症例1 3月になると腰痛、下肢痛
Aさん(40歳代、男性)は税関係の仕事をしています。
高校生のころより時々腰痛あり。今回は、本年3月上旬より、腰が何かおかしいなと感じはじめる。3月末に急に腰痛が激しくなり、日常動作極めて困難となる。4月8日より左下腿のしびれ感出現。明け方、下肢痛で目が覚めるようになる。下を向いていないと左下肢がつっぱるので歩きにくい。昨年の同時期に1ヶ月間同様の症状で当院に8回通院している。以降は全く症状なし。
初診時:疼痛性側彎 下肢挙上テスト30度
下肢筋力正常 腱反射正常
圧痛点(赤点)しびれ感(ピンク ).レントゲンは年齢相応の変化がみられる
治療: 低出力レーザー照射 トリガーポイント注射
消炎鎮痛剤
2日目:下肢挙上テスト60度昨日はぐっすり眠れた 。痛みはほぼ半減した。
疼痛性側彎減少。大腿部の圧痛点は消失する。左下肢を伸ばしているのはつらい。
3日目:さらに痛みは改善する。 朝方また強い痛みがくるのではないかと不安。時間がたつと伸ばせる。疼痛性側彎気にならない程度。下肢挙上テスト90度。圧痛点は腰1臀部1下腿2となる。しびれはあるが範囲は狭くなったとのこと。
7日目:下肢の痛み、しびれは取れ、軽度の腰痛のみとなる。
コメント
昨年今年と3月に同様の症状がおきている。職業的ストレスが発症の引き金となっていると思われる。腰痛および、いわゆる坐骨神経痛といわれている下肢痛は特に力学的誘因なく発症することのほうが多いようである。
MRIがないのでヘルニアの有無は分からないが、治療には関係しない。ヘルニアがあっても特殊な治療が必要とは思わない。(無症状の人でも約半数にヘルニアがみられる)
疼痛性側彎、下肢挙上テストはヘルニアによる坐骨神経根刺激症状といわれているが、このような治療で簡単に改善することから、筋痛が大いに関係していると思われる。
今後このような痛みに襲われないためには、腹筋や背筋をきたえるといった従来の考え方よりもストレスが筋骨格系の痛みを引き起こすというパターンをいかに解消するかということにかかっている。
早期に消炎鎮痛剤を使用したり、トリガーポイントブロックをすることによって痛みを頓挫させてしまうのも重要。
以前はこのような症例に対して硬膜外ブロック(仙骨ブロック)を行ったが、効果は必ずしも満足のいくものではなかった。それは神経根に痛みの責任があるとは限らないということである。圧痛点に焦点を絞った治療のほうが効果があるということは、圧痛点が痛みの発信場所だった可能性がある。
(赤字の部分を参照)
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