白山とは、最高峰の御前峰(標高2,702m)・剣ヶ峰(2,677m)・大汝峰(2,684m)の「白山三峰」を中心とした周辺の山峰の総称です。大汝峰から見て、左に剣ヶ峰、右に御前峰を臨む。


 連日の真夏日にあっては、7日以上も熱中症警戒アラートが発令されたり、コロナウイルスの150%感染拡大からは夏休みの過ごし方が大幅に制限されており、何としてでも息苦しい下界を脱出したくなりました。
 今年の夏は、北陸地方の梅雨明けが去年よりも18日、平年より9日早くなったことから連日の猛暑に見舞われ、下界が地獄状態であることは間違い無く、やはり山の冷気が恋しい頃、爽やかな白山登山に憧れました。
 山の上は、標高100m毎に0.9℃気温が下がるので、下界が35℃の場合白山頂上は14℃と寒い程の別世界です。
 この季節の白山は、夏休みの子供さん連れや遠方からの宿泊登山者が多くなります。また、土曜・日曜・祭日ピーク時の交通規制のため市ノ瀬-別当出合間がシャトルバスのみとなり、往復1,600円と値上がりしたことからも、この登山日程と山行は充分に余裕のあることが大切となります。

 お池めぐりの絶景スポットは、翠ヶ池(みどりがいけ)で岐阜県側にあり周辺で最大の池


 2021年の夏休みを快適に過ごそうと猛暑の下界を脱出!広がった絶景では心も体も生き返ります。幸いにも山での自然な挨拶は「おはようございます」「こんにちは」と元気を頂いたりします。
 このコース選択については、夏季ピーク時には、登りから急登が多いが「観光新道」コースを選択することをお奨めします。
 さらに、「観光新道」コースは、終始一面の見晴らしが良く、高山植物の種類の豊富さが魅力です。注意点は、水の補給が出来ません。トイレは3時間後に「殿ヶ池避難小屋」の一か所のみです。


 この白山登山では、頂上まで5時間の登りがキツイと思い込んでいるだけでは誰も登りません。もっと気軽に考えて、夏山に咲く高山植物の綺麗な花が次々と現れます。広々とした自然豊かな環境と真っ青な空、気温は15℃前後、湿度の少ない爽やかな風にも随分と癒される思いがして、あたかも新鮮な別世界に飛び込んだ空間が感じ取れることは間違いありません。


 この「観光新道」コースでは、前半の急登はきつくなりますが、中間点以降は尾根伝いに歩き急登は無くなります。高山植物のお花畑が広がり見晴らし良く進みます。さらに、ピンクやオレンジや紫の花が敷き詰められており、爽やかな風と共に汗も止まり疲れを癒してくれるのが不思議です。

 ニッコウキスゲ


 ミヤマキンバイ


 イブキトラノオ


 ササユリ


 ノアザミ


 ゴゼンタチバナ


 ハクサンシャクナゲ


 ミヤマシシウド


 ハクサンシャジン


 シモツケソウ


 ヨツバシオガマ


 キヌガサソウ


 尾根道をアップダウンしながら、爽やかな風に運ばれどんどん進んでいる。確かに、眼下に広がるお花畑では視線も潤い心豊かになった感じで自然と体力が増します。
 別当出合から3時間程にて「殿ヶ池避難小屋」に到着です。水汲みは無くトイレのみにて小休止する。いよいよ、これから高山植物が種類豊富で色鮮やかにお花畑が広がって行きます。


 シナノオドリギ


 タカネナデシコ


 ハクサンフウロウ


 ミヤマダイモンジソウ


 カライトソウ


 テガタチドリ


 コバイケイソウ


 シナノキンバイ


 「黒ボコ岩」から後は、広大な「弥陀ヶ原」が現れる。今年は特に冬の積雪が多かったこともあり、左斜面の大雪渓を見ながら一気に「室堂」を目指す。大岩の続く「五葉坂」の厳しい坂は、大股の登りに変わるため息も乱れながら「室堂」までの20分間は最後の我慢として突き進む!
 やがて、「室堂平」が広がり、赤い屋根の「室堂」が見えて来た。「室堂平」にはカラフルな登山着の皆さんが思い思いにくつろげる場所です。気温は15℃にて汗と相まって背筋から寒気が感じる。


 「室堂」ではコロナの感染対策を充分にマスク着用、体温計測となります。水の補給が出来ます。トイレも水洗化されキレイになりました。空の雲行きを見ながら、休憩無しでザックを背負う。
 いよいよ、室堂→登頂開始。社殿横からお花畑が広がり、クロユリの群生が見られ大満足です。クロユリだけでもカメラのシャッターは鳴り響いた。コバイケソウ、クルマユリ、イワギキョウ、イワツメクサなどが目を楽しませてくれました。


 クロユリ


 クルマユリ


 ハイマツ


 緩い石畳を40分程で登るが、徐々に足取りが重く、呼吸も乱れがちになって来た。中間点の「高天ヶ原」(たかまがはら)は、神仏の遊び場所だったと言われており、天地の境でもある。


残り15分で石を積み重ねた「御前峰」の頂上で全国の白山神社の総本山奥殿にて詣る。白山の最高峰2,702m御前峰です。


 頂上の御前峰では、雲海のかなたに、白馬・剱・立山・槍・穂高・乗鞍・御岳の山なみが一望できます。白山三山の別山は、残念ながらガスの流れにより、半分が隠れたままでした。眼下には、室堂の広い宿泊棟がくっきりと見えます。近くには、白山三峰の剣ヶ峰、大汝峰が悠然と連なります。

 御前峰(ごぜんがみね)2,702m


 頂上にてようやく昼食です。


 頂上から室堂を臨む


 お池巡りコースでは、ガレた急坂を下山する。下まで降りて振り返るとこんなに荒々しい御前峰の姿かと、活火山指定のための登山届提出が理解できる。今年は雪渓が多い中、紺青色の紺屋ヶ池、油ヶ池、最大の翠ヶ池、血ノ池、五色池、百姓池、万年雪の千蛇ヶ池があり、周囲には高高山植物のイワギキョウ、イワツメグサ、コイワカガミ、チングルマが群生しております。

 ガレた急坂の御前峰を臨む


 紺屋ヶ池


 千蛇ヶ池


 イワギキョウ


 イワツメクサ


 コイワカガミ


 チングルマ


  大汝峰は背丈程の大きな岩の連続で、手探りで岩をよじ登る。なかなか激しく奥深い登りは、あの立山の岩登りを思い出した。頂上に着くと背丈以上の石囲いがあり、その中には大汝神社が祀ってある。この頂上からは遠くに御前峰、剣ヶ峰、周りの池が一望出来るのでお勧めです。


 大汝峰頂上の大汝神社


 ミヤマダイコンソウ


 最後は、ハイマツ林を通って室堂に向かう。一部に雪渓が残り、高山植物はこれからが芽を出すでしょう。この室堂の上が巨大なお花畑が広がり、ハクサンコザクラの群生、チングルマの花と毛の群生、コイワカガミの群生に驚かされます。もちろん、最後に「石川県の花」「クロユリ」の群生は、8月中旬まで期待出来ます。「ありがとう!」と手を合わす。

 ハクサンコザクラ


 登山と言うのは、登りよりも下りの方が怪我をする確率が多く、慎重な足さばきが必要です。案の定、大汝峰の大岩では、足の長さが負けて転倒し、その後ろ弾みで後頭部を打ちました。涙が出る程に痛い思いをしたことから、現在も頭を触ると突起部が痛く感じます。
 さらには、エコーラインを下り、南竜道の途中から雨が降り出したことから、足裏が何度か滑りました。分岐点から下の「砂防新道」の長い長い下山道も滑り石に注意しながら、慎重かつ足場の岩の選択は素早い高速コンピュータの判断が必要になります。
 室堂から3時間程の下りでは、殆んど休み無しにて吊り橋に到着です。大きな怪我も無くそのまま別当出合到着で一件落着!大満足の白山完登は12時間でした!


        
2021-07-20
夏山白山登山
観光新道~御前峰~お池めぐり~大汝峰~エコーライン~12時間!