< 当 日 編 >
特急「はくたか」では世間話に花が咲いた。
私が手にしていた書類を、Yさんが見つけて言った。
「さっきから気になってるんですが、それに僕の名前が見えるんですけど。」
しめた!喰い付いた!私は待ってましたとシナリオを配った。
おばさん7人vs旅行社の社員という立場の30代の男性
当然最初から勝負はついている。逃げられないのだと
みんなで悟らせた。一通り読み合わせをする。
ホテルに着くと、一部屋に全員集合し、
小道具を出して、動作も付けてやってみる。
みんなで、あ−だこーだと細かい調整をする。
黒いビニールの髭を付けないかとYさんに聞くと
「この際何でもやりますよ。どうせ妻も子も見てないんだし。」
と半ばヤケクソの返事が返ってきた。
あとは交流会で頃合いを見計らって
理事長を巻き込むための話をつけた。