸・マッサージ・整体・オステオパシーなどが、この隙間を埋めてきたのだと思います。(ちなみに私の通っているCの整体院Dは、オステオパシーの手技のひとつであるカウンターストレインという手法で、面白いように筋肉をゆるめ痛みを改善してくれます。)
さて、私の予想ですが、先生の日ごろのお嘆きとは裏腹に、インターネットやマスコミをとおして、比較的短期間にこの病態は、医師・患者に知れ渡ると思いますが、いかがでしょうか?
そのような状況は、整形外科分野だけではなく医学全体にとって、ある種の革命と呼んでも良いものだと思います。もちろん、革命の首謀者は先生だと思います。先生のますますのご活躍を期待しております。長文失礼いたしました。
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加茂整形外科医院
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