症例2  ヘルニアで6日間入院

Aさん(40歳代、女性)は薬剤師です。

約4年前、動けないほどの腰痛あり。某医で注射を受けしばらくで治癒。

10日頃から、特に誘因なく左臀部から大腿部にかけて痛くなる。12日、某病院でMRIの検査をうけ腰椎椎間板ヘルニアを指摘される。13日、硬膜外ブロックをうける。当日はさらに痛みが増強する。2回目のブロック後、痛みは少し軽減したかなという程度であった。鎮痛剤を使用する。痛みは次第に治まってきたが、足裏のしびれ(11日より)は続いている。翌月4日、トイレの掃除や洗濯したが、左下肢痛が激しくなり、動けない状態となる。知人の紹介で往診する。圧痛点は図1で、右下にして左膝を曲げた状態。

5日、入院。  これを読んでもらいその痛みがヘルニアのせいではない可能性を理解する。読書療法:入院中に2冊の本を読む。「サーノ博士のヒーリング・バックペイン」 「腰痛は怒りである」

トリガーポイントブロック2回施行。低出力レーザー照射。抗不安薬(疼痛補助剤)投与。 10日、足裏のしびれ続いている。夜間、下肢痛あるも日中はほぼ痛みなくなる。(図2)退院する。

1ヶ月後、全く痛みのない時もある。(図3)2ヵ月後、痛みはない。足裏のしびれは変わらない。とくに治療はせずに日常の生活を送っている。

初診時6日後1ヵ月後


コメント

特に誘因なく、ヘルニア塊が神経根を刺激して急に激痛がくるとは考えにくい。圧痛部位に急激に発痛物質がでたと考えた方が合理的である。神経根に対する硬膜外ブロックよりも圧痛点に対するトリガーポイントブロックが効いた理由はそこにある。  

ヘルニア塊が神経を圧迫しているのだと仮定すれば、神経はいずれ不可逆的変性に陥る運命にあると考えるべきで、医師は早急に取り除くように説得すべきだが??  

歴史上でも、麻痺に陥った話は聞いたことがない。何よりも、このような治療で痛みが取れてしまうことは、この症例に限らずヘルニアが痛みの原因とは思えない。

加茂整形外科医院