背景と方法
床上安静は坐骨神経痛において広く支持されているが、その有効性については確立されていない。
2週間の床上安静の治療が適切であると判断できる程度の重症度の腰仙神経根症候群の患者における床上安静の有効性を検討するために、183
例の被験者を床上安静またはその期間の経過観察のいずれかに無作為に割り付けた。治療転帰を評価する主尺度は、2 週後および
12週後の改善に対する医師および患者の総合評価であった。
治療転帰の副次的評価尺度は、機能状態と疼痛スコアの変化(2週後、3週後および
12週後)と、長期欠勤、および外科的処置の必要性であった。これらの治療転帰を評価した医師にもデータ入力および解析に関わった研究者にも、患者の治療割付けについては何も知らされていなかった。
結 果
2週後に改善を報告した患者は、床上安静群では患者
92 例のうち
64例(70%)であったのに対し、対照(経過観察)群では患者
91 例のうち 59
例(65%)であった(床上安静群の改善の補正オッズ比、1.2;95%信頼区間、0.6〜
2.3)。12週後に改善を報告した患者は、両群とも患者の
87%であった。疼痛の強度、症状の煩わしさ、および機能状態を考慮した結果からは、2
群間に有意な差がないことが明らかにされた。長期欠勤の程度と外科的処置の割合も2群間で同程度であった。
結 論
腰仙神経根症候群の症状および徴候を有する患者に対しては、床上安静が経過観察よりも有効な治療法であるとはいえない。
(N Engl J Med 1999; 340 : 418 - 23 : Original Article)
(参考)
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_82.htm