The BACKLETTER


No.1-1

椎間板性腰痛の自然経過-手術なしでの患者の回復は可能か?-

外科医の研究グループが驚くべき成果、つまり手術適応と思われる慢性の椎間板性腰痛の患者が、非手術的治療を続けると長期的には手術療法より経過が良好であろうと報告したのである。
No.1-2 急性腰痛に関する米国医療政策研究局ガイドラインは、薬物療法、脊椎マニピュレーション(Manipulation)、運動療法を推奨する ガイドラインのもっとも重要な点は、自然に良くなるのを待つ間、患者が自分自身の苦痛を和らげるために何ができ、また反対に何をしてはいけないかということにあります。
No.2-1

腰痛の患者は治療を避けるべきか?

「急性の腰痛患者が痛みの限度内で日常活動を続けることは、臥床や腰の運動を行うことよりも、より速やかな回復をもたらします」とフィンランド職業保健研究所のAntti Malmivaara医学博士は語る。
No.2-2 坐骨神経痛の一般的治療方法の不確実な将来 オーストラリアでは、すでに硬膜外ステロイドの使用制限が提案されたとBogduk博士は指摘している。オーストラリアの国立医療研究審議会は、最近、それらの有効性を示す証拠がないとの結論を出し、さらにこの治療法には明確な科学的根拠が欠けていることさえも指摘した。この政府機関は、経験を積んだ医師のみに硬膜外注射を行うことを許可し、さらに臨床医は患者から十分なインフォームド・コンセントを得るよう勧告している。
No.2-3

一生涯運動を続けると脊椎には害があるか? 

スキャンの画像からは、椎間板ヘルニアを除去することや脊椎固定術を行うことを考えるでしょう。しかし一般的に、これらの競技者は苦痛を訴えません。
No.3-1 脊柱管狭窄症の画像:画像所見は症状とほとんど関連性がない 脊柱管狭窄症は1990年代になって診断が増加した疾患である。これは脊柱管狭窄症が以前より増加したということではなく、単に高性能の画像診断が広く使用されるようになり、多くの患者で狭窄がみつかるようになったからである。
No.3-2

椎間関節症状の診断に画像診断は無カ

ある新たな研究により、椎間関節異常の診断に画像診断の欠陥が露呈することとなった。オーストラリアのNew Castle大学のAnthony Schwarzer医師らは、63例の慢性腰痛患者で症状に関与していると推定される椎間関節について研究を行った結果、CTでは痛みのある関節と無症状の関節とを区別できないことが明らかになった。変形性関節症の有無は、これら被験者の椎間関節から生じたと思われる痛みの有無とは相関しなかった。
No.3-3

腰痛は背部の損傷が原因であると考え過ざている:

「われわれが腰痛を損傷という定義から脱する時ではないでしょうか」と、この論文に関する討論でスウェーデンGothenburg大学のAlf Nachemson医学博士は問いかけた。彼は腰痛が損傷に起因するという考え方のために、多くの患者が腰痛のために日常生活を制限されるという事態を広く引き起こしていると述べた。
No.4-1 有痛性椎間板障害と無痛性の異常を見分ける方法は? 壮年者の約1/3に腰椎に無痛性椎間板ヘルニアの存在がはっきりと証明された。画像所見で椎間板ヘルニアが認められただけでは、治療や用心が必要とはもはやいえないのである。
No.4-2 レーザーによる椎間板手術がExcellentまたはGoodであったのは、患者のわずか31%に過ぎないという研究が発表される 非脱出性の椎間板ヘルニア患者を対象とした最新の研究において、レーザー椎間板手術(laser discectomy)は化学的髄核融解術と同等の効果をあげられなかった。レーザー椎間板手術を受けた患者のうち、excellentまたはgoodであったのはわずか31%であったのに対し、化学的髄核融解術群では53%であった。
No.4-3

恐怖心が鍵か?労働者の腰痛恐怖への呼びかけが生んだ、英国の研究の驚くべき結果

今回の研究から、腰の異常や腰痛に関する様々な思い込みを、職場での簡単な精神社会学的パンフレットの利用で、前向きな方向へ変化させ得ることが明らかになりました。
No.4-4 脊柱管狭窄症の回復は面像診断上の変化と相関するか? 画像診断による脊柱管狭窄の所見が、疼痛や不自由度とほとんど相関しないことがしばしばある。画像では軽微な狭窄変化であっても激しい症状を有する患者がいる。その一方で、脊椎の神経経路が事実上消失しているのに、何も症状の現れない人もいる。
No.5-1 ジョージア州の最新研究は、椎間板に起因する腰痛の診断と治療の不確実性を強調する 椎間板に起因する腰痛のために脊椎後側方固定術を受けた患者のうち、結果がgoodまたはexcellentであった者はわずか39%であった、という新しい研究が報告された。とくに労災補償患者の成績はひどく、90%がfairまたはpoorという惨状であった。
No.5-2 誰か、もっと腰痛の理論を 確証のない理論を背景にした治療法は、その治療法を確証のないものにしてしまうとDeyo博士は指摘した。「例えば、椎間板変性に関係した脊椎の不安定性が腰痛の主な原因であるとするなら、脊椎を固定しなければならないという答えが導かれます」と述べた。「腰痛のほとんどが職場で繰り返される損傷が原因であるとするなら、正しい攻略法は、業務内容を人間工学に基づいて変更することかもしれません。腰痛が精神的なもので生じると考えるなら、正しい治療はバイオフィードバックや行動認知療法であるかもしれません」。
No.6-1 脊柱管狭窄症手術の長期成績に関する厳しい調査緒果。これが本当に一般的なのか? 脊柱管狭窄のために除圧手術を受けた患者を7〜10年後に追跡調査したところ、1/4の患者が再手術を受け、1/3が重度の腰痛を訴え、半数以上が2ブロック程度の距離も歩けないことが明らかになった。
No.6-2 硬膜外ステロイド注射の有効性はまだ証明されていない オランダの最新の研究によれば、「硬膜外ステロイド注射の効果は、あるとしても短期間しか持続しない」という。Bart Koes博士らは、硬膜外ステロイド注射に関する全ての無作為抽出試験を再検討し、広く用いられている方法論的評価法を用いて評価した。その結果、硬膜外ステロイド注射が有効であるとする決定的な科学的証拠はほとんどみつからなかった。
No.6-3 脊柱管狭窄症に対する積極的保存療法 Saal博士は、「腰部脊柱管狭窄症はつねに増強する進行性の解剖学的変形であるにもかかわらず、症状の出現は短期間だけに限られていると思われます。手術の適応とみられる患者の中にも、十分な保存療法を行えば手術を行う必要のない者もいるでしょう」と語った。
No.6-4 急性腰痛の予後は臨床医の多くが信じるほどバラ色ではない 不幸なことに、患者は腰痛の経過について正しくない予後を聞くと、様々なマイナスの影響を及ぼす。1週間で回復すると期待していたのに、6週間後も症状があると、患者は不必要な手術や費用のかかる他の治療法へ追い込まれてしまう。同様に患者の気分や、通常の活動や仕事を再開する意欲にも影響を与える。
No.7-1 無痛性胸部椎間板ヘルニア 以前の研究で、Wood医師らは無痛性椎間板ヘルニアが極めて一般的な所見であることを明らかにしている。平均年齢40歳の無症状の被験者60人のうち、37%に明らかな椎間板ヘルニア、53%に椎間板膨隆、58%に線維輸断裂を認めた。同様に症状を伴わない脊髄の変形も29%と驚くほど多くの被験者に認められた。
No.7-2 仙腸関節の機能障害:腰痛の重要な原因なのか、流行遅れの概念か? 最新研究によれぱ、23例の腰痛患者に対する仙腸関節固定術の成績は惨憺たるものであった。仙腸関節固定術は、75年前までは腰痛に対する一般的な手術法であり、その後ほとんど見捨てられていたものであるが、本研究を始めとする最近の研究により、再び議論の対象となっている。
No.7-3 コストに厳しいマネージドケアの世界で、運動療法は腰痛の治療法として生き残れるのか? 公正を期すために申し上げると、医学的治療の中で科学的裏付けのあるものは20%程度に過ぎない。脊椎治療における主な治療法の多くは、それを裏付ける無作為試験が1つもない。
No.7-4 天候と疼痛の謎 患者が、苦痛に感じる事柄に安心でき、予測できるパターンを見つけたがっていることは間違いない。腰痛や関節炎をもつ患者が、悩まされたり、予測できない症状に対して、何らかの説明をつけたいと願うのは当然であろう。
No.8-1 腰痛の原因は何か? 「わかりません」と強い調子で答えたのは、脊椎研究の先駆者であるスウェーデンのGothenburg大学のAlf Nachemson医師であった。「私はこの分野の研究を始めて50年になりますが、全くわかりません」。
No.8-2 最新の文献レビューによれぱ、人間工学的な介入が職業性腰痛を防ぐという証拠はないと報告 科学的証拠は・職業性の腰部損傷の補償請求や腰部の愁訴を防ぐための人間工学的な手法を支持するものではない。
No.8-3 狭窄手術の頻度が急増 65歳以上の患者における脊柱管狭窄症の手術件数は、1979〜1992年にかけて8倍に増加しており、米国内では約5倍の地域較差が生じました。
No.9-1 坐骨神経痛や脊柱管狭窄症に対する外科的治療は保存療法より有効か? 手術を受けた患者のうち約20%は全く改善がみられなかった。Atlas医師らによると、「ほとんどの患者は短期間で有意な改善が得られますが、改善しない患者もいます。さらに患者の中には初期に症状が軽快しても、時間が経つと再発する場合もあることを、手術を考えている患者に知らせなければなりません」。著明な改善は非常に早い時期にみられる。「手術の効果が最も大きかったのは3ヵ月後の時点でした」と彼らは述べている。
No.9-2

脊椎の再手術が成功する確率は?手術に賭けてみる価値があるのはどんな場合か?

患者は再手術の否定的な面をめったに想像しないものである。しかしながら、いつでもかなりの確率で2回目の手術で疼痛や活動の不自由度が実際にひどくなってしまうことがある。
No.10-1 心配無用!腰痛に対する患者の意識変革が、治療成功の鍵かもしれない 患者の予後は治療者から受け取るメツセージ次第といってよいだろう。「もし彼らに、『あなたは正常に活動できるようになりますよ』といえぱ、本当にそうなるでしょうし、『正常に活動できるようにはなりません』といえば、そのようになるでしょう」とRainville医師はいう。
No.11-1 椎間板ヘルニアに有痛性と無痛性があるのは? 大きさも形も同じ腰椎の椎間板ヘルニアがあるのに、坐骨神経痛に苦しむ人と、疼痛もなく生涯元気に歩き回れる人がいるのはなぜだろうか。これは、脊椎分野の大きな謎の一つであり、臨床にかなり影響する問題でもある。Sam Wiesel医師は「これは脊椎治療における、認識不足の問題の一つです」と言う。
No.11-2 眼鏡をかけても見えにくい:X線所見と非特異的腰痛の因果関係 脊椎のX線像の陰影についてあれこれ考えるのは、暇つぶしにはなる。しかし、非特異的腰痛患者にとって、そうしたX線所見はほとんど意味がない。
No.11-3 慢性頸部根性痛治療に関する初の無作為研究 長期にわたる頸部根性痛の治療に関する無作為研究が初めて行われた結果、手術には保存療法を上回る効果はほとんどないと分かった。
No.11-4 椎間板起因の腰痛に対する椎間固定術の不確実性 椎間板起因の腰痛の治療において、椎間固定術は予測可能な治療結果をもたらすだろうか。最近サンフランシスコで開催された米国整形外科学会年次総会で、ScottBoden医師は「それはまだ無理でしょう」と指摘した。
No.12-1 予防プログラムは失敗 腰痛教室の根拠である人間工学的アプローチにも見切りをつけるべき時がきたと述べている(Hadler,1997年を参照のこと)。「この方法は50年以上にわたり追求されてきたが、腰痛に関してはすべて失敗に終わっています
No.12-2 腰痛および脊椎関連の就労障害に対する予防を目的とした人間工学的プログラムは完全失敗か? 生体力学的因子では持続性の腰痛および脊椎関連の就労障害の原因は説明できないだろうと述べている。博士の主張によれば、「腰痛の再発と就労障害が一般的には機械的なストレス因子と関連しないことを示した証拠がますます増えつつある。むしろ、快適度の認識や対処能力を含めた、精神社会学的現象によって媒介されているように思われる。
No.13-1 増大する「線維筋痛症」の危機:この症候群は、高くついた医学的大失敗か? 医療機関を受診して線維筋痛症と『診断』されることによって、病気の身体化に拍車がかかり、患者は一層具合が悪くなってしまう」という彼の主張には説得力がある。
No.13-2 腰痛に対する一番有効な保存療法は何か?2研究によれば皆同じ マニピュレーションによりささやかな短期の疼痛緩和が認められたが、活動レベルに関しては1ドルの教育パンフレットより大きな影響は認められなかったのである。
No.14-1 むち打ち症:活動の早期再開がカギ? ほとんどの患者が良好な回復を示したとはいえ、本研究は、むち打ち関連損傷の暗い側面も強調している。被験者の約20%には慢性症状が発現していた。「両群とも、約20%の患者は、事故後14日目よりも、事故後6ヵ月目の方が症状が悪化したと感じると報告した」と報告された。
No.14-2 脊椎すべり症と脊椎分離症に対する腰椎安定化訓練についての初の無作為研究、結果は有効か? 慢性の脊椎分離症または脊椎すべり症の患者44例を対象に腰椎安定化訓練の効果を検討した。その結果、10週間の安定化訓練プログラムにより、疼痛および機能障害の統計学的に有意な軽減が得られ、30ヵ月後の追跡調査時にも効果は持続していた。
No.15-1 MRIからは、将来の腰痛を予測できないー患者50例での最新研究より しかしながら、脊椎専門医のこのような推測は患者に悪影響を及ぼしている。このような予測は、科学的な根拠はなく正確とは言えない。
No.15-2 慢性頸部痛の治療:治療法は何通りもあるのだろうか? つまり、運動療法、理学療法、およびカイロプラクティックは、どれも慢性頸部痛を改善できることを示しているのです。問題は、その療法が(自然経過を)観察するだけの場合よりも効果的なのかという点です。
No.16-1 無作為研究でレーザー椎間板手術の成績ふるわず この研究は、レーザー椎間板除圧術の成績がふるわなかったため、対象患者が34例になったところで中止されている。
No.16-2

画像所見の新しい報告様式を二人の研究者が提案現在の報告書は患者に無用の心配をさせている

X線所見の報告書(現在の書き方)にはしばしば、患者をわざわざ不安にさせるような情報が記載されていることがある。
No.18-1

画像所見の新しい報告様式を二人の研究者が提案現在の報告書は患者に無用の心配をさせている

症状のない被験者におけるMRIの異常を調べた本研究を初めとするすべての研究から分かったことは、『MRI所見の何か一つの特徴が、すなわちその椎間板が痛みを惹起していることを示しているという確証は、今のところ存在しない』ということであろう。
No.18-2 むち打ち症の治療 そして、「疼痛は何ヵ月(23〜94ヵ月)も続いていたわけで、これらの患者に本当にむち打ちによる障害があったと言えるのでしょうか。単なる慢性疼痛患者ではなかったのでしょうか。椎間関節の関与を主張する議論に同調する前に、もう一度、それほど慢性化していない、例えば衝突後約3ヵ月の患者におけるむち打ち後の頸部痛に、椎間関節が関与しているかどうかを検討すべきではないでしょうか」と付け加えた。
No.19-1

主要な治療法が効果なしと判明 〜坐骨神経痛の治療についての面期的な無作為研究〜

坐骨神経痛の治療は、まずベッドで安静にさせることであるーと今世紀を通して言われてきた。医師が症状のある椎間板ヘルニア患者を数日から数週間、時には数ヵ月間もベッドで安静にさせてきたのは、回復が早まるという前提に基づいており、今日もそれは変わっていない。しかし、厳密に計画された新しい無作為研究によれば、坐骨神経痛に対するこの治療法は誤っているようである。
No.19-2 むち打ち関連損傷の予後に影響するのは、どの症状や徴候か? ケベックで行われた最新研究によれば、むち打ち関連障害における予後予測因子としては、年齢・性別にくわえて、5つの身体症状や徴候が重要なようだ。
No.19-3 大きな椎間板ヘルニアを手術以外の方法で治療するのは安全か? 大きな椎間板ヘルニアが存在すれば椎間板手術の適応と判断してよいのであろうか?南カリフォルニアの研究者らによれば、答えは『No』である。
No.20-1 熟練医師のコンセンサスで、科学的根拠の穴を埋められるか? 腰痛に対する手術の詳しい適応についての一般的なコンセンサスは得られていません。手術を勧める意見の科学的根拠は弱いものです」と指摘している。
No.20-2 教育パンフレットで恐怖心に打ち勝ち、活動障害を軽減できるか? 理学療法士のKim Burton博士らによる新しい研究によると、プライマリーケアの場で教育パンフレットを配布すれば、腰痛に対する患者の考え方を変えることができ、さらに腰痛直後におけるfear-avoidance beliefs(訳者注:腰痛に対する過度の恐れ)が強い患者でも回復を促進できるとしている。
No.20-3

馬尾症候群に関する研究についてのメタ解析早期手術で治療結果良好

馬尾症候群は椎間板ヘルニア後の緊急手術として唯一適応が認められている。馬尾症候群は重篤な神経疾患で、疼痛と失禁が生涯にわたって残ることがある。
No.20-4 運動と腰痛 当面は、腰痛は青少年に比較的よく見られるがスポーツや運動との明確な関係はないようだ、というのがこの研究から確実にいえるということになる。
No.20-5 最新研究:対話式ビデオプログラムで手術の実施率とコストが低下 椎間板ヘルニアではビデオを見た患者はパンフレットを読んだ患者よりも手術の実施率が31%低かったのです。さらに手術の実施率が低かったにもかかわらず、ビデオ群の治療成績は、パンフレット群とまったく同じでした
No.21-1 固定ケージヘの批判 我々は、固定ケージの結果に失望しました。
No.21-2 腰痛による欠勤日数は1億5,000万日しかし疼痛は仕事が原因か? 60年間,我々は“腰部損傷”という概念とともに生きてきました。それはあまりにも欠陥が多く,もはや正当化することはできません。その上,医原性なのです。我々にこれ以上の研究は必要なく,この概念はもはや有用性を失っています」。
No.21-3 人間工学についての激しい諭争 しかし、前述のように、職場が筋・骨格系障害発生の中心的原因になっているという決定的証拠は現在ほとんどない。
No.21-4 提案されている人間工学的基準は、臨床医を厄介な立場に追い込む 「私は、患者さん達が15回の不必要な手術をまたは16回もしくは17回目を受けなくてすむよう、十分な同情心をもっていると考えたいのです」と述べた。
No.22-1 脊椎治療の仮定に疑問を投じた、メーン州の研究 治療成績は脊椎手術実施率の最も低い地域において最も良好であった。
No.22-2 手術候補患者の心理学的苦痛を評価することの重要性 高レベルの医学的および心理学的リスクファクターを有する患者は,回復の見込みがあまりないことがPPSから示された。「術後結果が悪いと予測された患者で、脊椎手術で中程度もしくは良好な結果が得られた患者はわずか17%でした」と、Block博士らは述べた。
No.23-1.1 腰痛治療における新傾向:腰痛治療に関するコンセンサスの確立 この種のコンセンサスは5年前には存在しておらず、これは、研究および医療方針の進歩への大きな一歩を反映したものであり、それは同時に、科学的証拠が蓄積されつつあることをも反映している。
No.23-1.2 腰痛治療における新傾向:腰痛に関する見解の変化 腰痛に関する医学的見解は変化しつつある。プライマリーケアでみられる腰痛は、かつて考えられていたような自已限定性(self-limited)の急性疾患ではない。むしろ、生涯にわたり断続的に発生する再発性もしくは慢性の症状であることの方が多い。腰痛の再発率を考えてみると、急性、亜急性および慢性の腰痛の区別がますますつけにくくなっている。
No.23-1.3 腰痛治療における新傾向:腰痛に対する伝統的な医学的アプローチを断念すべきか? 過去百年間の腰痛にまつわる話題のほとんどは、実のところ整形外科的な理解および治療の話です。解剖的損傷を探すこと、そしてそれを治す方法を見つけようとしてきました。これは、非常に機械的な(mechanical)治療方法であり、多くの問題点を無視しています。そして実際のところ、この方法は効果がありませんでした。
No.23-1.4 腰痛治療における新傾向:生物心理・社会的アプローチ:「生物学的因子」が軽視されようとしている? 腰痛の発生源のほとんどは、肉眼的な解剖学的破綻ではなく、むしろ神経筋機能および神経生理学に関する機能障害なのかもしれません。
No.23-2 人間工学に関するOSHAの提案:職場における腰痛に対する未検証の処方箋 椎間板変性、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄および脊椎骨の骨棘症(osteophytosis)のような構造上の異常はいずれも、腰痛症状のあるなしにかかわらず、一般集団においてよくみられる。
No.23-3 仕事に関連した筋・骨格系障害の定義:腰痛に間違ったレッテルを貼る許可証か? MSD(筋骨格系障害)の例として、腰痛、坐骨神経痛、手根管症候群、回旋腱板症候群、足根管症候群、外上穎炎および腱炎のような、とても特異的とはいえない各種の状態を引用している。
No.24-1 一面的な見方の個人攻撃、中傷によって、むちうち損傷を巡る諭争が妨害されている 頸部痛、身体的機能、抑うつからの回復率を調べて、相関性が非常に大きいことを確認しました。
No.24-2 むちうち症についての研究が神経を逆なで:医学文献およびメディアにおける反応 この論文の著者は、弁護士を排除しているのではなく、司法システムを排除しているのです。保険会社は裁判官になり、陪審員になり、死刑執行人になり、医師にもなってしまうのです。
No.24-3 急性むちうち損傷には早期McKenzie療法が有効か? むちうち治療の研究では、長期間の経過観察を行うことが将来において有用であろう。むちうち関連損傷のコスト負担の大部分は、長期難治性の症状や障害を有するごく少数の患者から生じている。この群に好ましい影響を与えることこそ、あらゆる治療法の大きな目標であろう。
No.25-1 神経根注射 しかしながら、選択的神経根注射に関する科学的エビデンスは乏しい。 
No.26-1 診断上の分類の影響:エビデンスはどこにあるのか? しかしBurton博士は、腰痛に関するあらゆる前向きな助言は、メディア、家族、一般の文化および医学界の権威から発せられる、より悲観的な情報という不協和音と競合しなければならないと指摘している。腰痛に対する態度の根本的な改革がなされるまでには、長い過程を要することとなるだろう。
No.26-2 腰痛の診断上の分類:希望的推論を真実としていないか? 診断上の分類そのものが障害を生んでいるのかもしれません。私は、我々が用いる分類についてもっと慎重になる必要があると思います」と述べた。
No.26-3 腰椎ベルトで腰痛や腰痛による就労障害は予防されずー9000人の労働者における研究ー 何百万もの労働者、何百もの企業および有カな政府機関は、腰ベルトの腰 痛防止効果について誤解しているので はないだろうか?
No.26-4 腰ベルトの最新研究と、その他の臨床的エビデンス 腰ベルトは、本研究のどの群においても、結果評価尺度におけるいかなる利点ももたらさなかった。
No.26-5 背部損傷の概念に焦点を定める 現代社会の腰痛に対するアプローチを依然として支配している流行遅れの「損傷モデル」についても論じている。・・・ほとんどの腰痛は別個の損傷または反復的外傷に起因するという、直接的なエビデンスはほとんど無い。
No.26-6 腰痛に対する人間工学的介入:コップの水は半分も入っているのか、半分しか残っていないのか? 職場での身体的負荷を削減することで、腰痛または腰痛による就労障害を防ぐことができるという決定的なエビデンスはない。同様に、製造工程での仕事の人間工学的変更および再構築を支持する決定的なエビデンスもない。
No.27-1 非内包性の椎間板ヘルニアは数週間で消失するか?手術を遅らせるべきか? 「Spine」の論説欄で、Carragee博士は、単純な時間経過とともに、有症状の椎間板ヘルニアが比較的良好な結果を示すことを指摘した(Carragee,2001を参照)。このように自然経過が好まし
いため、早期手術を推奨する脊椎専門医はほとんどいない。
No.27-2 予防論争 しかしながら、人間工学的プログラムによって、手根管症候群、外側上穎炎、肩腱炎、頸部神経根症または他の特異的な上肢障害を予防できるというエビデンスはない。
No.28-1 腰痛に屈するな..。: Back Pain: Don't Take It Lying Down... オーストラリアで行われた独創的なマルチメディアキャンペーンは、腰痛に対する一般社会と医学界の態度を転換できることを示している。ビクトリア州における広報キャンペーンは、腰痛についての単刀直入な明確なメッセージを伝え、驚くほどの効果を上げた。
No.28-2 職業性腰痛についての画期的研究が現れ、人間工学に関する議諭が白熟 肉体労働が要求されることが活動障害性腰痛の有力な原因であるという仮説は時代遅れである。 
No.28-3 研究者は、活動障害性腰痛に対する重大な影響を見落としたのか? 腰痛があっても屈せず仕事を続けるという考え方を奨励できると、博士は指摘する。 
No.28-4 職場が筋・骨格系障害への対処の妨げに? 腰痛の研 究に精通している人の中に、労働者 が健康問題に対応する方法において、職場における社会心理学的および組織的な因子が重要な役割を演じることを否定する人はいないだろう。
No.29-1 実験的治療で、痛みのある椎間板ヘルニアの治療に大変革が起きる? なぜ、症状が現れる椎間板ヘルニアと、そうではないものがあるのか、科学者にはわかっていない。
No.29-2 アイシングに関する科学的エビデンスはただ冷やすだけ 腰痛患者は、医師のアドバイスに従って、しばしば硬組織および軟部組織のアイシングを行っているが、そうした勧告を支持するエビデンスが不足していることにショックを受けるであろう。
No.30-1 小児および青少年の腰痛:医師らは時代遅れの考え方に固執している? 小児における腰痛の訴えに関しては身体的因子よりも社会心理学的因子の影響のほうが重要であること
No.30-2 腰痛ガイドラインを守れば患者のアウトカム(結果)は改善するのか?オーストラリアの研究が実証 彼らは、シンプルな徒手治療を提供し、一部の患者には疼痛緩和のための局所注射を行った。
No.30-3 腰痛患者は永久的な脊椎損傷のリスクが高い?

脊椎は非常に強力な適応性のある構造をしている。・・・多くの研究者は、損傷モデル自体が欠陥のある時 代遅れの考え方だと信じている。ほとんどの腰痛は、特定の損傷組織に原因があるわけではない。・・・人間工学的対策によって、腰痛または腰 痛による活動障害の有病率が低下す ることを示した、綿密に計画された 研究は1つも見出されなかった。

No.31-1 臥床安静、理学療法それとも通常の活動? オランダの大規模無作為対照比較研究(RCT)において、よく用いられている坐骨神経痛の2種類の治療法には効果がないことが判明した。理学療法プログラムでも、7日間の臥床安静でも、患者に日常生活の通常の活動を再開させた対照群よりも大きな効果は得られなかった。
No.31-2 固定術を巡る騒動 最近、雑誌New Yorkerに掲載された“A Knife in the Back"というそのものずばりのタイトルのついた長文記事は、固定術に対する挑発的な批判を述べており、固定術には科学的根拠がなく、大多数の患者では慢性腰痛が軽減されないと示唆している。
No.31-3 組織のリストラ:雇用削減が労働者の腰と頸部に重圧をかける Mika Kivimaki博士らが行った研究で、市職員の筋・骨格系疾患による欠勤が、リストラ後2年間で急増したことが明らかになった。本人が報告した腰痛および他の筋・骨格系疼痛に関しても有意な増加がみられた(Kivimaki et al.,2001を参照)。著者らは、精神的悩みが増大したことに関しては、社会心理学的および身体的な因子による説明が可能だと考えている。
No.32-1 坐骨神経痛に対する生物学的治療のヒトにおける予備研究で劇的な結果 坐骨神経痛は予測できない症侯群である。1週間にわたって難治性のようにみえた症状が、翌週には自然に消失することも時々ある。
No.32-2 椎間板の老化に関するボルボ賞受賞研究ー変性は若い時から始まる 青年の椎間板が多少なりとも病理学的異常を有すると、または一般的な修復が必要であると、示唆している訳ではない。たとえば、青年期の腰痛は椎間板変性が原因であるという証拠はない。 
No.32-3 腰痛に対する脊椎マニピュレーション:利点は何か? 入手できる研究に基づくと、マニピュレーションには即時の疼痛緩和作用があるように思われる。しかし、Shekelle博士によると、体系的レビューの中で、マニピュレーションを偽治療と比較して適切な治療前および治療後の結果を報告した試験は2,3しかなかった。 
No.33-1 21世紀の脊椎治療の重圧に直面:今後の医療の行方は? モントリオールの学会は脊椎治療の抱える矛盾を物語っていた。過去120年間に、腰痛や頸部痛に関する理解が著しく進み、患者の治療や疾患管理の新モデルが提示され、脊椎の治療法には種々の目覚ましい技術革新が起きた。それにもかかわらず、本学会等で発表された科学的研究で実証されたように、こうした革新がいまだに患者の治療成績の飛躍的進歩にはつながっていない。これは興味をそそる一方で地味な分野である。
No.33-2 RCTは椎間板手術を支持 ほとんどの研究によると、保存療法を受けた患者は、疼痛および機能に関して、手術を受けた患者にある時点で追いつく。
No.33-3 エビデンスに基づく治療の実施の難しさ 1999年にイスラエルで開催されたプライマリー・ケアフォーラムで、Alf Nachemson博士は、非特異的腰痛を医学的に治療する能力について楽観的な見解を述べた。「われわれは現時点で、腰痛をどのように治療したらよいかを知っています。現在の大きな問題は、それを実施することで
す」とNachemson博士は述べた。 
No.33-4 職場における疼痛は800億ドルの問題か?腰痛に関わる多額の費用を見落としていた? 腰痛患者はしばしば、不健康から 有害な社会心理学的状況まで、多種 多様な問題やリスクファクターを訴 える。生産性の損失が、腰痛そのも のにどの程度関連するか、そして仕 事への不満、仕事をコントロールできないこと、またはその他の身体的および心理社会的因子にどの程度関連するか、明らかにすることが重要 であろう。
No.33-5 椎体形成術に関する警告は正当か? 短期的な疼痛緩 和は長期効果の良い前兆となるが、 この短期効果すら認めている対照比較研究はない。明らかに、これらの 短期効果が持続しない可能性があり、 椎体形成術を受けた患者は、長期的 には対照コホート集団よりも良くな い、あるいは悪い可能性すらある。
No.33-6 青少年の腰痛:公衆衛生の危機の激化か、それとも良性の成長痛か? 成人の腰痛が最も活動障害を引き起こすのは、腰痛があると活動 が障害されると信じた場合だという ことを、常に銘記しておく価値があ る。
No.34-1

疼痛に対する脳の反応に社会的因子が影響する痛いときの伴侶

“我々の[脳波検査の]結果は、慢性疼痛患者の腰に疼痛刺激を与えた時に生じる脳の活動は、心配してくれる配偶者が同じ部屋にいた時には2.5倍も大きかったことを示している"と、Flor博士は述べている。 
No.34-2 21世紀における腰痛危機:最新情報 欠陥のある時代遅れの損傷べースのモデルの代わりになる、腰痛および腰痛管理の状況に応じた、生物心理社会的モデルの作成において重要な役割を果たした。 
No.34-3 腰痛と頸部痛の治療:新しい治療パターンが出現? 患者はこれらの診察時にアドバイスとカウンセリングを受けるが、その内容を実証するのは難しい。“患者は活動的な状態を維持するように指示されることを望む”とCherkin博士は言う。 
No.34-4 バックパックと腰痛:公衆衛生の危機か、それとも空騒ぎか? 時代遅れになった、成人の腰痛の“損傷モデル”の中心的見解の一つに、腰痛は職場等における身体的負荷および身体的暴露が主な原因であるというものがあった。 
No.35-1

運動とアドバイスは脊椎固定術の代替となる実行可能な手段か新規研究が続々と発表された

ノルウェーで行われた中規模のRCTにおいて、教育プログラムと運動に無作為に割り付けられた患者と、脊椎固定術に割り付けられた患者では、同様の経過がみられた。この研究は、以前に効果がみられなかった被験者を同じ形態の保存療法に再度割り付けせずに、固定術を保存療法と比較した最初のRCTであった。
No.35-2 むち打ち症のレビュー:患者向けの情報とアドバイス 患者向けの情報とアドバイスの指針となる鞭打ち症のレビュー:主要メッセージ
No.35-3 頸椎手術のパターンに大きな変化ー厳密な科学的エビデンスがないまま 頸椎手術率には、今のところは説明のつかない相当の地域差がみられる。
No.35-4 鎮痛薬の使用量の急増が患者の福祉を脅かしている? 我々は、プロトンポンプインヒビターおよびCox-2阻害薬による保護効果について間違った安心感を抱いていたが、明らかに今こそ問題を徹底的に再検討する必要がある
No.35-5 職場における身体的ストレスを軽減したことが裏目に出た? 実際、過去50年間、腰痛に関連する就労障害率はおおむね上昇の一途をたどってきた。身体的ストレスと腰痛との相関関係は謎のままである。
No.36-1 重篤な疾患の有無を調べる検査:最も良い方法は何か? Hadler博士は急性腰痛の評価における下肢伸展挙上テストの必要性を重要視していない。「(下肢伸展挙上テストは)解釈が難しく、最初の数ヵ月は臨床上の決定の根拠にはならない付随的な情報です」とHadler博士は説明する。
No.36-2 14の職場における大規模研究で、上手な持ち上げ技術を労働者に教えても腰部損傷は防止されなかった 腰痛を防止する訓練およびその他の人間工学的プログラムが失敗に終わったことには、さまざまな因子が関係している可能一性がある。身体的暴露は腰痛に関与するが、決定的な影響を及ぼすかどうかは明らかではない。 
No.36-3 短時間撮像MRI もちろん短時間撮像MRIにも欠点があり、それは多くのものが見え過ぎることである。従来型のMRIのように、無関係またはほとんど無関係の解剖学的異常に関するさまざまな情報を提供する。そしてこれらの異常の存在が、患者と医師を不適当な考えや不必要な治療へと誘い込むことが時々ある。 
No.36-4 安心させるために画像検査を行なってもよいのだろうか? それは、病態生理に関する事実無根の概念を患者に押しつけ、治療に携わる医師の私的見解を患者に披露する複雑な治療行為の1要素である。患者はこれらの診断によって永遠に変えられるが、良いほうに変えられることはあまりにも少ないと博士は主張した。 
No.36-5 2つの無作為対照比較研究で相反する結果が得られた後、IDETの価値は宙に浮いたまま 我々は疼痛性の椎間板の治療法を見つけるために莫大な労力と時間を費やしているが、まだそれらの診断方法さえわかっていないのです。多分、より良い診断方法の研究に、もっと多くの時間をかけるべきでしょう。
No.37-1 運動療法と行動療法VSインストルメント併用の脊椎固定術:ノルウェーの革新的研究で互角の成績 “ほとんどの慢性腰痛患者は認知療法と運動療法によって治療でき、腰椎固定術は費用のかかる代替手段である”と博士らは主張する。
No.37-2 長引く厄介な問題:腰痛患者は医師を避けるべきなのか? なぜ、これから医師にかかろうという人々が、逆に医師を調べることはできないのだろうか。なぜなら、どの医師を選択するかによって決まることが非常に多いように思われるからである。 
No.37-3 慢性腰痛、広範囲にわたる疼痛、線維筋痛症の共通点は何か 線維筋痛症と広範囲にわたる疼痛は、ある程度人為的な分類である。研究者らは、さまざまな形の苦痛を、より包括的に理解し研究を進めるために分類する。しかし、これらの疾患が一続きのものであることを理解することが重要である。そしてこの論文に記載されている疼痛症侯群、すなわち線維筋痛症、広範囲にわたる慢性疼痛、慢性腰痛、および慢性頸部痛はいずれも、1つの別個の疾患を表しているわけではない。それらは症状の説明にすぎない。 
No.37-4 よい姿勢の定義は容易ではない しかし、“よい姿勢”の実体に関する科学的見解は一致しておらず、姿勢と腰痛有病率の間に単純な相関関係があるという疫学的根拠は十分ではない。
No.37-5 仕事と広範囲にわたる疼痛 広範囲にわたる慢性疼痛の開始には多くの要素が関係しているようであり、個々の社会心理的因子が強力な予測因子である。 
No.38-1 "Working Backs Scotland":腰痛の考え方を変えて、その影響を軽減" 腰痛は重篤な疾患ではないこと;通常、複雑な検査や治療は必要ないこと;腰痛患者が活動的な状態を保ち仕事を続けるよう奨励することに、重点を置いた。これらのメッセージが、オーストラリアにおける一般人の腰痛の捉え方の持続的変化につながり、スコットランドにおいても同様の影響を与えているようである。
No.38-2 ”Working Backs Scotland”腰痛に関する従来の考え方を覆した例 この新しいモデルは、何が病気であり何が治療であるかを定義し直すことによって、従来の考え方を覆した。これは、矛盾しているように思われるが、そうではない。従来の“整形外科の損傷モデル”では、腰痛は、休息を要する“損傷”とみなされた。患者はしばしば、通常の活動を制限し損傷が治るまで仕事を休むようアドバイスされた。
No.38-3 腰痛に関する単純なメッセージを作成するのは、複雑な課題である The Back Bookからの抜粋 
No.38-4 なぜ慢性腰痛の治療のガイドラインはないのか? 疫学研究によって、急性腰痛患者の25〜75%は、12ヵ月後の時点でも症状が持続していることが明らかになった。この種の再発性または間欠性の疼痛は、慢性の難治性腰痛との類似点よりも、急性腰痛エピソードとの類似点のほうが多いように思われる。 
No.38-5 高い脊椎手術率に立ち向かう不屈の工業地域 調査団は、医療業界がより合理的な紹介パターンを採用し専門外科医への早期紹介を減らすことを推奨した。調査団は、速やかな回復が得られない患者、および外科治療を要する危険信号が認められない患者は、“しばしば亜急性・慢性の脊椎疾患の根底にある無数の身体的、心理的および社会的な問題を評価できる”外科以外の専門医へ紹介されるべきだと示唆した。 
No.38-6 10歳児の椎間板変性が与えた衝撃しかし、この年齢での椎間板の異常は驚くべきことか? ここ数年間に実施された基礎科学研究において、椎間板変性は小児期から始まり、人によっては10歳よりかなり前から始まることがはっきりと認められている。 
No.38-7 固定術の実施率の急上昇を巡る論争が激化 事実、技術革新が着実に進んでいるにもかかわらず、固定術の成功率は向上していないようである。 
No.38-8 慢性腰痛症状の治療に関するガイドラインでは、簡単な答えは得られない可能性がある 手術は一部の患者にはいくらかの改善をもたらすが、“半数近くは改善を得られないだろう”。そして手術によって改善しない人々は、改善の見込みが不確かな、“failed back surgery syndrome”という厄介なカテゴリーに入る可能性が高いことに博士は言及している。 
No.39-1 プラセボ治療の新たな可能性、そして新たな倫理的ジレンマ これは脊椎分野にとって非常に重大な問題である。ほとんどの腰痛は非特異的である。ほとんどの患者は、最終的には特定の解剖学的異常との関連性はない。同じくほとんどの腰痛治療も非特異的であり、その結果、その効果には不十分なところがある。
No.39-2 固定術と偽手術との比較試験を実施すべきか? “倫理上の理由により、偽手術については依然として異論があるが、我々は、この手術法[すなわち脊椎固定術]について偽手術を取り入れた無作為研究が正当化されると考えている。なぜなら、生命を脅かす疾患のために行う手術ではなく、主要な臨床アウトカムは主観的であり、合併症の発生率が高いからである”と博士らは述べている。 
No.39-3 人工椎間板:奇跡の治療か、単なる一時的流行か? Swedish Spine Studyにおいて長期経過観察を行ったところ、残念ながら脊椎固定術はもはや保存療法より優っていなかった(Fritzell et al.,2004を参照)。 
No.40-1 大規模無作為試験において脊椎固定術には積極的リハビリテーションを上回る利点なし 英国で実施された大規模無作為対照比較試験によると、脊椎固定術は、慢性腰痛の軽減および患者の機能回復に関して、積極的リハビリテーションプログラムと変わりなかった。
No.40-2 坐骨神経痛の画期的治療法は初期試験に合格できず 坐骨神経痛に対するTNF-α阻害薬の効果は“ぬか喜び”になる可能性もある。最近Rheumatology誌に掲載された論説では、椎間板ヘルニアに関係した神経根痛のメカニズムを解明するための科学的プロセスの中で、いくつかの出発点における間違いがあったと言及している。
No.40-3 現在の診断法で椎間板に起因する疼痛を正確に同定できるのか? “その高位の椎間板(および推定された疼痛発生源)を完全に除去させても、腰痛症状は効果的に除去されなかった"”と博士らは結論づけ、“椎間板が臨床症状の主要原因ではない可能性を考慮しなければならない“と付け加えた。 
No.40-4 臨床医はどの患者が慢性的活動障害になるかをいまだ予測できない Feldman博士は、臨床医が次第に腰痛による活動障害に陥る過程を媒介する認知因子(すなわち不適切な思考、捉え方、信念および恐怖)を検討すべきであることを示す強力な経験的エビデンスがある、と言及している
No.40-5 仕事に関連した腰痛は予防可能か “ほとんどの体系的レビューでは、腰痛教室は有効ではないと結論づけている。それは腰痛教室で誤ったメッセージを患者に伝えたためなのだろうか?”とノルウェーの研究者は疑問を投げかけている。過去の多くの腰痛教室は、腰痛の伝統的な捉え方にどっぷり浸かっていた。 
No.41-1 脊椎治療の専門医らは腰痛の医学的な影響カを過大評価してきたのだろうか? 今日の腰痛治療の目標の1つは、一般的な腰痛を医療対象から外すこと、関連する不安を軽減すること、それによって腰痛の影響を小さくすることである。医学界がありふれた腰痛を重大な医学的問題だと主張し続けるなら、これらの目標を達成するのは困難だろう。
No.41-2 頸部痛の経過はどうなのか? カナダのサスカチュワン州の成人1,100例の地域住民を対象とした二重コホート研究によると、頸部痛の症状の経過は腰痛に酷似している。 
No.41-3 温湿布は一般的な鎮痛薬に取って代われるだろうか? 温湿布の“1回分”の価格はアセトアミノフェンまたはイブプロフェンよりも著しく高かった。しかし、
Lloyd博士らがNadler博士らの研究で認められた温湿布の優れた有効性、および鎮痛薬の使用に関連する欠点を計算に入れたところ、相対的な費用の実態は異なることが明らかになった。
No.41-4 英国の研究によると、夜間痛は健康に対する重大な脅威ではない 本研究において、夜間痛は疼痛および活動障害の増大と関連したが、重篤疾患の徴侯ではなかった。 
No.41-5 夜間の腰痛は癌の危険信号か? 初期治療の外来診療所で腰痛の診察を受けた患者の0.66%に基礎疾患としてが存在したことを見出した 
No.41-6 亀背形成術:エビデンスはどこにあるのか? 脊椎の新しい治療技術が標準的な臨床診療に紛れ込み、厳密な試験も行われないままそこに留まることのできる時代は過ぎ去った。 
No.42-1 受賞研究によると、重篤な腰痛の主要予測因子は心理社会的因子である 研究者らにとって驚きであったのは、重篤な腰痛疾患の最も強力な予測因子の中に、構造的な脊椎の異常が含まれなかったことであった。“心理社会的因子は、長期および短期の活動障害事象、持続時間、および腰痛疾患による受診の、強力な予測因子であった”と著者らは述べている。
No.42-2 慢性疼痛に関する新ガイドラインは手術に対して懐疑的な見方を提示 手術による合併症の発生率が高いこと、社会が負担する費用、およびfailed back surgery症候群の患者の苦痛も考慮して、注意深く選択された重症の疼痛患者に限り、この手術を考慮すべきであると強く推奨する”という。 
No.42-3 腰痛分野は進歩しているのだろうか? それらの医師は腰痛を急性損傷と解釈し、患者に数日間、数週間そして数ヶ月間の臥床安静を命じ、他のいい加減な治療法や考え方を患者に無理強いした。彼らは活動に対する恐怖、再損傷に対する恐怖、そして身体的ストレスや労働に対する恐怖を植え付けた。この分野は長い道のりをたどってきたのである。 
No.42-4 腰痛は予防可能か?欧州ガイドラインはエビデンスについての斬新な見解を提示 新ガイドラインは、腰痛について従来の生物医学的/生体力学的な見方をする腰痛教室の利用に反対する勧告を行った。委員会は、現代的な生物心理社会的原則に基づいた教育的な情報提供プログラムについてはより熱心であった。 
No.42-5 新しい予防ガイドラインはどのようにして作成されたのか 腰痛予防に関する欧州ガイドラインは、3つの別個のグループ(一般集団、労働者、および学齢期の青少年)向けの予防勧告を行うことを目指した。 
No.42-6 青少年の腰痛予防は? 過去10年間の科学的研究によって、腰痛が若者においても成人とほとんど同じくらい多くみられることが明らかになっている。そして小児の腰痛はこれまでの印象とは異なり通常は重篤な疾患ではない。 
No.42-7 脊椎手術実施率にみられる根強い地域差は、改革の必要性を示唆 脊椎手術の実施率における多様性は、他の一般的な定時手術よりも顕著である。Weinstein博士らによると、問題が特に深刻なのは固定術である。 
No.43-1 慢性腰痛の複雑さ 腰痛疾患の性質に関する根本的な誤解が存在するのではないだろうか 
No.43-2 慢性腰痛の治療の調整に対する障壁 しかし幅広い医学知識が要求され、患者との関係が長期にわたることを考えると、プライマリケア医が適任者だろう。 
No.43-3 一般の人々はどのように疼痛に対処しているのか? 腰痛のある大多数の人々は、腰痛の治療を受けようとはしない。腰痛および非特異的脊椎疾患の治療における現代医療の成績がふるわないことを考えると、これは賢い決断だという意見も聞かれる。 
No.43-4 椎間板置換術をリハビリテーションと比較した最初の無作為比較研究 ノルウェーの研究では、集中的な運動療法と行動療法の両方を行った。患者には、現代医療に依然として浸透している腰痛に対する慎重な対処法を気にしないよう指導した。患者には腰を痛めることを心配しないように指示した 
No.43-5 脊椎治療に対する合併疾患の影響:患者と医師のジレンマ 地域住民を対象にした最近の研究では、慢性腰痛を有する人々の人多数に合併疾患があると示唆されている。 
No.43-6 高血圧によって腰痛を予防できるのだろうか? 収縮期および拡張期血圧が高い被験者は正常血圧の被験者よりも筋骨格系疼痛を訴えることがはるかに少なかったという点で、結果には一貫性がみられた。 
No.43-7 腰痛と長期病欠 就労不能給付金を6ヵ月以上受給している入々のうち、その後5年以内に職場に復帰するのぱ20%にすぎ'ない。
No.44-1 椎間関節注射は止めるべき時か? 腰椎の関節内ステロイドの見かけ上の有効性は、模擬注射と変わらない。これらの方法を引き続き使用することを正当化する根拠はない”と、オーストラリアの解剖学者は主張した。
No.44-2 頸部痛の世界的な有病率 生涯有病率を除いたすべての期間に 関して、女性は頸部痛の有病率が男性よりも高かった。女性で他の複数の形での筋骨格系疼痛の有病率が高かったことは、疼痛知覚には男女差があるこ とを示唆していると、著者らは述べて いる。
No.44-3 広範囲に及ぶ腰痛 いつの時点でも、先進国における一 般集団の約10%に広範囲に及ぶ疼痛が みられる。
No.44-4 最新のガイドラインは脊椎固定術についてどう述べているか? 最近の欧州のエビデンスに基づくガイドラインは、脊椎固定術を非特異的慢性腰痛の治療に用いるのは例外とすべきだと提唱している。
No.44-5 術前予測と術後アウトカム:Stanfbrd Universityから報告された相反する知見 椎間板ヘルニアまたは脊柱管狭窄を有した患者のうち、最低限容認できる アウトカムを達成したのは、それぞれ78%および74%、期待するアウトカムを 達成したのは、それぞれ68%および63%であった。
No.44-6 エビデンス基準の変化によつて人工椎間板の土台が揺らぐ 有効性と安全性はせいぜい最低限のレ ベルに近いように思われます。
No.44-7 Blue Cross Blue Shield社が椎間板置換術に関するエビデンスを批判 人工椎間板の使用によ って最終的なアウトカムが改善するか どうか、またはそれらが、確立されている代替療法と同様に有用かどうかを 決定するには、エビデンスが不足して いる。
No.45-1 活動障害性の慢性腰痛における、より有効な治療を阻む障壁 説得力のある科学的エビデンスによって、損傷モデルを支持する人々の考え方の誤りが指摘されている。しかし長年抱いてきた腰痛に対する考え方を変えさせ、ベテランの臨床医の診療を改めさせることは、いらいらするほど時問のかかる大仕事である。
No.45-2 軽度の外傷によって重篤な腰痛が誘発される?“損傷モデル"は妥当なのか? いくつか国々では損傷モデルから ゆっくりと脱却している。しかし米国 では今も腰痛に関する時代遅れの考え 方から抜け出せずにいる。先へ進むべ き時である。
No.45-3 慢性疼痛は癌および早期死亡のリスクを増加させるのか? 慢性腰痛を訴える患者の約3分の2には別の疼痛疾患も共存してい る(Von Korff et al.,2005を参照)。ある 推計によると、腰痛のために医療機関 を受診する患者の30%に、広範囲にわたる疼痛があるという。
No.45-4 亀背形成術(Kyphoplasty)に関する最初の対照比較研究 意見の不一致は医学研究に不可欠であ る。一致することはないかもしれない これらの解釈は、大規模無作為研究の 見通しを、なお一層刺激的なものにする。
No.46-1 脊椎固定術は”お買い得”か? 脊椎固定術によって変性性椎間板疾患の 自然経過が改善することを示す知見も、現在までの臨床試験で得られていない。
No.46-2 腰痛にアイシング:興ざめなエビデンス不足の実態 そして捻挫の治療におけるア イシングの使用に関するRCTはなかった。
No.46-3 腰痛と肥満:科学的エビデンスと医療関係者の見解には相違がある? 腰痛と体格の関連づけに関して多くの 臨床的神話がある。医師および療法士は、 肥満、高身長または脚長差のせいにしてしまった。世間一般の考えとは異なり、ほと んどの研究において、たとえ肥満の場合で も体重による違いはそれほど大きくないこ とが認められている
No.46-4 減量は腰痛の有効な治療法なのか? 体重超過が腰痛または特異的な脊椎異常の主要な原因であるという疫学研究に基づく決定的エビデンスは存在しない。
No.46-5 肥満は多様な重要性をもつ併存所見だと考えるのが最も良いのかもしれない 手術のアウトカムに最も強い影響を及ぼした併存因子は、自已評価した健康状態の不良、労災補償の受給、うつ病、低い教育レベル、喫煙、および頭痛であった。
No.47-1 活動障害性の慢性腰痛には心理療法と理学療法のどちらがより有効か? 中間報告によると、認知行動療法に割り当てられた患者は、段階的運動または併用療法を行った患者と同等の良い結果であった。
No.47-2 固定術の実施率が上昇 一般的適応に対する有効性を示すより良いエビデンスが得られるまで脊椎固定術の使用を制限するようにとの要請によって、外科医または患者がこの手術に寄せる過度の期待が冷めた様子はない。
No.47-3 椎体固定術の真相 保存療法群のコホートと比較して、椎体 形成術群の被験者は、3ヵ月後の経過観察時の疼痛および機能の面で有意に優っていた。しかし6ヵ月または1年後には、それらの患 者に保存療法群の患者を上回る利点は認め られなかった。
No.48-1 腰痛への煽り:賢明な医療か、医療対象化か、あるいは病気の押し売りか? 博士の主張によれば、通常は、腰痛の評価 と治療が患者の腰痛問題への対処を手助けす る手掛りになることはない。それどころか、たいていは、病理学的異常を探すための見当違 いの検査や、腰痛の因果関係に関するまだ証 明されていない理論の押し付けに力が注がれる。患者は多くの場合、有効性の明らかでな い治療を受けた挙句、自分には将来さらに問 題を引き起こす可能性のある基礎疾患があるという感情を抱く結果になる。
No.48-2 自動牽引から除圧治療まで、牽引に関するエビデンスは不十分 有効性の有無が証明されていない治療と、 その有効性が誤りであると証明された治療は、もちろん同じではない。牽引に関する 質の高い研究が不足しているため、“牽引が、 一般的な感触として腰痛患者に有効な治療 法ではない、という否定的な結論を文献か ら引き出すことは、まずできない”、とClarke博士らは述べている。
No.48-3 腰痛にうまく対処できない患者にみられる異常な脳活動 異常な疼痛行動の亢進がみられる人々は、 様々な形の臨床治療を通して腰痛とそれに付 随する不安により効果的に対処する方法を学 べるということが、臨床経験から示唆されている。
No.48-4 身体的負荷は椎間板を強化し、椎間板変性の進行を遅らせるか? 同博士らの研究は、それよりもさらに関心をそそる結論を提示している。Videman博士らは、身体的負荷が椎間板の健康に悪影響を及ぼすどころか、むしろ健康を増進することに気づいた。
No.48-5 新しい大規模研究によると、 腰痛は動務中の生産性の低下にはつながらない 米国の大規模研究で腰痛関連のpresenteeismのエビデンスは見出されず
No.48-6 遊走'性の細菌が原因で腰痛に“罹る”可能'性はあるか?つまり腰痛を抗生物質で治療できるか? 博士らは、医学論文において報告されているほとんどの筋骨格系のP.acnes感染、すなわち椎間板炎、脊椎椎間板炎、骨髄炎、および関節感染はすべて、手術、外傷、または人工の医療機器の存在などの素因と関連しているようであると述べている。
No.49-1 MRI画像によ り新しい腰痛エピソードの説明がつく ことはまれである

医師はその腰痛を、新たな所見と推定されるMRI上の構造的異常、すなわち線維輪の断裂、椎間板の突出、終板の変化に起因していると推測することが、ままある。その結果、推定された病因の治療につながる手順が実行に移される。しかしこの診断過程は大抵無駄な骨折りになる。

No.49-2 固定術と労災補償 腰痛治療で腰椎固定術を選択した労災補償請求中の被験者725例のうち、驚くことに64%は術後1年以上経過しても依然として休職中であった。復職して1年間継続して働いていた被験者は6%しかいなかった。
No.49-3 固定術実施率の地域差が大きい最大要因は不適切な研究か? Weinstein博士は“腰推固定術は現在米国で行われる全ての脊椎手術の約50%を占めるが、これらの手術を支持する科学的または臨床的エビデンスは得られていない。
No.49-4 人工椎間板の研究に対する新規の体系的レビューの手厳しい批判 ”椎間板に起因する疼痛”を診断カテゴリーとすることの妥当性について疑問を呈した。
No.49-5 ProDiscの米国市場への参入ー“可動性革命”への大手保険支払い機関の抵抗は続く? しかし一部の保険支払い機関は、全周固定術よりも優れていることを有効性のエビデンスとは解釈しない可能性がある。なぜなら全周固定術自体が保存療法よりも優れていると無作為比較研究で証明されていないからである。
No.50-1 椎間板手術に関するSPORT研究:これらの壮大な研究が本当に示しているのは何か? 多くの患者と外科医が抱く、大きな椎間板へルニアを切除しなければ破減的な神経学的症状の結果を招くことになるであろうとの懸念は、全くの杞憂である」CarragCarragee博士は、「手術を受けるか受けないかの選択はつまるところ患者の好みの問題になる」と述べている。
No.50-2 なぜ有効な心理療法が用いられていないのか? Turk博士は、慢性腰痛の治療において、手術、オピオイド、神経ブロック、脊髄電気刺激法および植え込み型薬剤注入システムといった広く行われている腰痛治療は心理療法を含むリハビリテーションプログラムよりも費用がかかり、効果は小さいことが多いと指摘している。
No.50-3 労災補償患者の脊椎固定術に関する警告は無視された 「椎間板に起因する疼痛における固定術について、疑問を呈するエビデンスが集積されつつある。この固定術は、証明されていない理論と椎間板造影という主観的かつ信頼できない診断検査に基づくものである」 とFranklin博士は示唆する。
No.50-4 オピオイ ドへの逆風: オピオイドは慢性腰痛の治療における一時的流行にすぎないのか? Erikson博士らは、オピオイド使用者がこれらの強力な鎮痛薬を使用しなければ、更に悪い状態になった可能性もあると認めている。 しかし彼らは次のようにも述べている。「もうひとつ考えられるのは、オピオイドがそれほど有用ではない、あるいは長期的には有害ですらあるということである」。
No.51-1 最前の治療内容とは? 坐骨神経痛の治療法としていずれか1種類の保存療法が他の治療よりも優れているというエビデンスが存在しないからである
No.51-2 坐骨神経痛の保存療法: 王様は裸か? 坐骨神経痛に対する有効性が証明された保存療法は存在しないにもかかわらず、SPORTにおける保存療法のアウトカムは素晴らしいものであった。
No.51-3 固定術と保存療法との比較の再考 固定術は認知行動療法を取り入れた体系化されたリハビリテーションプログラムよりは有効性が低いと考えられる。
No.51-4 慢性腰痛は脊髄および脳の構造を変化させるか? リハビリテーションによってこれらの変化は回復するのか? 恐怖、過度の関心、および不安といった心理社会的因子は、疼痛障害を誘発、悪化させる 
No.51-5 職場における慢性疼痛の有病率が上昇中? 英国北西部で40年の間隔をおいて実施された2つの調査では、腰、肩、および広範囲にわたる疼痛の有病率が2〜4倍に上昇したことが示された。 しかし、 ドイツ北部の都市で10 年の間隔をおいて実施された最近の2つの調査では、腰痛の有病率はまったく上昇していないという結論が出ている。
No.51-6 エビデンスに基づく ガイドラインは職場における腰痛の複雑さに対応可能か? 今回の研究から得られた経験によれば、そういった介入は人間工学的な問題や安全面の問題の解決に留まらず、職場における心理社会的問題の解決にもつながる
No.51-7 年1回の治療による骨粗鬆症性骨折の予防:希望か誇大な宣伝か?  

加茂整形外科医院