腰椎になんらかの手術を受けた患者の10~40%はfailed back surgery syndromeになる。ということは、同症候群は増える恐れがある。多くの場合、手術前の段階で腰痛の成因が誤診きれている。さらに、手術を受けても症状がよくならない場合、診断ミスによる問題が持続するばかりか、術後管理の問題点も浮上してくる」と述べた。(FILE7)
腰椎術後の5%~50%にFBSSが発生する。Rish
らは文献上15,000人の椎間板手術患者の成績を分析して20%に症状の持続を認めている。米国では年間37,500名のFBSS患者が新たに生まれて
いる。FBSSの治療には複数回の手術が行われることが多い。Waddellらによれば,2回目の手術では40~50%が改善し,20%は悪化する。3回
目の手術では20~30%に有効であるが25%は悪化する。また4回目の手術で改善するのは10~20%にとどまり,45%が術後悪化をみる。手術療法以
外にも硬膜外ブロック,脊髄電気刺激療法,神経根切断術などが試みられているが効果は芳しくない。(FILE70)
腰仙椎手術後の患者の10~40%で、慢性痛あるいは再発痛を生じる。こ
れは、failed back surgery syndrome
(FBSS)であり、様々な疼痛管理(内科的、外科的、リハビリテーション、行動療法)が行われている。(FILE306)
直
接的な医療費には、非ステロイド性消炎鎮痛薬による消化管合併症や様々な形のfailed back surgery
syndromeなどの、腰痛治療によって発生した合併症と副作用を治療するための多額の費用も含まれるだろう。(FILE255)
何
度も腰椎手術を繰り返した結果起こるfailed back
syndromeが最も多く原因疾患の半数以上を占めている。腰痛の診療には、急性期の治療法の選択、慢性化を予防する手段、臨床的検査結果(画像など)
と疼痛の訴えの不一致、術後に著明な医療サイドヘの不信感などの困難な問題があり、さらに心理・社会的因子による疼痛の増強が、上述の原因疾患とともに腰
痛の難治化に関係している。(FILE145)
手術は一部の患者にはいくらかの改善をもたらすが、“半数近くは改善を得られないだろう”。
そして手術によって改善しない人々は、改善の見込みが不確かな、“failed back surgery
syndrome”という厄介なカテゴリーに入る可能性が高いことに博士は言及している。(FILE215)
慢性腰痛に対する多くの治療と同様、固定術でもかなりの割合で無効例があるという事実を隠すことはできない。脊椎治療に携わる医師も完全には理解していない理由により、固定術の結果にも予測不能な部分がある。Orthopedics Todayの最新号に掲載された、失敗した脊椎手術に関する興味深いフォーラムでも、Groopman博士の記事と同じ問題に触れている。(FILE117)
心
理・社全的要因が錯綜した慢性疼痛患者は、医療の治療対象から排除される傾向がある。これらの対象者にリハビリテーションチームが治療契約を結んで、その
枠組みの中で心理的な「拘えの環境」を作る3ヵ月プログラムを実施した。認知行動療法にカウンセリングを併用して、自己の内的世界への直面化を促しつつア
イデンティティの確立と生活の再構築を図る。(FILE230)
高齢者に多い腰部脊柱管狭窄は診断基準すらできていません。ですから、病院によって手術するしないについて見解の相違があり、整形外科医の間でも十分なコンセンサスが得られていません。外科医から手術を勧められた患者さんへの対応ですが、手術は考える必要はないだろうとお話してください。(FILE446)
“手術による合併症の発生率が高いこと、
さらには社会が負担する費用および手術後のfailed back surgery
syndromeの患者の苦痛を考えて、我々は、注意深く選択された重症の疼痛患者のみをこの術式の対象として検討することを強く推奨した”(FILE449)