筋骨格系の痛みの診断と治療



骨格系の痛みの診断

除外するもの

悪性腫瘍、感染症、自己免疫疾患(関節リウマチ、脊椎関節炎グループ、リウマチ性多発筋痛症)、痛風系(痛風、偽痛風)、帯状疱疹後神経痛、
CRPS2

問診、触診で見当はつくが、血液検査や画像検査で上記病名が判断される。上記病名が除外されたあと、残ったものは「筋筋膜性疼痛症候群MPS」ということです。

変形性膝関節症→内側広筋などのMPS

椎間板ヘルニア→○○筋などのMPS

 医療の現場において痛みの患者に対する不適切な診断が非常に多いということ

腰痛に関して今までいわれてきた間違ったこと

わたしのつぎの講演者が、腰痛の主観的な痛みとX線やのような客観的な検査手段ととの間の断絶について、すばらしい講演をした。腰部X線やMRI検査では「これは歩くことも困難だろう」とおもわれるほどの変形がみられるが、痛みもなく、正常な運動ができる人のケース、また、痛みで動けないが検査では正常な人のケースなどを、彼はスライドを使って説明した。
(ヒーリング・バックペインより)


X線撮影が腰痛の回復を疎外

臨床決断の際にX線が不要な場合に、X線は患者に有害となることがある。こうしたことは何年も前から知られていたことだ。

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研究チーム(東大病院など)は東京都板橋区と和歌山県日高町の50歳以上の住民2000人以上を対象に関節をX線撮影するなどして調べた。変形性膝関節症と診断されたのは男性54%、女性75%。変形性腰椎症は男性は81%、女性68%に上った。このうち痛みがある人は男性の2〜3割、女性の4割にとどまった。(2006年 毎日新聞)


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最も高度な軟骨障害でも約半数の人は痛くない。

痛みの治療

痛みの治療と損傷の治療は別問題だ。損傷(骨折や肉離れ)が治癒しても痛みが続くことがある。それを慢性痛という。中枢性感作が生じた状態だ。約3か月痛みが続くと慢性痛になる。強い痛みならもっと早くなるかもしれない。

@急性痛の治療

慢性化しないように!

消炎鎮痛剤(ロキソニン、ボルタレンなど)

局所麻酔剤(注射)

損傷の程度に応じた安静

A慢性痛の治療

薬:トラムセット、トラマール、ツートラム、ワントラム

  リリカ、タリージェ

  サインバルタ

  ノイロトロピン

  アセトアミノフェン

  ノルスパンテープ

運動

心理療法(カウンセリング)

    Cotree 臨床心理師 枝澤まり子


トリガーポイント注射、鍼、マッサージ

痛みの早期遮断の重要性

痛みの治療と損傷の治療は別問題で、損傷が治癒しても痛みが残ることがある。それを慢性痛という。中枢性感作がおきたのだ。。それを防ぐには早期鎮痛が重要だ。

先取り鎮痛

痛みが記憶されることが判明して以来、術後痛など必ず生じる痛みに対しては痛みが生じてからではなく、痛み刺激が中枢神経系に入力される前から鎮痛する先取り鎮痛法が試みられるようになった。

手術による侵害刺激を中枢神経系に伝達させないためには、伝達麻酔による神経ブロックが最も有効であり、視覚、聴覚的ストレスには全身麻酔による意識の除去が最善である。

神経回路の可塑的変化(記憶)

痛覚過敏を背景とした炎症部位に生じる疼痛は、神経回路に可塑的変化を起こし記憶されてしまう。その機構における悪循環の阻止には、可及的速やかな除痛が不可欠である。

発痛機構に関与する様々な因子の中で、ブラジキニンは最も重要な因子の一つであることが明らかになった今、その働きをいかに抑えるかが今後の疼痛治療における重要な検討課題と言える。


圧痛点ブロック

治療と検査を兼ねているともいえます。習慣性はありません。再発をくりかえす場合は、交感神経を再びあるいは慢性的に緊張させている原因はどこにあるかに目を向けるべきです。そして心 (中枢)からのアプローチの治療を試みてみるべきでしょう。

痛みは構造異常が原因なのでしょうか?構造診断だけにたよると落とし穴があります。なんとなく始まった痛み、ちょっとしたことで始まった痛みが続くことがあります。それは痛みの情報が脳や脊髄で記憶されるからなのです。また、痛みの場所が移動することも多いものです。簡単な治療で痛みが消えてしまうこともあるのですよ。考え方を変えてみては。

局所麻酔剤について

このブロックに使用する局所麻酔薬は、歯医者さんなどで使われるものとほぼ同じ局部麻酔薬です。麻薬の一種などではありませんから、子どもでも高齢者でも、妊婦でも安心して受けることができます。また、何度繰り返しても害にならず、外来通院で受けられる治療法です。

「断痛療法」 関東逓信病院ペインクリニック科部長   医学博士 塩谷正弘 著

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繰り返しますが、この治療法には副作用がありません。100回、200回、あるいは仮に1000回やったとしても、体に不利なことは何一ひとつ生じません。血液、尿、肝臓、腎臓などの機能をみてみても具合のわるいことは全く起こってきません。

 「星状神経節ブロック療法」   元 慈恵医大麻酔科教授  若杉文吉 

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カルボカイン、キシロカインでは、アレルギー反応は少なくMooreらによると,9,287例中8例に起こった中毒反応は全て血管内投与による急速な血中濃度の上昇が原因で、アレルギー反応は1例もなかったと報告している。またカルボカインのバイアル瓶中に添加物として入っているパラオキシ安息香酸メチルは、注入されても神経組織に形態変化はなく病理変化もみられないと言われている。著者は20年間にカルボカイン、キシロカインによるアレルギー反応を経験していない。また局麻薬を長期間連用しても、異常所見は認められないが念のため3ヶ月に1度位、血液一般、肝、腎機能検査を行うことが望ましいと森川は報告している。

 高山整形外科病院院長 高山 瑩


心身相関

医者が心身医学的素養を身につけ、真に患者のためになる全人的医療の実践に努めるなら、今日のような医療不信は起こらないはず。本冊子はそのことを教えてくれる。心身相関に基づく病態は消化器だけでなく臨床のすべての分野にみられるので、ひろく医療従事者に読んでいただきたい。きっと参考になるだろう。

(旭川医大名誉教授並木正義)   ストレスと消化器疾患  消化器心身医学研究会 編

慢性の痛み、習慣化した痛み、ストレスが大きく関与した痛みに対して抗うつ薬や抗不安薬が効果があることがあります。

痛みのAffirmation

加茂整形外科医院